日産アルティマにプロパイロット搭載!! 日本でも売ってくれー!

日産アルティマにプロパイロット搭載!! 日本でも売ってくれー!

 2020年9月26日から10月5日の日程で開催された、北京国際モーターショー2020。この場で日産は、中国で「アリア」を初公開、合わせて「プロパイロット」をはじめとした「ニッサン インテリジェント モビリティ」のデモンストレーションを、キャッシュカイ、エクストレイル、アルティマで行うなど、中国市場に向けて猛烈にアピールした。

 中でも注目は「アルティマ」だ。中国では一時期、ティアナが大人気となったことから、その後継車となる新型アルティマも、再びヒットが狙える一台になるだろう。

 日本では、2019年12月でティアナが生産終了となったため、現時点、日産のミドルクラスのセダンは、スカイラインのみだ。アルティマは、日本でも「カッコいい!」と声が上がり、日本導入が熱望されているモデルであるが、果たして日本市場投入はありうるのか、考察していこう。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA

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中国向け新型アルティマとは!?

 今回登場した「アルティマ」だが、実は2018年11月に行われた広州モーターショーの場で、中級セダン「ティアナ」の全面改良モデルとして公開されていた。これまで中国市場では、「ティアナ」の名称で販売されきたが、グローバルに展開している「アルティマ」に統一されたのだ。

 もともと、ティアナとアルティマは姉妹車であったことから、名称統一は「アルティマ」ブランド強化を狙った判断、ということだろう。

2018年に登場した北米向けのアルティマは、北米キャントン工場生産となる。対する中国向けのアルティマは、東風汽車有限公司の湖北省襄樊(ジョハン)乗用車工場で生産予定

 今回の新型アルティマの特徴のひとつめが、世界初の量産型可変圧縮比エンジン「VCターボ」だ。圧縮比を8対1から14対1の間でシームレスに変えることで、燃費と動力性能の両立を図った、日産の自信作だ。

 ちなみにアルティマには、この他にも、北米向けモデルで、4輪駆動システム「インテリジェント4×4」を搭載した2.5リッターガソリンエンジン仕様、という魅力的なモデルがある。中国市場には、そのエンジンの代わりとして、2.0リッター直4ガソリンエンジン(MR20)が用意される。こちらはFFのみだ。

リアのスタイリングもカッコよい!このまま日本にも導入してほしい一台だ

 ふたつめは、自動運転の要素をもった技術「プロパイロット(1.0)」を中国向けに初めて搭載する点だ。一定の速度範囲では、車線中央の走行を維持するようステアリング操作をアシストする。

 その他の詳細については現時点発表がなく、推測の域を出ないが、今回の中国市場向けアルティマは、これまで通り、中国国内生産(東風汽車有限公司の湖北省ジョハン乗用車工場)となるため、中国スペシャルグレードが誕生する可能性は高い。

 ちなみに、インフィニティQ50(日本名スカイライン)にも、中国仕様には、ロングホイールベースモデルがある。

日本導入も「なくはない」

 アルティマの日本導入についての判断材料は、ライバル車であるトヨタ・カムリの動向だろう。カムリもまた、ミドルサイズセダンに分類される世界戦略車であり、北米や中国市場では、アルティマとガチンコライバルの関係だ。

カムリはしっかりと売れている!日本国内でミドルサイズセダンの需要がないわけではない、ということだ

 国内市場のカムリの動向をみると、現行モデルが発売された2017年(7月~)が18854台、2018年21295台、2019年19221台、2020年(1月~8月)は7660台となっており、今年に入ってからも月販1000台ほど売れている。つまり、日本国内で、ミドルサイズセダンの需要がないわけではない、ということだ。

 日産のミドルサイズセダンが、高額車であるスカイラインしかないことから、アルティマを国内販売すれば、それなりに売れる可能性はあるだろう。

 ただ、アルティマが、カムリのように売れるためには、トヨタのように、クルマの手入れを頻繁に行う必要がある。トヨタは毎年のように商品改良を施し、商品力のブラッシュアップを欠かさない。どんなにアルティマが出来のいいクルマであっても、日産が手入れをしなければ、アルティマは、カムリにはなれない。

ティアナがもっていた、おおらかで優しい雰囲気のミドルサイズセダンは、日本に必要ではないだろいか
ティアナがもっていた、おおらかで優しい雰囲気のミドルサイズセダンは、日本に必要ではないだろいか

 また、アルティマを国内導入するための、一番のネックは生産工場であろう。国内向けティアナ(L33型)は、日産九州工場で生産されていたため、アルティマも、生産ラインを日本で確保するとなると、この九州工場となる可能性が高い。

 しかし、ある程度の生産台数が確保できないと、生産設備への投資対効果が得られず赤字となるため、日産としては、ここまでしてアルティマを国内導入することはしない、と考えられる。

 しかし、「キックス方式」という可能性がある。日本市場向けのキックスを生産しているタイ(タイ日産)は、右ハンドルのL33を生産してきた工場であり、新型アルティマが生産されるとなると、キックスのように、タイ生産のアルティマを国内に、という可能性があるのだ。

キックスはタイにて生産され、日本へ輸入されてくる

 当初は、タイ生産による品質について問題視されていたが、国内工場と大差ないレベルに来ているのは、キックスの出来の良さを見て実感できた。新型アルティマも、国内導入の可能性は「なくはない」だろう。

 現時点、日本国内で、VCターボを積んだ日産車はない。ぜひとも、「世界のアルティマ」を、ここ日本の道で乗ってみたいものだ。

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