■レジェンド(2015年2月販売開始:日本)
世界で初めて自動運転のレベル3を実現したホンダ センシング エリートを搭載したレジェンド。その価格は1100万円。100台限定生産でリースのみだから、誰もが手に入れられるモデルではない。
しかし、この準自動運転を達成するためにライダーなど超高価な補器類や開発に費やした時間や人材を考慮すれば、赤字を覚悟のうえでの販売だろう。ホンダ初のハイブリッド車のインサイトの時と同じ。世の中に必要なシステムと考えてのリリースと思えるのだ。
実際に筆者自身、レベル3でのドライブは先立って行われた試乗会で体験ずみ。比較的スムーズに流れる渋滞の首都高で、合流車線でもしっかり判別して合流。これらをハンズオフ(両手放し)だけでなく構えることもなく普通に安心して運転を任せられることに驚愕。もうここまで来ているのか!! と感心した。
レベル3以外にトピックがある。それがSH-AWDだ。エンジンを横置きのFFベースに後輪を左右独立した2モーターで走らせる4WD。この2モーターが、一方が駆動時に片方が減速で回生電力を産み、そのエネルギーで片方を駆動。
これでより少ない操舵角でコーナリングできる。このシステムはNSXのフロントにも採用されている。
コックピットはこの手の高級セダンとは思えないほど低い着座位置でスポーティ。V6エンジン+ハイブリッドの加速もなかなか力強い。
そしてインテリアの高級感も高く、落ち着きのあるプレミアムな空間である。
【苦戦の要因は?】
かつてレジェンドはカー・オブ・ザ・イヤーなどのイベントのたびに開発が促進し宣伝活動も活発になった。
しかし賞取りレースが終わると忘れられたかのように放置。育てる、という意思が感じられない。今回のようなレベル3という偉業を成し遂げた途端にその生涯を閉じる。
何も言わず「南無阿弥陀仏」を唱えたい。合掌。
■クラリティPHEV(2018年7月販売開始)
もともとクラリティはFCV(燃料電池車)としてデビュー。石油に代わる次世代エネルギーへの転換に対応するには水素で走るFCVは切り札だが、まだ時間がかかる。
直近への対応をしながら近未来への対策を行うにはクラリティのプラットフォームの流用が効率的、という方向性になった。つまり、直近の対応(PHEV)、EV、インフラなどを整えながら徐々にFCVというレールを敷いていたのではないだろうか。
今一度、PHEVとなったクラリティをドライブして感じるのはその走りのよさだ。
さすがにホンダだけあって加速力が素晴らしい。スポーツモードを選択してアクセルを床まで踏みつければ、パワフルで鋭い加速に驚く。このクルマ、環境車なの? と思わずニンマリするほど。
もちろん環境性能も高くリチウムイオンのバッテリー容量は17kWhとPHEVとしては超大型。これによりEV走行距離は100kmとロングだ。さらに、そのリチウムイオン電池への充電方法はいわゆる一般家庭での200Vに加えて急速充電も可能。
これほど大きなバッテリーを搭載していてもトランクは広く、おまけにトランクスルー構造なので長尺荷物も搭載可能なのだ。バッテリーを床下に搭載するので低重心。パワステはデュアルピニオンEPSでハンドリングにもこだわる。レゾネーターを内蔵したホイールにより室内も静か。
エクステリアはリアホイールを3分の1ほど覆うフェンダーで燃費に影響する空力も徹底している。インバーターをエンジンルームにコンパクトに収める技術もスゴイ。
そして驚くほどの燃費。
【苦戦の要因は?】
売れる軽自動車やSUVに注力しすぎで、クルマ本来のよさ、メリットを伝える努力をしていない。米国ではBEV(100%EV)版も販売されているのに国内向けは廉価モデルもないワングレード販売。これでは顧客は手を出さないだろう。
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