■トヨタプレミオ 2017年11月販売台数1229台
かつて高い人気を誇ったコロナの後継車種で、姉妹車のアリオンもカリーナの後継に当たる。
両車ともに混雑した市街地で運転のしやすい5ナンバーサイズのセダンで、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2700mmと長いから、後席を含めて居住性が優れている。
後席にリクライニング機能も設けた。運転のしやすいボディと広い車内の組み合わせは、実用セダンの王道を行く。
それなのに現行型はアリオンも含めて2007年に発売され、この後にフルモデルチェンジを受けていない。
2016年に比較的規模の大きなマイナーチェンジを実施してフロントマスクを刷新したり安全装備のトヨタセーフティセンスCを加えたが、1か月の販売台数はプレミオが1000台、アリオンが600台前後だ。
今はセダンが全般的に落ち込んだから、このカテゴリーでは堅調な部類に入る。
従ってプレミオ&アリオンは、エスティマと同様に廃止はできないが、多額の投資を要するフルモデルチェンジを行うには販売規模が小さい。そこでマイナーチェンジで中途半端に継続させている。
またプレミオ&アリオンでは5ナンバーサイズに価値があるが、トヨタの新しいプラットフォームは、ヴィッツやアクアのタイプを除くとすべて3ナンバーサイズになってしまう。この点にも難しさがある。
それでもトヨタが国内市場に本気で取り組むなら、ヴィッツやアクアよりも大きくて重いクルマに対応できる5ナンバーサイズのプラットフォームを開発すべきだ。
そうなれば商品力の高いミドルサイズの5ナンバー車が開発され、国内市場を必ず活性化できるだろう。
■トヨタマークX 2017年11月販売台数460台
マークXはLサイズセダンの主力車種。かつて高い人気を誇ったマークIIの後継で、トヨペット店のみが扱う。
以前のセダンは居住性の優れた実用的なカテゴリーとされ、マークIIを含めて好調に売れたが、1990年代の後半にミニバンが急増すると状況は一変した。実用的なクルマを求めるユーザーは、ミニバンを選ぶようになった。
ほぼ同時期に背が高く車内の広いコンパクトカーも続々と登場したから、相対的にセダンの実用性は低下した。
そこでセダンには新しい価値が求められた。それは背が低く、剛性の高いボディが生み出す優れた走行安定性と乗り心地だ。表現を変えれば楽しさ/安全/快適になる。
この「ミニバン時代におけるセダンの価値」を追求したのがマークXで、運転感覚とデザインの両面でクルマの楽しさを表現した。サイズはマーク2と同等だが、性格を変更したから車名も変えた。
現行型は2代目だが、2009年に発売されてから大きな変更を受けていない。そのために1か月の販売台数は600台前後で低迷する。
プラットフォームはクラウンに近いので、技術的には2.5Lのハイブリッドや2Lのターボを搭載できるが、エンジンは相変わらず旧態依然のV型6気筒で実質的に放置された状態だ。
ハイブリッドやターボを搭載しない理由として「カムリやクラウンの売れ行きを守るため」という話も聞かれたが、それは違うだろう。
マークXにこれらのパワーユニットを搭載しても、クラウンやカムリの売れ行きは影響を受けない。まったく違うクルマであるからだ。
マークXが放置される理由は、次期型の計画がなく、終了する車種になるからだ。
今後のトヨタは車種を減らし、一般ユーザー向けの乗用車はトヨタ店のクラウン、トヨペット店のハリアー、トヨタカローラ店のカローラ、ネッツトヨタ店のヴィッツを除くと、全店の併売車種になる。
つまりトヨタの戦略が海外優先になり、1968年に初代モデルを発売したマーク2の伝統を受け継ぐ国内向けのマークXが廃止されるわけだ。
トヨタを世界に通じる自動車メーカーに育てた主力車種と、そのユーザーが、忘れ去られていく。歴史とか伝統といった言葉も、空しく響く。
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