今やコンパクトカーでもハイブリッド車が数多くラインナップされている時代。
しかしながら、軽自動車には、いわゆる「フルハイブリッド」のクルマはなく、スズキやニッサンなどの一部のメーカーが、マイルドハイブリッドシステムを採用するにとどまっている。
コンパクトカー向けのe:HEVをもつホンダや、ハイブリッド王者のトヨタとタッグを組むダイハツなどは、その気になれば自社の軽自動車にフルハイブリッドシステムを搭載することができるはずなのに、行われていないのが現状だ。
今後、軽自動車の電動化は進むのだろうか、また、そもそも軽自動車に、電動化は必要なのだろうか。
文:吉川賢一/写真:SUZUKI、NISSAN、HONDA、DAIHATSU、MITSUBISHI、TOYOTA
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ハイブリッドにすると、どれほど価格は上がるの?
昨今は、軽自動車もコンパクトカーも車両価格はさほど変わらないが、軽自動車を選ぶユーザーは、コンパクトカーを選ぶユーザーとは、クルマに求めるものが違う。
昨今の軽自動車は、安全性能や走行性能、静粛性などが飛躍的に向上しているとはいえ、やはり同時期に開発されたコンパクトカーよりも劣ってしまうのは事実だ。
軽自動車のユーザーは、そういった性能よりも経済性や、室内の広さなどのプライオリティが高い傾向にあると考えられる。
そういったユーザーが集まる軽自動車には高額なフルハイブリッドシステムを採用しても、売れる見込みは少ない、と、メーカーは判断しているのだろう。
参考に、現在日本で売られているコンパクトカーの、フルハイブリッド車とガソリン車の価格差をまとめてみた(ハイブリッドは各メーカーとも上級グレードにあたるため、内外装に付加されるパーツも含む。そのため純粋なハイブリッドシステムの価格差ではないことは注意が必要)。
ハイブリッドグレードとなると、だいたい40万~50万円の価格アップであり、車両価格は25~33%も上がることになる。
フルハイブリッド車にするには、駆動源を切り替えるハイブリッドシステムや駆動用バッテリー追加だけではなく、強電ハーネスの追加、速度メーター変更、シフトノブ変更など、割と大幅な変更が必要だからだ。
安いクルマであるほど、この価格差のインパクトは大きい。
いっぽう、「マイルドハイブリッド」の場合、スズキ ソリオ(HYBRID MX:182.27万円、27.8km/L(JC08燃費))の事例だと、ガソリン車とは25万円ほどの価格差となり、カタログ燃費は3.0km/Lほどの改善代と、価格向上代も燃費改善代も、ざっくりフルハイブリッドの半分程度となる。
車種にもよるが、軽自動車は、コンパクトカーよりも燃費はいいので、燃費改善代はそれほど大きくなくてもいい。
そして、フルハイブリッドの半分程度の価格向上で、エコロジー(自然環境保全)をアピールできる。そのため、軽メーカーはマイルドハイブリッドを積極的に採用しているのだ。
ちなみに、ルークス/eKスペースのように、マイルドハイブリッドを標準搭載にしてしまい、部品種類を減らすことでコストを下げる、という戦略もある。
製造ラインを一本化(厳密には複数車種の混流ラインなので本当に一本ラインにはならないが)することで、余分な設備投資を避けられるのだ。
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