トヨタシエンタ失速!! 前年比販売7割減の手痛い裏事情

トヨタシエンタ失速!! 前年比販売7割減の手痛い裏事情

 ここにきて販売台数が失速しているのがトヨタ「シエンタ」だ。かつては販売台数ランキング1位を獲得したこともある人気車だが、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)の発表している2020年4~9月の累計販売台数で、同じくトヨタの「ルーミー」に逆転を許している。

 トヨタでは、「ルーミー」だけでなく「ライズ」「ヤリスクロス」などが登場し人気となっているが、そういった身内のライバルにシェアを奪われているのだろうか? なぜかつての王者シエンタがここ最近苦戦を強いられているのか、その理由を探る。

文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、HONDA、編集部

【画像ギャラリー】歴代シエンタと失速も堅実に売れている現行型シエンタの詳細をチェック!!


■前年比70%以上ダウン! 数字で見るシエンタの現状

 クルマの売れ方は車種によって異なるが、基本的には、新車として発売された直後が最も多い。その後は次第に下がっていく。

 最近になって、この傾向を顕著に示したのがトヨタ「シエンタ」だ。2020年9月の登録台数は、前年の26.7%に留まり、70%以上も減った。コロナ禍の影響を受けてはいるが、それ以上の減少だ。コロナ禍の影響が収まり始めた7月もマイナス50.2%、8月は52.7%の減少だから、この3カ月は前年に比べて売れ行きが深刻化している。

2015年に登場した現行型(2代目)シエンタ。折り畳むとセカンドシートの下にスッポリと収納されるダイブイン機能など使いやすい機能が充実しており、幅広い層から支持を獲得した
2015年に登場した現行型(2代目)シエンタ。折り畳むとセカンドシートの下にスッポリと収納されるダイブイン機能など使いやすい機能が充実しており、幅広い層から支持を獲得した

 このような変動が生じた時には「対前年比の対前年比」を確認することが不可欠だ。前年に大幅な増加があれば、今年大きく減っても、元に戻っただけという見方が成り立つ。

 そこで2019年9月の登録台数を見ると、シエンタは1万3558台を登録して、対前年比は185.4%に跳ね上がっていた。日産「ノート」、トヨタ「プリウス」「カローラシリーズ」を抑えて、小型/普通車の登録台数1位であった。

 それなら、さらにさかのぼって2018年9月はどうか。7314台で対前年比は84.3%だから、15.7%減っていた。そこでシエンタの過去3年間の登録台数を、9月の推移で並べると、以下のようになる。

・2018年9月:7314台  (対前年比は15.7%の減少)
・2019年9月:1万3558台(対前年比は85.4%の増加)
・2020年9月:3614台  (対前年比は73.3%の減少)

 上記のように、2018年は2017年に比べて少し減ったのに、2019年は急増して1万台を大幅に超えた。2020年は再び急減している。2019年と2020年の9月を平均すると約8600台だから、増減を均すと7000~9000台で推移する。

 現行シエンタの発売は2015年だから、すでに5年を経過した。そこまで考えると、前年に小型/普通車の1位になれば、今年に入って需要が急減することも考えられる。また2020年9月における3614台の登録台数は、トヨタ「C-HR」と同等だから、急減したといっても決して少ない数字ではない。

 上記の販売推移で気になるのは、2019年におけるシエンタの急増だ。2019年の中盤は絶好調で、7月の対前年比は156.5%、8月は157.9%、9月は前述の185.4%と増加して、8月と9月は小型/普通車の登録台数1位になった。

 シエンタは2018年9月に2列シートを加える改良を行ったが、2019年の前半には特に変更を受けていない。トヨタに急増の理由を尋ねると「特に改良を行わなくても、シエンタは1カ月に1万台以上を売ることがあります」とのことだった。

 ライバル車の動向を見ると、ホンダ「フリード」は2019年10月に、フロントマスクを大幅に変えるマイナーチェンジを実施した。「クロスター」を加えたこともあり、この影響でマイナーチェンジ前には売れ行きが伸び悩んだ。この影響でシエンタの需要が増えたことが考えられる。

外観にクロスオーバースタイルのテイストを持たせたモデル「フリードクロスター」
外観にクロスオーバースタイルのテイストを持たせたモデル「フリードクロスター」

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