近年はインターネットの普及もあり、パソコンのディスプレイを通じて世界各国で「日本で買えない魅力的な海外専売の日本車」をよく目にするようになったのだが、最近はそういったモデルが特にトヨタ車に増えているように感じる。
ここでは最新のトヨタ車を中心に面白そうな海外専売車を紹介してみたい。興味ある魅力的なクルマがあったら、ぜひ日本でも販売してもらえるようメーカーにリクエストしてほしい!
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※本稿は2020年10月のものです
文/永田恵一、ベストカー編集部、写真/TOYOTA、NISSAN、SUZUKI、MITSUBISHI
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号
■86、92、101時代のグレード名復活 トヨタ カローラAPEXエディション
アメリカ向けカローラの2021年モデルに設定されたAPEXエディションは、6000台限定となるスポーツモデルだ。
まず日本人にとってはAE86、92、101と3世代のカローラレビン&スプリンタートレノで1.6LスポーツツインカムNAを搭載したGT系の最上級グレードに使われたAPEXの名前が懐かしい。
RAV4などと同じ2LNAエンジン搭載車をベースにしたAPEXエディションに施されたチューニングは、
●エクステリア/フォグランプのブロンズの縁取り、エアロパーツ、ブラックの18インチアルミホイール、専用マフラー
●インテリア/専用シート地、専用トリム
●足回り/車高を15mm下げたスプリング、強化されたスプリングに合わせたダンパー、スタビライザーの強化、専用チューニングの電動パワステ
と、主にフィーリングの向上を狙った比較的ライトな内容だ。なおAPEXエディションはCVTが基本だが、6000台のうち120台が6速MTとなる。
■日本よりひと足早く登場! トヨタ カローラGR SPORTシリーズ
トヨタの欧州部門であるトヨタモーターヨーロッパは7月17日、カローラセダンにGR SPORTを設定した。

ちなみにこれまでに欧州ではハッチバック版のカローラスポーツとワゴン版のカローラツーリングにはすでにGR SPORTが設定されており、その成功もあって今回セダンにもGR SPORTが導入されることになった。
エクステリアでは低いスタンスを強調するための演出としてフロントグリルやドアミラーカバー、センターピラーなどをピアノブラックに塗装。
リアセクションでは、トランクに控えめなトランクスポイラーを装着したほか、アンバーの上にリアブラックガーニッシュを装備し、スポーティ感を際立たせている。
一方、インテリアではサポート性を向上させたシートを装備。サイドクッションやクッションボルスター、ヘッドレスト一体設計タイプに。
今年11月から生産を開始し、来年1月から販売が開始される。日本にもゼヒ!!!
■シリーズナンバーワンの売れ筋に!? トヨタ カローラクロス
前号でも紹介したトヨタのタイ工場製であるカローラクロス。リーズと同じくTNGA(GA-C)プラットフォームを採用している。
ただし、リアサスにはほかのカローラシリーズがダブルウィッシュボーンを採用しているのに対し、このカローラクロスは新型のトーションビーム式を採用する。
パワートレーンは直4、1.8L+モーターのハイブリッド(リダクション機構付きTHSII)と、直4、1.8L DOHC(140ps/18.1kgm)の2本立てで、駆動方式はFF。
運転席の高いアイポイントでブラインドスポットを低減しており、広い視界を実現しているほか、クラストップレベルの荷室容量440~487Lを誇るユーティリティの高さと最小回転半径5.2mという取り回しのよさがウリだ。
気になるボディサイズは全長4460×全幅1825×全高1620mm、ホイールベース2640mmで、かなりワイドなCセグカテゴリーのSUVとなる。
同じTNGAプラットフォームを採用したC-HRが全長4360×全幅1795×全高1550~1565mmだから、カローラ クロスは少しC-HRよりサイズ感が上。
■スズキ版RAV4 アクロス
RAV4PHVのスズキ仕様として欧州で今年秋から投入されるのが、このアクロス。昨年3月にトヨタとスズキの協業が発表されていたが、その一環として登場。
で、このアクロス、かつて二輪車で同社が販売していた250ccバイクと同じ名前を復活させたもの。
直4、2.5Lハイブリッドにリチウムイオンバッテリーを搭載するのはRAV4PHVと同じだが、フロントマスクは武骨なRAV4に比べて、キリリと引き締まった印象だ。
■欧州では昨秋にフルモデルチェンジ! 日産 2代目ジューク
日本では初代モデルが昨年かぎりで生産終了し、その後継モデルとして今年キックスがデビュー。しかし、昨年9月に欧州で登場した2代目ジュークは日本では現時点でも導入されずじまい。
2代目ジュークは初代モデル同様にフローティングルーフを採用したクーペSUVスタイルを踏襲し、躍動的なエクステリアを実現。
ジュークのアイデンティティとも言える丸型LEDヘッドランプに加えて、Vモーショングリル、Y字型シグネチャーを組み合わせている。
また、プロパイロットに車載Wi-Fiなどの先進技術を採用したほか、直3、1Lターボに6MTと7速DCTを組み合わせている。
インテリアでは、後席ニースペースを5.8cm、ヘッドルームを1.1cm拡大したほか、ラゲッジルームも初代から約20%拡大した422Lを確保している。キックスもいいけど、この2代目は?
■北米で2020年末登場へ マツダ3 ターボ
マツダの北米部門は7月8日、マツダ3の2021年モデルに直4、2.5Lターボの「SKYACTIV-2.5T」を搭載したモデルの設定をアナウンスした。
ファストバックとセダンの両方に用意されるが、マツダ3はその前身のアクセラ時代から「マツダスピードアクセラ」名で、264ps/38.7kgmの直4、2.3Lターボを積んだFFターボスポーツモデルを設定していた。その後継車となるのは間違いない。
ただし、今回の2.5LターボにはFFではなく、4WDのi-ACTIV AWDが組み合わされる。スペックは最高出力253ps/最大トルク44.2kgm。
現在、日本国内のマツダ3エンジンラインナップは1.5&2LガソリンNA、1.8Lクリーンディーゼル、2LマイルドハイブリッドのSKYACTIV-Xだが、スポーツモデル復権のためにも、ここはぜひ日本市場にも!
■アジアのベストセラーカー! 三菱 エクスパンダークロス
三菱が海外専売の3列シートミニバン、エクスパンダーのクロスオーバーSUV版としてエクスパンダークロスを昨年11月からインドネシアで販売開始している。
ボディサイズは全長4475×全幅1750×全高1695mmで、日本のモデルでいえばホンダの初代CR-Vに2列シートをつけたモデルだといえば、イメージがつかみやすいかも。
エンジンは最高出力105ps、最大トルク14.1kgmの直4、1.5L NAに4速ATと5速MTが選べ、駆動方式はFFのみ。
ミニバンのエクスパンダーの最低地上高205mmからさらに20mmアップされた225mmを持つSUVであり、現地インドネシアの価格で約190万~213万円という設定は、日本でも充分売れそうな雰囲気を持つ。
ここは担当としてぜひ日本導入を熱望しておきたい!
■インドで日産の新たなSUV発表! マグナイト
日産が7月16日、インドで発表したのがこの新型コンパクトクロスオーバーSUV、マグナイト。
今年5月の中期経営計画「NISSAN NEXT」のなかで発表された「M」という新型車がこれだったようだが、キックスよりやや下のカテゴリーになり、キックスとはまた違った個性が与えられている。
車名のマグナイトは「マグネティック」(ユーザーを惹きつけるデザインと製品属性)、「イグナイト」(新たな時代の始まりの期待を込めた)を組み合わせたもの。