地獄への階段? 年収300万円のサラリーマンが最安700万円台のフェラーリを買って生活できるのか?

 年収300万円のサラリーマンが格安フェラーリを買う。……それはとてつもないロマンであり、一大人生ドラマでもある。

 多くの者がその行動を「バカだなぁ」と笑うのだろうが、己の夢を実現させんとする情熱をただただ冷笑するのも、人としてどうかと思う。

 とはいえ、年収300万円でのフェラーリ購入は、やはり心配といえば心配である。買ったはいいが、底値物件ゆえにさっそくブチ壊れたり、買ったはいいけど、生活が破綻したり……。

 「実際のところ」はどうなのか? つまり車両価格500万円とか700万円ぐらいの底値系フェラーリを買うとしたら、月々のローン支払額はいくらになるのか? 

 というか、そもそもそういった底値系中古フェラーリって買っても大丈夫なのか? 輸入中古車事情に精通する伊達軍曹がレポートする。

文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹 フェラーリ

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年収300万円の貧乏サラリーマンでもフェラーリ買えますか?

神奈川県横浜市緑区の246号線沿いにショールームを構えるコーナーストーンズの榎本 修氏

コーナーストーンのホームページはこちら!

 500万~700万円ぐらいの底値系フェラーリを買っても大丈夫なのか? そのあたりの真実を探るため、横浜市のフェラーリ専門店『コーナーストーンズ』の代表取締役、榎本 修氏に「正味のところ」を聞いた。

――例えばフェラーリ348ですと、今現在の底値は約500万円です。500万円の車なら、年収300万円ぐらいのサラリーマンでも買えないことはないと思うのですが?

榎本さん 買えるか買えないかだけでいえば、買えるでしょう。きちんとお勤めされている方であれば、年収300万円だと500万円までのローンに通ります。となれば、底値の348は確かに買えますが……。

――……が、というのは?

榎本さん まったくお薦めできませんね(キッパリ)。そういった底値系の中古フェラーリを安心して乗れるようにするには、買った瞬間に100万円ぐらいかかっちゃうんですよ。

 タイミングベルトを交換したり、その他もろもろの交換をしたりで。しかしそれでも、素性がイマイチな個体は本当に安心して乗れるかどうか未知数です。それゆえ、500万円レベルの348は「お薦めできません!」というのが私の見解です。

1989~1994年に生産されたフェラーリ348。エンジンは300ps/31.6kgmを発生する3.4L、V8を搭載。1993年5月のマイナーチェンジで排気量は変わらないものの320ps/33.0kgmへ向上。車名も348tb/tsから348GTB/GTSへ変更

フェラーリ348の中古車情報はこちら!

――500万円のやつがダメだとしたら、348の場合は最低いくらぐらいを目安にすればいいのでしょうか?

榎本さん 弊社の基準でいうなら、348は「ギリギリ合格」のラインが600万円ぐらいでしょうね。

――そうですか……。360モデナはどうですか? モデナも最近は安くて、底値だと700万円ぐらいなわけですが?

1999年~2005年に生産されたフェラーリ360モデナ。搭載されたエンジンは400ps/38.0kgmを発生する3.6L、V8

フェラーリ360モデナの中古車情報はこちら!

榎本さん 700万円で買えるのはMTじゃなくてF1(セミAT)のほうですが、これもまったくお薦めできません。大げさにいえば買った瞬間、F1マチックの修理代で60万円吹っ飛ぶ可能性がありますし、そのほかにタイミングベルトとかの交換も必要になるはずですから。

――おー怖わ。ならば360モデナの場合、最低いくらぐらいを目安にすれば?

榎本さん F1のギリギリ合格ラインが900万円で、MTのギリ合格が1000万円でしょう(キッパリ)。

――ううむ。となると、中古フェラーリ愛好家の間で人気が高いF355の底値物件が850万円とか880万円ぐらいなわけですが、それもまた……?

F355のF1マチックって修理不能!?

1994~1999年まで生産されたフェラーリF355ベルリネッタ/GTS。搭載されたエンジンは380ps/36.7kgmを発生する3.5L、V8

フェラーリF355の中古車情報はこちら!

榎本さん 同じですね、買った瞬間に100万円かかる可能性が大です。というか355のF1マチックって、壊れたら修理不能なんですよ。

 正確にはF1マチックのECUが、世界中の誰にも直せないんです。なので今、「単なる置物」になっちゃってる355 F1が世界中にたくさんありますよ(笑)。そしてMTのF355であれば、ギリ合格のラインは1100万円といったところでしょうか。

1997年、マニエッティ・マレリ社と共同開発したパドルタイプの2ペダル・セミオートマチックシステム「F1マチック」を搭載

――「年収300万円の人間がフェラーリを買う」というのは、やっぱり夢のまた夢なんですね。

榎本さん や、そんなこともありませんよ。もしも“本気”であるならば、「700万円ぐらいの348」を狙えばいいんです。先ほどお話に出た500万円ではロクな348は買えませんが、700万円あれば「素晴らしい348」を十分探せますから。

――そ、そ、そうなんですか?

