2018年7月5日に発売されたスズキジムニー&ジムニーシエラ。本サイトではこれまで何度もジムニーの納期情報をお伝えしてきた。
2019年末あたりに、それまで約1年だった納期は8カ月まで短縮していたが、2020年4月に入り、コロナ禍の影響により1年以上と再び延びていた。
その要因としては、国内での人気の再燃に加えて、ヨーロッパを中心とした海外からの旺盛な需要、そして新型コロナ禍感染拡大の影響でサプライヤーからの部品供給が滞り、ジムニー&ジムニーを生産している湖西工場(静岡県)が一時操業停止および一部操業停止となっていたからだ。
しかし、2020年5月下旬以降、ジムニー&ジムニーシエラを生産している湖西工場(静岡県)の一部操業停止が解け、2勤の通常生産に入っている。
さて、2020年8月下旬現在、ジムニー&ジムニーシエラの納期は改善されたのだろうか? ジムニーの販売現場を調査した。
文/谷山 雪
写真/谷山 雪 ベストカーweb編集部 スズキ
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5月以降販売台数は急回復している!

2018年7月の発売直後の頃は「1年半ぐらい」と聞いていたスズキ ジムニーの納車待ち。その後、8カ月待ちに短縮し、コロナ禍の影響を受けた2020年4月には再び1年半待ちとなっていたが、はたして改善されたのだろうか?
その前にコロナ禍によって大幅に落ち込んだジムニー&ジムニーシエラの販売台数は回復したのか見ていきたい。
コロナ禍の影響により、ジムニー&ジムニーシエラを生産している湖西工場は操業一時停止または、一部操業停止の措置が行われたが2020年5月25日以降は1日2勤務体制となり、通常操業となっているようだ。
それを裏付けるように新車販売台数が2020年5月以降、急回復している。ジムニーは6月から回復し、6月3551台(対前年比155.3%)、7月3740台(対前年同月比158.0%)。ジムニーシエラは5月827台(129.4%)、6月2028台(103.5%)、7月2099台(337.5%)と7月の伸びが顕著だ。
都内のスズキディーラーを直撃!
さて、本題に戻ろう。「さすがにそろそろ納車待ちもある程度は解消されているのでは?」ということで、都内のスズキ正規ディーラーに行ってみた。筆者は半年ぐらいであれば、待つ自信はあると望んだのだが……。
筆者が一番欲しいと思っているのはジムニーXC(最上級グレード)の5MTで、色はミディアムグレーだが、もうこうなったらグレードも色もなんでもいい。早めに納車されるのであれば、MTじゃなくて4速ATでもいいですよ! というぐらいの勢いで営業マンに迫った。
スズキ営業マン う〜ん、大変申し訳ございません。今なお1年ぐらいお待ちいただかなければならないんですよ。いや本当に恐縮です……。
――そ、そうなんですか? 相変わらず?
スズキ営業マン そうなんですよ。この9月に工場のほうで生産に入るのが、ちょうど昨年の9月にご注文をいただいたぶんなんです。
そうやって順番にお作りしていますので、本日ご注文をいただいたとしたら、やはりご納車は1年ほど先……ということになります。申し訳ございません!
――いや、別にセールスさんを責めているわけではないので、謝っていただいても困っちゃいますが、そうなんですか……(溜息)。
別のボディカラーを注文すれば、もうちょっと早くなったりしないんですか? 例えば、いかにも不人気そうな「シフォンアイボリーメタリック ブラック2トーンルーフ」にするとか?
スズキ営業マン 申し訳ございません、『ボディカラーによって納期が変わる』ということもほとんどないんです。
ミディアムグレーでもジャングルグリーンでも、そしてシフォンアイボリーメタリックでも、同じくおおむね1年待ちです。
といいますか正確には、今お客様がおっしゃった『2トーンルーフ』ですと、さらに2〜3カ月ほど余計にお時間を頂戴することになります……。
――1年3カ月待ちはちょっと強烈ですね……。グレードをXCじゃないやつにして、MTじゃなく4速ATにしても、納期は同じですか?
スズキ営業マン グレードによる差もほとんどありません。また4速ATにということですが、MTよりもATのほうが人気がございますので、はたして納期短縮につながるかは……。
――そうですか……。ところで、ほかのお客さんは、みなおとなしく1年間じっと待ってるんですか? キャンセルせずに?
スズキ営業マン もちろん、なかにはキャンセルされるお客様もいらっしゃいますが、そういったケースは少数で、大半のお客様はそのままお待ちいただけているようです。
――みなさん1年とか1年3カ月とか、よく待てますね~。
スズキ営業マン まぁほかにもう1台おクルマをお持ちの方もいらっしゃいますし、そうではない場合は、早めにご納車できる新車や中古車を、“つなぎのクルマ”として当店で買われる方も多いんですよ。
――なんと、クルマを買うためにまた別のクルマを買うという、2段逆スライド方式ですか!
