新型Zの型式はなぜZ35ではなくZ34? 最新車のモデルチェンジ七変化

新型Zの型式はなぜZ35ではなくZ34? 最新車のモデルチェンジ七変化

 この記事をクリックしてくれた方が「フルモデルチェンジの定義は何か?」と聞かれたら、なんと答えるだろうか? 答えとして浮かぶのは「型式が変わる、プラットフォームが新しくなる、前後ないし側面のスタイルが明らかに変わっている、どれかが当てはまる」だろうか?

 この点を頭に入れて先日アメリカで発表された日産新型フェアレディZは、プラットフォームこそそのままだ。

 しかしスタイルは明らかに違い、3リッターV6ツインターボというエンジンや新設計の9速ATといったパワートレーンも新しく、前述したフルモデルチェンジの範囲ながら、型式がZ34のままなので「フルモデルチェンジなのか否か」という議論が起きている。

 そこで、「新型なのに型式が変わらないクルマ」や「新型なのに見た目はあまり変わらないクルマ」など、パターン別に整理して解説していきたい。

文/永田恵一
写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル

【画像ギャラリー】新型Zの型式が”Z34″のままってマジ?? 超ド級のビッグマイナーチェンジ&地味すぎるフルモデルチェンジ事例


■新デザイン、新搭載のパワートレーンもありながら、プラットフォームも型式も変わらず超ビッグマイナーチェンジ扱い


●型式は先代のZ34と変わらない新型フェアレディZ

上段が新型Z(北米仕様)。下段がZ34型フェアレディZ。こんなに違うが新型Zの型式はZ34のままだ

 先日13年ぶりにモデルチェンジされた新型フェアレディZは新デザイン、新パワートレーンに加え、ボディやサスペンションは全面的に見直され、インテリアもモデルチェンジ前とはまったく違う。

 さらに自動ブレーキ&先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールをはじめとした運転支援システムも装備されるようになるなど、一気に現代的なスポーツカーとなった。

 これだけ変わったのに、型式はZ35ではなく、Z34のままというのは納得できない!?

●ビッグマイナーチェンジで別モノになったレクサスIS

新型ISのボディサイズは全長4710×全幅1840×全高1435mmで、現行モデルと比べると全長、全幅が+30mm、全高が+5mm大型化。下のビッグマイナーチェンジ前と比べるとフルモデルチェンジに近い内容
ビッグマイナーチェンジ前のレクサスIS。微妙にカッコ悪いフロントマスクだ

 ベンツCクラスやBMW3シリーズのライバルとなるレクサスISの(日本では)現行型2代目モデルは2013年登場と、基本設計はそれぞれ先代モデルとなる2012年登場の3シリーズ、2014年登場のCクラスと同時期である。

 という背景もあり、ISは2020年11月に型式が変わらない超ビッグマイナーチェンジを受けた。その内容を見ると、インテリアはモニターの大型化が目立つ程度、2リッターターボ、3.5リッターV6NA、2.5リッターハイブリッドというパワートレーン自体もそのままだ。

 しかし、エクステリアは全長と全幅の30mm拡大を含めフロントマスクとリアビューが大きく変更され、ボディ剛性の向上、サスペンションの見直し、ホイールの締結をナットからボルトに変えるなど、フルモデルチェンジ級に手が加えられており、今も競争力を維持している。

 最近、都内を走っているビッグマイチェン版レクサスISを見るたびに「これでビッグマイチェンか」ボヤいているのは私だけだろうか……。カッコよくなっていいことなんですが、損したのか得したのかわかりません。

新型ISのリア回りのデザインは現行モデルと大きく違う。ここまで激変させるのは珍しい。新型ISの個性といえるのがトランクリッド。カム成型と呼ばれる独自のプレス成形技術により、1打のプレス工程で「寄せる」「絞る」の加工を行うことでシャープなエッジを生み出している
切れ込みの激しいテールランプが斬新だったビッグマイナーチェンジ前のレクサスISのリア回り


●こんなに変わったのにビッグマイナーチェンジのデリカD:5

右のガソリン車は従来型から変更はないが左のクリーンディーゼル車が2019年2月のビッグマイナーチェンジでダイナミックシールド顔に変わった
右がガソリン車、左がクリーンディーゼル車。マイチェン後の販売台数は約9割がクリーンディーゼル車だった

 ミニバンを軸足に悪路走破性をはじめとしたSUVの要素を持つデリカD:5は直接的なライバルがいないこともあり、2007年登場と登場から10年以上が経ちながら販売は堅調だった。

 しかし、さすがに各部の古さが否めなくなったこともあり、2019年2月に実質フルモデルチェンジといえる内容の超ビッグマイナーチェンジを受けた。

 デリカD:5は超ビッグマイナーチェンジでサイドビューとリアビューこそほぼ変わらなかったものの、フロントマスクは三菱自動車のデザインコンセプトであるダイナミックシールドを取り入れたものに一新。

 インテリアもダッシュボードが変わるなど、かなり雰囲気が変わった。またパワートレーンも2.2リッターディーゼルターボの大幅改良に加え、ATも6速から新開発の8速に進化し、プラットフォームこそそのままながらボディやサスペンションも全面的に見直された。

