飛躍的にポテンシャルがアップした「ランエボ5」
続くランサーエボリューション5は1998年1月にデビューした。それまでは、頑なにグループA規定(継続した12ヶ月間に5000台以上の生産義務と、様々な改造規制)にそっていたが、改造範囲の広いWRCカー規定へと移行してトレッドを拡大したことで、車幅1770ミリの3ナンバーサイズとなった。
WRCカーさながらの前後の筋肉質なブリスターフェンダーに、当時のファンは魅了された(筆者も含めて)。
タイヤサイズも205幅から225幅へと拡幅し、さらにはフロント17インチ4ポット・リア16インチ2ポット対向のブレンボ社製キャリパーが採用された。リアウイングも4段階の角度調整式とし、ドライバーの好みに応じてセッティングができるようになった。今でも街で見かけると、この意味のあるマッシブさには、目を惹かれる。
このようなポテンシャルアップが功を奏し、また、脂がのり切ったマキネンのスーパードライビングも相まって、ついに1998年、三菱はマニュファクチャラーズ・チャンピオンも獲得、Wタイトルを手にした。ヨーロッパを主体に行われているWRCでの三菱の活躍は、日本人のファンとして非常にうれしいものだった。
2段型リアウイングは「ランエボ6」の最大の見どころ
ランサーエボリューション6がデビューしたのは1999年1月。ランエボ5をベースに、細部をさらに見直し、ポテンシャルアップが図られた。
空気抵抗の低減と冷却性能向上、またフロントリフト低減を目的に、ナンバープレートをドライバーから見て左側へオフセットした。またフォグランプ小径化による前面開口部形状の見直しや、特徴的な2段型のリアウイングで空力性能も改善した。
しかし、WRCでは、この2段ウィングが「WRCカー規定の翼面積の2倍近くになる」ことから、レギュレーション違反と認定され、急遽、下段の隙間をカーボンパネルで塞ぐことになった、というトラブルもあった。それでも、ランエボ6は、WRCで4年連続となるドライバーズタイトルをトミ・マキネンにもたらし、その戦闘力の高さを世に知らしめた。
2000年1月には、この4年連続のドライバーズタイトル獲得を記念して、ランエボ6トミ・マキネンエディションが販売された。6の改良版のため6.5と呼ばれることもある。このランエボ6.5は、中古車市場で大人気となっており、なかなか出てこないことでも有名だ。
エボ復活の可能性は?
三菱が日産とのアライアンスを結んだことで、日産からのパスを受けて、「エボ復活」のウワサが流れたことがあったが、経営不振に喘ぐいまの日産の状況では、残念ながらそれに取り組む体力も余裕もないだろう。
それに、ランエボは、WRCという舞台で、三菱が進化させていったスポーツカーだ。単なるハイパフォーマンスカーというだけではない。本当の意味でランエボを復活させるには、見ているファンの心を震わせて、応援したくなるような取り組みが必要であろう。ランエボファンだからこそ「安易な復活はあってはならない」と考える。
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