4ドアクーペは「新しい選択肢」
近年の欧州車勢における、4ドアのクーペの流れは、2005年に登場したメルセデス・ベンツCLSが、4ドアクーペの始まりだったように思う。
流麗なクーペルックのボディを持ちながらも、後部座席用のドアがあり、乗り降りや荷物の積み替えを楽に行える「4ドアクーペ」は、オーソドックスな「2ドアクーペ」でもなく、古臭い「4ドアセダン」でもない、新しい選択肢として受け入れられるようになってきた。
それでは、現在国内で販売されている、最新の4ドアクーペをいくつかご紹介しよう
●メルセデス・ベンツAMG 35 4MATIC Sedan
2020年2月に追加された、4ドアクーペのメルセデスAMG 35 4MATIC。低くなだらかなルーフラインと、狭いサイドウィンドウが特徴的だ。ベースとなった車体はAクラスセダンであるため、ボディサイズも大きすぎず小さすぎず、ここ日本の道にもちょうどよい。
ツインスクロールターボチャージャーを採用した2.0リッター直列4気筒直噴ターボ(最高出力306ps)と7速DCT、4輪駆動を装備したAMGの快速4ドアクーペだが、車両価格もそれほど高くはない。日本でも人気があるモデルだ。
●BMW2シリーズグランクーペ
メルセデスのAクラスセダンを意識した、BMWのコンパクト4ドアクーペが、このBMW2シリーズグランクーペだ。4535×1800×1430(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2670mmのボディサイズは、コンパクトで使い勝手がよい。
低いルーフとなだらかに下がったリアガラスは、美しいリアデザインをしているが、やはり後席のヘッドクリアランスは狭く、圧迫感があるのは仕方がないところかもしれない。
●アウディA5スポーツバック
最近のアウディは、この手のデザインが非常にうまい。なかでも、A5スポーツバックは、アウディ製4ドアクーペの代表例ともいえる仕上がりだ。4755×1845×1390(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2825mmのボディサイズは、全長がやや長いおかげもあり、流麗で見事なスタイリングに仕上がっている。
2.0リッターTFSIエンジンと、2種類の2.0リッターTDIエンジンをラインアップ。ドライバビリティの高さも、A5スポーツバックの魅力だ。
クーペSUVは「デザインと使い勝手の両立解!?」
4ドアクーペだけではなく、「2ドアクーペ」も、そのルックスの良さに惹かれる根強いファンや、走りを追求するユーザーからは支持され続けており、メルセデス・ベンツは、Cクラスクーペ、Eクラスクーペ、そしてSクラスクーペなど、「ラグジュアリー2ドアクーペ」をいまでもラインアップしている。
しかし最近の主流はやはり、車高の高い「クーペSUV」ジャンルだ。メルセデス・ベンツGLCクーペ、GLEクーペ、BMW X4、X6、アウディQ3スポーツバック、Q5スポーツバック、Q8、EVコンセプトカーのQ4スポーツバックなど、怒涛の勢いで増殖している。
なかでもアウディは、SUVにも「スポーツバック」シリーズとして、クーペ軍団を構築しようと狙っているようだ。国産だと、トヨタハリアーがクーペSUVの最先端だろう。
4ドアクーペは、スタイリッシュでカッコよいのだが、ボディサイズが大きなクルマであることが多い。そのため、日本では使い勝手がいいとはいえず、これが現在国産車に4ドアクーペがない理由であろう。
2ドアクーペではどうか、というと、乗ったことのある方ならわかると思うが、ドアが大きいことから、狭い駐車場だと、ドアを開いて降りるのに一苦労する。座席を倒さないと荷物も取れないため、後席は荷物おきにもならない。
その点SUVであれば、短い全長でも、キャビンは大きいので、ルーフをなだらかに下げたとしても、室内スペースが犠牲にならず、クーペルックのデザインを採用しやすい。
そう考えると、クーペSUVは「SUVなのにクーペルックにした」というよりも、「SUVであれば使い勝手を犠牲にせずにクーペルックなクルマをつくることができた」ということなのであろう。
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