ライバルはキックス、ヴェゼル、そしてC-HR
カローラクロスの国内でのライバルは、日産キックスとホンダヴェゼル、そして身内では、ヤリスクロスとC-HRあたりだろう。
2013年に登場したホンダヴェゼルはモデル末期に近い。フィットが新型へと世代交代したことで、ヴェゼルもあと1、2年でフルモデルチェンジが行われるだろう。現行モデルは、特別装備の限定仕様車や、値引きの幅の拡大もあるだろうが、カローラクロスがデビューする2021年には、おそらくヴェゼルは次期型となっているだろう。
筆者は、ヴェゼルは次期型でやや上級へシフトする、とみている。とすると、カローラクロスとはガチンコ対決となる。この、次期型ヴェゼルとカローラクロスとの新型車対決は、面白くなりそうだ。
キックスは、e-POWERによる動力性能や、ハンドリング性能は、相当な実力を持ってはいるが、約276万円(グレードX)~という高めの価格や、4WDモデルがない点が惜しいところだ。だが、カローラクロスも現時点FFのみ、価格帯もおそらくかぶるため、この2台も、良い勝負となるかもしれない。
そして、キャラクタ的に最も近いのはC-HRだ。C-HRとカローラクロスは、同じ世代のTNGAプラットフォームではあるが、より走りに特化したC-HRと、やや緩めのカローラクロス、といった感じで、ターゲットがまるかぶりするわけではない。
と、考えると、共存もできなくはない、とも思えるが、そこまでクルマのキャラクタを知ったうえで購入する人は多くはないだろう。カローラクロスが導入されたとき、最も影響が出るのは、おそらくC-HRだろう。
売り分けはしなくていい
トヨタの国内のSUVラインアップは、レクサスブランドも入れれば、合計で12車種もある。サイズの違いやパワートレインの違いはあるにせよ、どう見てもオーバーラップする部分が多い。
前述したように、カローラクロスは、C-HRとRAV4の隙間を狙うことになる。タイでカローラクロスが成立しているのは、ヤリスクロスやRAV4がラインアップにいないからだ(カローラクロスのすぐ上は、ラダーフレームのフォーチュナーや、ピックアップトラック系になる)。
カローラクロスは、やや欧州車の香りがするデザインとなっており、同じく欧州チックなヤリスクロスがウケていることを考えると、カローラクロスも支持される可能性はあるが、積極的にカローラクロスを選ぶ理由には、程よいリーズナブルさも、重要なポイントになるはずだ。
カローラクロスがヒットするには、C-HRと同価格帯(ハイブリッドは約274万円~、ガソリンCVTは約241万円~)までに下げる必要はあるだろう。
だが、「喰い合い」が起きるのは想定しながらも、トヨタは、カローラクロスも日本に導入するつもりだろう、と筆者は考える。それは、真の目的が、他社車からの乗り換えを促進すること、トヨタの販売シェアを、じりじりと押し上げることにあるからだ。
国内のライバルメーカーは、指をくわえてみている場合ではない。海外に注力したほうが商売になる、というのは理解できるが、このままでは、本国日本でのシェアは小さくなるばかりだ。
本国で廃れてしまったブランドに、説得力はなくなる。「2台に1台がトヨタ車」となるまえに、何とか海外専売SUVを持ってくるなどで、巻き返しを図ってほしい。
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