BMW、VW、ベンツら輸入車のフルタイム4WDの性能ってどうなの?

■スポーツモデルに好んで選択される4WD

 4WDの本来の目的である走破性や操縦安定性の向上はもとより、エンジンの高出力化に対して、大パワーを確実に路面に伝えるため4輪にパワーを分散できる4WDのほうが都合がよいことから、これまで最高性能版を後輪駆動としていたBMWやメルセデスベンツも4WD化を進めている。

 AMG系モデルはすでに大半がそうだし、Mモデルも次期M5は初めて4WDになるという噂があるくらいだ。

 ただし、AMGではデフォルトの駆動力配分を後輪よりとしたり、次期M5では任意に後輪駆動を選べるようにする(という噂もある)など、スポーティな走りを意図したものとなっていることには違いない。

 そのほか、ハルデックスカップリングが駆動力をフロントとリアに配分するランボルギーニや、ポルシェ911の4WDもビスカスカップリング方式のマルチプレートクラッチから今や電子制御式のポルシェトラクションマネージメントを採用するなど、スポーツカーもオンデマンド型に移行。

 新型パナメーラやカイエンでは後輪操舵システムやロール安定化システムなどを統合制御する新時代のオンデマンド4WDを採用しているのが大きなポイントだ。

612ps/86.7kgmの大パワーを発揮するメルセデスE63Sは4WD(4マチック)を採用。スポーツのための4WDという考えは欧州でも一般的になってきた
612ps/86.7kgmの大パワーを発揮するメルセデスE63Sは4WD(4マチック)を採用。スポーツのための4WDという考えは欧州でも一般的になってきた

輸入車各車の4WD制御方法とは?

 輸入車は前述したように、さまざまな制御方式で4WDをラインアップしている。以下に代表的な5車種を挙げてみた。

【フォルクスワーゲン】

センターデフなしで前後輪にハルデックス社の電制による油圧作動の多板クラッチを入れた第5世代のシステムを採用するVWの4MOTION
センターデフなしで前後輪にハルデックス社の電制による油圧作動の多板クラッチを入れた第5世代のシステムを採用するVWの4MOTION

【メルセデス・ベンツ】

AクラスやGLAなどFFベースはトルクオンデマンド方式の4MATIC。FRベースのC、E、S、SUV系は基本、前輪33:後輪67の遊星ギアの4MATIC(車種により前後輪配分は異なる)
AクラスやGLAなどFFベースはトルクオンデマンド方式の4MATIC。FRベースのC、E、S、SUV系は基本、前輪33:後輪67の遊星ギアの4MATIC(車種により前後輪配分は異なる)

【BMW】

FRベースのxDriveは電子制御多板クラッチを用いて前50:後50から前0~後100まで走行状況で可変配分。FFベースもファイナルドライブに一体化した電子制御多板クラッチを採用する
FRベースのxDriveは電子制御多板クラッチを用いて前50:後50から前0~後100まで走行状況で可変配分。FFベースもファイナルドライブに一体化した電子制御多板クラッチを採用する

【ボルボ】

ボルボのオール・ホイール・ドライブも通常FFで駆動輪のスリップに瞬時に反応するオンデマンドタイプの第5世代のハルデックスカップリング製(V40、V60、最新XC90など)
ボルボのオール・ホイール・ドライブも通常FFで駆動輪のスリップに瞬時に反応するオンデマンドタイプの第5世代のハルデックスカップリング製(V40、V60、最新XC90など)

【ポルシェ】

新型パナメーラや新型カイエンにはリアアクスルステアリングや3チャンバー式エアサスペンション、ロール安定化システム「PDDC」など、これらを統合制御するアクティブ制御のポルシェ4Dシャシーコントロールシステムを装備する
新型パナメーラや新型カイエンにはリアアクスルステアリングや3チャンバー式エアサスペンション、ロール安定化システム「PDDC」など、これらを統合制御するアクティブ制御のポルシェ4Dシャシーコントロールシステムを装備する

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