榎本さん はい、そうなんです(キッパリ)。先ほども申し上げたとおり、きちんとお勤めされている年収300万円の方でしたら「500万円のローン」に通すことができます。

 ということは、がんばって貯金して「200万円の頭金」を作ることさえできれば、晴れて「良質な700万円のフェラーリ348」が買えるんですよ。

――とはいえ、こちとら年収300万円ですから、毎月のローンを払えるかどうかがめちゃめちゃ心配なんですが?

榎本さん もちろん人によるとは思いますが、まぁ大丈夫じゃないですか? ボーナス併用の120回払いであれば、月々の支払額はせいぜい2万5000円ぐらいですから(※下記支払い例参照)

フェラーリ348tb。700万円あれば程度のよい348が探せるという

【フェラーリ348 ローン支払例】
車両本体価格 700万円
頭金 200万円
残金 500万円
利率 1.9%
支払回数 120回
月々の支払金額 2万5180円
月々の支払金額最終回 2万5212円
ボーナス加算額 12万3863円
ボーナス加算額最終回 12万3856円
分割支払金合計 549万8885円
支払総額 749万8885円

――うおっ! 月々2万5000円ぐらいならたぶんなんとかなるし、ボーナス加算額の約12万4000円っていうのも現実的というか、「気合入れればなんとかなりそう」って感じですね!

榎本さん そうなんですよ。フェラーリとは、決して「ものすごい遠く」にあるものではないんです。

――……でも、月々の支払いのほかにメンテ代もけっこうかかるんじゃないですか? そっちまで含めて考えると、やはり維持する自信が……。

榎本さん いえいえ、フェラーリのメンテナンス代なんて安いものですよ。エンジンオイル&フィルター交換にかかるのが約3万円/年で、車検のときにかかるのが総額で25万円ぐらい。それ以外のお金はほとんどかからないと思います。

――そ、そんなモンなんですか?

榎本さん もちろんこれは、多くのフェラーリオーナー様同様に「上モノを買って、そのうえで年間2000kmぐらいしか走らない」という条件付きの話です。

 バンバン距離を走られる方の整備費用はもっとかかってしまいますし、リセール価格も下がります。

 しかしフェラーリというのは年に2000kmも乗れば深〜い満足に浸れてしまうクルマですので、弊社のほとんどのお客様は、このぐらいのメンテ費用で済んでいらっしゃいますよ。

――そうでしたか……。でも正直、348ではなくF355が欲しいと思っている人は多いと思います。……年収300万円でもF355、イケますかね?

1997年式フェラーリF355ベルリネッタ、1380万円、6MT、新車並行車、2万9000km

榎本さん MTのF355のギリギリ合格ラインが1100万円で、きちんとお勤めされている年収300万円の方のローンMAXが500万円ですので、「頭金600万円」をご用意できるならばイケますね。

――頭金600万円は……正直キツいです!

榎本さん となりますと、お仕事のほうを頑張って年収600万円になっていただければ900万円のローンが通せますので、頭金は200万円で済みますね。

――なるほど……モロモロ頑張ります。ではこれが最後の質問になりますが、フェラーリって、そこまでして手に入れるべきものなんですかね? 要するに、買えばシアワセになれるんでしょうか?

榎本さん ご興味のない方に無理やりお薦めするつもりはありませんが、もしもフェラーリにご興味を持っている方だとしたら、もう間違いなくシアワセになれますね。

 30年来、40年来の夢がかなうというのは本当に素晴らしいことですし、走行距離を延ばさなければ、将来的なリセール価格も絶対に大きくは下がりません。そしてフェラーリを所有していれば、周囲から一目置かれるようにもなりますしね。

――一目、置かれますか?

榎本さん それはもう置かれまくりですよ! 想像していただきたいのですが、例えば会社に地味な感じの同僚がいたとして、普段はその人のことを内心けっこうナメてるんですけど、ある日、その人の愛車が「フェラーリ」だと知ったら、どうお感じになりますか?

――なんかこう「ヤバい!」って感じですかね? 「さえない奴だと思ってナメてたけど、うかうかしてるとコイツに足元をすくわれかねないな」なんて思うかもしれません。

榎本さん ですよね。なんというか「愛車がフェラーリ」って、「携帯にかかってきた電話にほぼネイティブな英語で応えてる」ぐらいのインパクトがあると思います(笑)。

 まぁそういった「周囲に一撃を食らわす」というのがフェラーリを買うことの第一義ではなく、あくまで「自分の夢のため」ではあるのですが、いずれにせよ、きちんと整備された良質な中古フェラーリは必ず人をシアワセにします。

 もしも本当にご興味があるのであれば、前向きにご検討されることをお薦めしたいですね。

――押忍、了解です!

1988年式フェラーリ328GTB、1080万円、EU並行車、走行距離6万2000km
F355とかにはこだわらず、比較的安価なモンディアルに注目してみるのもひとつの手ではある。写真は1993年式フェラーリモンディアルTカブリオレ、598万円、D車、走行距離4.1万km

※   ※   ※   ※   ※

 年収300万円のサラリーマンでもフェラーリの中古車はかろうじて買えるし、維持費も含めて、決して無謀な夢物語ではないことがわかった(実際にはギリギリの生活を強いられるとは思いますが……)。

 しかも、走行距離を延ばさなければ、将来的なリセール価格が絶対に大きく下がらないことも嬉しい。

 みなさん、いかがでしたでしょうか? 一生に一度はフェラーリに乗りたいと思っていた方、ぜひ、いっちゃってください!

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