S13シルビアの姉妹車として販売された180SX。S14シルビア不人気の影響もあって人気を持続し続け、S13型シルビアの顔を180SXのボディに改造するシルエイティも流行した。
当時を振り返りながら、180SXの現在の中古車相場はどうなのか、シルエイティは人気なのか?
また逆パターンであるシルビアに180SXの顔にしたワンビアの現状、中古車相場、さらにはシルエイティを製作するショップにも取材した。
文/伊達軍曹
写真/日産自動車 TSRプロジェクト
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180SXはなぜ延命されたのか?
いわゆるひとつのデートカーとして1988年に登場した「S13」こと5代目日産シルビア。それはデートカーであると同時に、いわゆる走り屋にも愛されたクルマだった。
その当時すでに希少だった「程良いサイズ感+FR+5MT+パンチのあるエンジン」というパッケージが、峠やサーキットで(というか主に峠で)走りを極めたいと考える青年の心をわしづかみにしたのだ。
そんなS13とコンポーネントを同じくする姉妹車として、1年遅れて1989年5月に登場したのが日産180SXだ。
2ドアクーペであったS13シルビアに対してこちらはファストバックの3ドアハッチバッククーペで、ヘッドライトもリトラクタブル式。
エンジンも、自然吸気も用意されていたS13シルビアに対して180SXはターボのみ(※1996年8月からの後期型では自然吸気の2Lもラインナップ)。S13シルビア同様に180SXも当時の走り屋青年たちに愛された一台だった。
1991年1月にはマイナーチェンジが行われ、エンジンを最高出力205psのSR20DET型2L直4ターボに一新。また従来のHICAS-IIも、このタイミングで「Super HICAS」に進化した。
そして1993年途中にシルビアがS13からS14へのフルモデルチェンジを受けると、姉妹車である180SXのほうもモデルチェンジされるか、あるいは廃番になるかと思われたが、180SXはモデルチェンジされないまま販売を続行。
1996年8月にはビッグマイナーチェンジが実施され、リアコンビネーションランプがスカイライン風の丸型になるなどと同時に、自然吸気のSR20DE型2L直DOHC(最高出力140ps)を搭載するタイプSも設定された。
このような形で地道な改変を受けながら9年8カ月の長きにわたり販売が続けられた日産180SXでしたが、1998年12月、S15型日産シルビアに統合される形で生産終了となってしまった。
S13からS14に変わる際に180SXがモデルチェンジされなかった直接の理由は、おそらくは「ニッチな姉妹車ゆえの予算不足」であったと思われる。だがその後1999年まで長らく延命された理由は、ひとえに「S14シルビアがひたすら不人気だったから」だ。
そのコンパクトさこそが魅力だったボディはS14から3ナンバーサイズとなり、キャラクター的にも「ありがちなクーペ」へと変わってしまったS14は、当時の青年たちの心に響かなかった。
そして青年たちは「5ナンバーサイズであり、FRであり、チューニングに適したパワフルなターボエンジンであり、なおかつ比較的安価でもある」という180SXの魅力に気づき、180SXの人気は再び高まってしまった……という寸法だ。
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