今年1月の東京オートサロンでその姿が明らかになった、ダイハツの新型軽クロスオーバー「タフト(TAFT)」。いよいよ、6月11日より発売開始となり、いま注目を集めている。
タフトは、直線を基調とした存在感のあるボディスタイルと、大きなガラスルーフが特徴の「軽クロスオーバーSUV」であり、実用性の高さもさることながら、遊び心を兼ね備えたクルマだ。
「軽クロスオーバーSUV」といえば、その代表格であるスズキの看板車種「ハスラー」も、今年の1月にフルモデルチェンジされており、今後、この2台の激戦が始まるだろう。いま、こうした新感覚の「軽クロスオーバーSUV」が注目を集める理由とは、いったい何だろうか。
文:吉川賢一/写真:DAIHATSU、SUZUKI
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ハスラー人気は「スズキのアイディア力」
初代ハスラーは、2013年の東京モーターショーで披露され、2014年1月に発売開始された。同社の軽ハイトワゴン「ワゴンR」をベースに、丸型ヘッドランプ、大径タイヤ、高い車高といったSUV要素を融合させる、という斬新なアイディアで登場したハスラーは、発売前から事前予約が殺到。一時は生産が追い付かないほどの人気ぶりだった。
これだけハスラーがウケた理由は、豊富なボディカラーや可愛らしいデザインもさることながら、「クルマに遊び心が欲しいけど、ジムニーではハードすぎる」という、ライト感覚のオフロード風味が欲しいユーザーにピッタリとハマったこと、そして何より、それをいち早く実現させた、ということであろう。
スズキというメーカーは、こうした派生車を作り出すスピードやアイディアが抜群に優れている。
タフトはさらに「武骨デザイン」を掛け合わせた
タフトもまた、「日常生活からレジャーまでアクティブに使える新感覚の軽クロスオーバーSUV」をコンセプトとしており、オフロード風デザインのオンロードSUVだ。
しかしタフト人気の理由はそれだけではないように思う。タフトは、ハスラーが打ち立てた軽クロスオーバーSUVという人気ジャンルに、RAV4で話題となった「武骨ルック」を掛け合わせてきたのだ。
タフトをじっと見ていると、なんとなく「HUMMER H2」や「H3」が思い起こされるのは、筆者だけではないだろう。
ボディの大きさは全然違うが、極端に角ばったボディの造形、大きく張り出したフェンダー、垂直に立ち上がったフロントウィンドウ、サイドウインドウの天地高の狭さ、さらに、ディーラーオプションの「メッキパック」を装着すれば、ギラギラで厳つめのフロントグリルにもなる。まさにコンパクトサイズ化されたHUMMERのようだ。
ハスラーの丸みを帯びた愛嬌あるデザインとは異なり、やんちゃを好むような若者にも人気が出るのではないだろうか。
武骨ルックは、90年代のクロカンブームを知っている年代の方にとっては、懐かしさやあこがれ、といったイメージを与え、クロカンブームを知らない若い世代には新鮮なイメージを与えることができる。流麗なデザインのSUVが増え、どのクルマもかっこいいゆえ、逆に「どれでもいい」といった状態になっていたのではないだろうか。
もちろんタフトの魅力は、懐古趣味をくすぐったから、という単純なものではない。タフトには、最先端の新しい技術もたくさん織り込まれており、それらが魅力的だからこそ、ウケていると考えられる。
例えば、タフトの特徴である大きなガラスルーフは、ひと昔前であれば、実現できなかった技術だ。
ガラスルーフは、鉄板のルーフに比べて車重が増えるだけでなく、重心も上がる。そのため、走りや乗り心地にも影響を及ぼす要因となってしまう。DNGA新プラットフォームによる軽量・高剛性のボディ「Dモノコック」が受け止めてくれるからこそ実現できた技術だ。
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