スズキ営業マン ……??? その逆スライド方式というのはちょっとわかりかねますが、ジムニーとある意味似た感じのオフロードっぽさも感じられるハスラーの新車、あるいは中古車をお買い求めになり、それに乗りながらのんびり1年ほど待つというお客様はけっこういらっしゃいます。
サブディーラーでの販売状況は?
いやはやなんとも。首都圏の直営ディーラーではどこも状況はほぼ同じと考えられるため、お礼を言ってここは退去することにして、次はサブディーラー(副代理店。街の整備工場がメーカーの営業所として登録された店舗)に行ってみよう。いわゆる「アリーナ店」というやつだ。
――こんにちは〜。ジムニー買いたいんですけど、なる早で納車になるやつって、何かないですかね?
スズキ営業マン いや〜申し訳ございません、今からですとだいたい1年ぐらいお待ちいただくことになってしまうのですよ!
――やっぱりそうでしたか! ……世の中、甘い話やうまい話というのはないものですね。えーと、ダメ元でお聞きしますが、ボディカラーやグレードの指定を変えても、納期は変わりませんか?
スズキ営業マン どの色もどのグレードも、だいたい同じなんですよ。あ、2トーンルーフですと、さらにちょっとお待ちいただくことになります。
――そこも同じですか! ううむ、ならば「キャンセル待ち」でなんとかならないですかね?
スズキ営業マン キャンセル待ちをしていただくのももちろん歓迎いたしますが、そちらもやはり“順番”ですし、特に販売の中心である4速ATのモデルですと、キャンセル待ちのほうにも多くのお客様が並んでらっしゃいますので……。
――なら、5速MTのキャンセル待ちをすれば、意外と早く入手できるかもしれないということですか?
スズキ営業マン 4速ATよりは若干早いでしょうね。しかしそれにしたって、“今すぐ”というのは難しいですね。ATよりは少ないとはいえ、5速MTをご注文されているお客様もやはり多いは多いですから。
――そうですか……。ならば、あそこに置いてある「試乗車」を買えたりはしないんですか?
スズキ営業マン 申し訳ございません、あの試乗車も、まだまだ『試乗車として』活躍してもらう予定ですので、お売りするわけには……。
――ですよね……。ありがとうございました。またちょっと家で検討してみます。
ということでアリーナ店を退去したわけだが、さてどうする? ……こうなったら「地方狙い」か?
人口が少なそうな、例えば「島根県」あたりのスズキ販売店に電話してみれば、意外とポロッと即納新車が1台ぐらい転がっているのではないだろうか?
だがしかし、地方のディーラーやサブディーラーにおいても結局は同じく「新車は約1年待ち」とのことであった。
聞けば、たしかに需要は(東京とかと比べれば)少ないが、割り当てられる数もそのぶんだけ少ないため、要するに同じことなのだそうだ。無念。
中古車を狙うしか道はない!?
……となると、選択肢は2つしか残されていない。ひとつは、「今持ってるクルマに乗りながら、おとなしく1年ほど待つ」という方法。そしてもうひとつが「とっとと中古車を買う」という方法だ。
現在、現行型ジムニーの中古車流通量は、カーセンサーnetによれば全国で344台。その内訳はおおむね以下のとおりとなっている。
【年式別】
・2018年式:85台
・2019年式:114台
・2020年式:145台
【走行距離別】
・0〜0.5万km:261台
・0.5万〜1万km:56台
・1万〜2万km:42台
・2万〜3万km:6台
・3万〜4万km:0台
・4万km〜:1台
【グレード別】
・XC:239台
・XL スズキセーフティーサポート装着車:27台
・XL:49台
・XG スズキセーフティーサポート装着車:7台
・XG:21台
……要するに今、現行型ジムニーの中古車は「走行距離5000km以下の最上級グレード(XC)が大半」ということであるようだ。
ならば、その走行5000km以下のXCをさらに細分化してみよう。
・走行0〜50km:108台
・走行51〜100km:7台
・走行101〜200km:9台
・走行201〜500km:8台
・走行501〜1000km:20台
・走行1001〜2000km:12台
・走行2001〜3000km:8台
・走行3001〜4000km:10台
・走行4001〜5000km:56台
これまた要するに、現在流通している走行0.5万km以下のジムニーXCの中古車は、「その大半は走行50km以下の登録済み未使用車(昔で言う新古車)」ということだ。
登録済み未使用車のXCの相場は、ズバリ「諸費用コミで250万円前後」といったところ。
ただしこれにはディーラーオプションであるカーナビやETC、ドラレコなどは付いていないため、実際にはこれプラス20万円ほど、つまり「総額270万円ぐらい」というのが、未使用中古XCの実際の相場である。
これに対し、新車のXCにナビとドラレコとETC2.0を付けた場合の総額がおおむね220万円なので、登録済み未未使用車には「だいたい50万円ぐらいの即納というプレミアム価格が乗っけられている」ということになるだろう。
さて、この約50万円を妥当と見るか、それとも「ふざけんな!」とするかは人それぞれの価値観次第だろうが、少なくとも筆者は今、「……おとなしく1年待つことにするか」という気分になっていることを、一応ご報告しておこう。