年間「売れてない車」ランキング 事情と言い分10選

 2017年の車種別年間販売台数を見てみると、売れているクルマは本当によく売れているし、売れてないクルマは本当に売れてないなあと思います。1台にかかる開発費は車種ごとでもそれほど変わらないし、製作・流通・販売コストだって大きく違わない。だからこそ、売れてないクルマを作り続け、ラインアップを維持し続けるのは本当に大変なことだと思います。
 売れてるクルマは紹介記事も山ほど出て、知名度も上がるし何より儲かる。けれど売れてないクルマはメディアの露出も減って、どんどん日陰の存在へ。しかし「日本の自動車文化」を考えると、売れてないクルマこそ、その事情と言い分に耳を傾けるべきではあるまいか!
 そんな思いを胸に、2017年1〜12月の車種別販売台数(自販連発表)の中から「売れてない車」ワースト10を紹介し、その事情と言い分をお届けします。
 なお「売れてる車」を見てみると、1位はホンダN-BOXで年間販売台数21万8478台、2位はトヨタのプリウスで16万812台、3位ダイハツタント14万1373台、4位ダイハツムーヴ14万1312台。下半期に工場の完成検査問題で生産も受注も止まった日産ノートは13万8905台で5位でした。
文:大音安弘


■10位 レクサスGS F 276台

 GS Fは、国産で唯一となった5L V8自然吸気エンジンを搭載するスーパーセダン。まさに日本のBMW M5のような存在だ。

 しかも欧州ブランドは、昨今、ターボ化とAWDにご熱心で、大排気量NAのスポーツモデルは希少な存在となってきた。

 筆者もサーキット走行した経験があるが、一見、フォーマルなスタイルのミディアムセダンだが、活躍の場さえ与えれば、スポーツカー顔負けの走りを見せる。まさに現代版羊の皮をかぶった狼である。それが1112万円で購入できるのは、バーゲンプライスといえるだろう。トヨタだっていつまでV8を続けるかわからない。ぜひ今のうちに買っておこう!(予算があれば……)

 なおレクサスは販売台数の集計をグレードごとに提出しており、この「GS」も「GS F」と「GS300h」と「GS300」と「GS450h」はそれぞれ別々に販売台数がカウントされている。「GS全体」で集計すると暦年販売台数は4257台となる。

 ちなみに上記写真は先月登場した特別仕様車「F 10th Anniversary」。25台限定で1550万円だそうです。どひー。「このマットカラー、洗車できないじゃん」と思ったのですが、そういう人は購入対象に引っかからないんでしょうね。

■9位 日産シーマ 272台

 かつては“シーマ現象”と呼ばれる大ヒットを飛ばした日産のフラッグシップも今やマイナーな存在に。その追い打ちをかけたのは、現行型がベースとなるフーガとの視覚的な違いが歴代で最も少ないことだろう。

 しかし、実はこの2台、よく見ると結構違うのだ。

 3m越えのホイールベースの専用ロングボディ、横格子の大型グリルとメッキモールによるフロントマスク、リヤエンターテイメントシステムなどはすべてシーマだけのもの。パワートレインがハイブリッドだけというのも現代の高級車らしいところだ。しかも塗装など製造工程もフラッグシップに相応しい最高級品質で作られている。

 三菱のOEM(「ディグニティ」)も2016年11月に終了したことで、唯一の存在にも返り咲いた。その価値はもっと評価されても良いかも。

■8位 レクサスIS350 254台

 レクサスの定番のひとつのスポーティセダンISの「350」がランクイン。

 ISの価値はコンパクトなボディのFRセダンであることだ。そのため、FRらしい軽快な走りを求めるユーザーには、同じガソリン車でも2LのダウンサイズターボであるIS300の方が魅力的に映るのではないかと分析する。しかも、IS350の予算があれば、わずかな負担で1クラス上のGSのエントリーとなるGS300にも手が届くのも悩みどころだ。

 ただコンパクトセダン+V6エンジンという選択で得られる、滑らかな走りとトルクに物を言わせた加速も悪くない。それだけにIS350は、通好みの選択となっているのだろう。

 なお前述の「GS」と同じくこちらも細かく排気量ごとに販売台数の届け出が分けられており、「IS」全体を合計すると暦年販売台数は6277台となる。

■7位 三菱i-MiEV 191台

「まだ売っていたんだ」と思ったあなたは、要注目。それどころか2016年12月にはパドルシフトで操作可能な6段階の回生ブレーキ機能を搭載するなど、昨今のEVニーズをしっかりくみ取ったアップデートも行われている現役バリバリなのだ。

 ライバルとなる日産リーフは確かに凄い。しかし200万円台の価格、軽サイズとRRによる取り回しのよさ、愛嬌あるスタイルなど、生活EVとしての魅力は十分にあると思うのだが……。

