2016年4月に販売終了したランサーエボリューションに続いて、2019年8月にパジェロの国内販売が終了した。
そして2020年8月、岐阜県坂祝町にある三菱自動車の子会社でパジェロを37年にわたって製造してきた「パジェロ製造」が2021年上期をもって閉鎖されることが発表された。
パジェロといえば、1980年代後半から1990年代半ばまでクロカン四駆ブームを巻き起こした三菱のDNAといえるクルマだ。
そのパジェロの新車が買えなくなってから1年、そして工場閉鎖とくれば、気になるのは最終型となった4代目パジェロの中古車が高騰するのではないかということ。
そこで、現在最終型パジェロの中古車相場はどうなっているのか? 中古車事情に詳しい萩原文博氏が解説する。
文/萩原文博
写真/ベストカーweb編集部 三菱自動車
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すでに最終型パジェロの国内販売を終了してから1年が経過
まずは、最終モデルとなった4代目パジェロはどんなモデルだったのか、振り返ってみよう。
4代目パジェロは、2006年10月のフルモデルチェンジで“地球基準のオールラウンドSUV”というキャッチコピーで登場した。
シャシーは先代モデルから踏襲した信頼性、耐久性の高い、モノコックボディにラダーフレームを溶接したビルトインフレームモノコックボディに改良を加えたものだ。スポット溶接部位の拡大、カウルトップの高剛性化そして高張力鋼板を採用した。
さらに適所に構造用接着材を使用することでボディ剛性を向上させている。エンジンフードなどにアルミ合金を採用したのをはじめ、車体軽量化や前後重量配分の適正化を行っている。
また、サスペンションも従来型から踏襲した4輪独立懸架方式のフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式を採用。
スプリングやショックアブソーバー、ゴムブッシュの特性を改良することで、ロールの少ない安定感の高いコーナリング特性とフラットな乗り心地を両立している。
3ドアのショートボディと5ドアのロングボディの2種類のボディをラインナップ。エンジンは3L、V6 SOHCそして3.8L、V6 SOHCの2種類が用意された。
トランスミッションは3L、V6エンジンは5速MTと4速AT、3.8L、V6エンジンには5速ATが組み合わされている。
駆動方式は2WDと、4つのモードの切り替えが可能なスーパーセレクト4WD-IIを採用。センターデフロックによる高い悪路走破性に加えて、前後トルク配分33:67のセンターデフをベースにビスカスカップリングによるトルク可変制御を行うなど、変化する路面で常に最適な前後駆動力の配分を実現。
加えて、高いトラクションによる安定性、優れたハンドリングを実現する。最終型のパジェロは2006年の販売開始以降も改良が加えられた。
2008年10月の一部改良では約4年ぶりにディーセルエンジンが復活した。先代モデルでも搭載されていた3.2L、直4ディーゼルターボエンジンをベースに可変容量式ターボチャージャーの採用。
コモンレール式燃料噴射装置、NOxトラップ触媒、DPFといった先進技術を搭載し、排気ガスのクリーン化を図っている。そしてこのタイミングで4速ATは5速ATへと変更されている。
2009年の一部改良では、3Lガソリンエンジンが改良を行い燃費の向上。一方の3.2Lディーゼルエンジンは、制御の見直しによって燃費を向上させている。
2010年の一部改良では3.2Lディーゼルエンジンが大幅改良され、環境性能が向上。その結果、ポスト新長期規制をクリアしたことで、エコカー減税に適合し、自動車取得税、自動車重量税が免除されるようになった。
2012年の一部改良で5速MTの廃止。2018年2月にショートモデルの生産を終了した。
そして2018年10月に最後の一部改良を実施し、2019年4月に特別仕様車のファイナルエディションが700台限定で発売。
そして2019年8月31日に公式サイトから削除され、約37年に渡った日本国内でのパジェロの歴史に幕を下ろした。
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