 またEVバンのミニキャブ・ミーブ バンも販売中。こちらもお忘れなく(商用車登録のためこちらにはランクインせず)。

■6位 レクサスRC350 135台

「またレクサスか」と思ったあなた、そのとおりですすみません。グレードごとの届け出ではなく車種ひとまとめに集計しろよと本企画担当も思ったのですが、こうした届け出方法を行っているのはレクサスだけであり、そういう届け出方法も含めてレクサスの販売戦略なのだろうな(量販車種だと思われたくない)、と考えると、ならそのとおり「売れてない車」として扱うべきかなとも思うのでご辛抱ください。

 さて。

 国産唯一のラグジュアリークーペの3.5LのV6エンジンを搭載したトップグレード「RC350」が6位にランクイン。一般的にラグジュアリークーペのユーザーの年齢層が高めで、そのスタイルに惹かれて購入する人が多い。

 またエンジン以外については、同様の仕様が選べるため、あえて3.5Lを選ぶ理由が少ないことも考えられる。

 ただ高級車に、大排気量エンジンのトルクフルな走りを求めるユーザーが一定数存在するのも確か。違いの分かる大人向けの仕様ともいえ、数が出ないのもやむなしなのである。

「RC」全体を合計すると暦年販売台数は1061台。

■5位 ホンダNSX 128台

 日本唯一のスーパーカーが5位に。

 昨今の日本市場でのハイエンドカー&スーパーカー人気を考えると「ひょっとして不人気車???」と思うのは早合点。

 新型NSXは、北米の専用工場のみで完全受注生産され、世界に向けて供給されている。しかも工程の多くの部分が手作業なので、生産時間も長い。

 去年は、日本導入の初年度となり、販売予定台数は100台と予告されていたので、まさに予定通りの順調な推移といえる。

 因みに今から発注しても、届くのは3年後とか……。日本が誇るNSXは、やはり超人気車なのだ。

■4位 レクサスRC F 107台

 2度目の登場、「RC」シリーズ。そのトップグレードがこの順位。

 最も希少なレクサスとなったRC Fは、元々スポーツ性能の高いスペシャルティクーペのRCに、レクサスが誇る5LのV8エンジンを搭載し、「F」専門チームによるトータルチューンを行ったモデルだ。

 ノーマルの「RC」よりも凄みを感じる佇まいの秘密は、エアインテーク付きのパワードームボンネットやブリスターフェンダーなど、各部に専用デザインが取り入れていることにある。もちろん、普段は従順なクルマだ。しかし、ドライバーの腕次第で次元の違う走りを見せてくれる、その1点に惹かれるものだけが選ぶ、特別な1台。この台数なのも当然だろう。

 なおこちらの表題写真も「GS F」と同じく(同時に設定された)特別仕様車「F 10thAnniversary」。こちらは限定35台で1700万円だそうです。お、おう……別世界な、という感じです。

■3位 ダイハツアルティス 98台

 多くの人が名前だけ聞くとピンと来ないはず。でも誰もが知っているあのクルマ、そうトヨタカムリのダイハツ版がアルティスだ。

 本家は2017年7月のデビュー以来、月平均3000台程を売る人気車だが、どうしたアルティス。グレードは、一部選べないオプションもあるが装備も価格もカムリのGと同じ仕様のみ。見た目の差もエンブレムぐらい。

 やはり苦戦の最大の要因は、他のダイハツ車と比べると恐ろしく高価に見えること。

 機能的な小さなクルマが手頃な価格で買えるのだから、アルティスまで目が向かないのかもしれない。下取りやサービスを考えると手を出しづらい気持ちもわかるが、「個性」を主張したい皆さん、狙い目ではないでしょうか!

■2位 三菱デリカD:3 95台

 三菱が誇るカテゴリー唯一のクロカンミニバンのデリカD:5の弟分として設定されているものの、D5と共通するのは優れたユーテリティのみ。

 この話で、一瞬、スズキソリオを思い浮かべた人もいるかもしれないが、そちらのOEM車両はD:2だ。こちらD:3の本家は日産NV200バネット(のOEM)。しかも、D:3は5ナンバーの乗用ワゴン仕様のみ。4ナンバーのバン仕様は、デリカバンとして販売中と、ちょっとややこしい。

 NV200バネットでも乗用ユーザーは限られるだけに、バンを除いた数字となれば、この台数も仕方ないだろう。

■1位 ダイハツメビウス 84台

 2017年の暦年販売台数ワースト1も、またまたOEM。

 トヨタプリウスαのダイハツ版が「メビウス」である。グレード構成は、プリウスαのエントリーシリーズとなる「S」の3タイプのみ。これまた価格も同等。ダイハツ車としては高価に見えてしまうのもアルティス同様だが、ベースであるプリウスαもすでに一世代前で、プリウスとプリウスPHVの陰に隠れつつあるのも影響しているのだろう。

 しかしながら、昨年11月の改良で「Toyota Safety Sense P」を全車に標準化。プリウスα同様にアップデートを受けている。この施策が2018年でのワースト1回避を期待したい。

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