 そして、超ビッグマイナーチェンジ前のデリカD:5がもっとも遅れていた自動ブレーキ&運転支援システムも現代の要求相応のものが装備されるようになった。

 その結果、デリカD:5は唯一無二の存在ということもあり、リピーターに加え、特に自動ブレーキ&運転支援システムが付くようになった点も購入の決め手になり、現行モデルの登場から14年が経ちながらも未だ堅調に売れている。

 この3台は「大きな数は売れていないので、コストの掛かるフルモデルチェンジは難しい。でも絶版にするわけにはいかない、絶版にするのは惜しいモデル」ということもあり、いろいろな折り合いもあり超ビッグマイナーチェンジで継続された。

 この点に対する感じ方はいろいろあると思うが、いずれにしても魅力を持つモデルが進化したうえで絶版にならず継続され、未来に対する期待も持てるという意味では、歓迎したいモデルチェンジの形態といえる。

■プラットフォームは先代から流用したがデザイン一新、エンジン含め大幅進化したケース


●別モノの2代目GR86&BRZ

2代目となった新型GR86&BRZの評価は高い
プラットフォームは初代から継承しているが新型レヴォーグなどの開発で得たインナーフレーム構造や構造接着剤の採用により全面的にアップデート。フロント横曲げ剛性を約60%、ねじり剛性を約50%向上。開発当初は初代比で+75kgだった車重も、ルーフやフェンダー、フードの素材に軽量アルミを採用してほぼ初代並みに

 近々登場するGR86、発表済みのBRZの2代目モデルは前述のフェアレディZに近いフルモデルチェンジで、モデルチェンジの内容としては型式の変更の有無だけの違いといってもいいだろう。

 GR86&BRZはフルモデルチェンジでプラットフォームこそ継承しているが、現行インプレッサから採用が始まったスバル新世代のSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の開発から得た、フルインナーフレーム構造の採用によるボディ剛性の劇的な向上、重量増となる要素ばかりながらルーフやフェンダーといったアルミ製のボディパーツの採用などにより、先代型初代モデルと同等の車重をキープ。

 という強固な土台に全面的に見直されたサスペンションや2リッターから2.4リッターへの排気量拡大されたエンジンを組み合わせることより、動力性能も一気に向上しており、次元が違う走りをみせてくれた。

 さらにAT車限定となるが、自動ブレーキ&運転支援システムもアイサイトが装備され、価格は据え置きのイメージで、魅力に溢れたスポーツカーに進化した。それだけに、初代86オーナーの筆者は、フルモデルチェンジされたBRZを衝動買いしてしまった。

 なお、スポーツ系のモデルは大きな販売台数を望みにくいこともあり、「投資を長い時間かけて回収する」という方法で収益を得るというビジネスになる傾向が強いため、R33型とR34型のスカイライン、S14型とS15型のシルビア、NA型とNB型のロードスターなど、この手法でフルモデルチェンジすることは多い。

 この手法でフルモデルチェンジされたスポーツモデルは確実に進化するのに加え、サスペンションをはじめとしたパーツの互換性があることも多いので、趣味のクルマであるスポーツモデルの場合はユーザーメリットも大きい。

●クラウン(12代目、13代目、14代目)

2003年登場の12代目。いわゆる「ゼロクラウン」。2005年の販売台数は7万9557台で、数を減らし始めてはいるものの、まだまだ勢いはあった

 2003年に登場した「ゼロクラウン」というキャッチコピーが使われたクラウンの12代目モデルは新しいV6エンジンの搭載、新しいプラットフォームの採用に加え、ドライバーズカーの方向性を強めた点など、ゼロクラウンのキャッチコピーに相応しい、クラウンとしては革命的なモデルだった。

2008年に登場した13代目クラウン。ゼロクラウンを正常進化させたオーソドックスなプロポーションのクラウンだった。2010年の販売台数は4万636台

 2008年登場の13代目モデルは基本的にプラットフォームやエンジンは共通だったが、3.5リッターV6ハイブリッドの追加のほか、乗り心地が劇的に向上した点など、歴代クラウンの中では地味な存在ながら、劇的な進化を果たした。

 クルマのプラットフォームは二世代、時間にして10年前後で一新されることが多いのだが、2012年登場の14代目モデルもプラットフォームはゼロクラウンから続くものを使った。

稲妻型の大型のラジエーターグリルが採用した14代目クラウンアスリート

 それでも14代目クラウンはスポーティなアスリート系のアグレッシブなフロントマスクや、期間限定のピンクのボディカラーの設定、主力モデルを2.5リッター4気筒ハイブリッドとし、「クラウンは6気筒エンジン」という伝統を断ち切った点など、話題は多かった。

 しかし、さすがにいろいろな意味で14代目モデルのまでのプラットフォームも古さが目立つようになり、2018年登場の15代目モデルでプラットフォームはFR車用としてはトヨタ新世代となるTNGA-Lをクラウンに合わせナロー(幅狭)化したものに移行した。

●リーフ

初代リーフ(ZE0)がデビューしたのは2010年12月。航続距離はJC08モードで200km
2017年9月に現行の2代目にフルモデルチェンジしたリーフ

 2010年に初代モデルが登場したリーフは量産電気自動車のパイオニア的存在である。2017年登場の2代目モデルもプラットフォームこそ初代モデルと共通で、初物ということで過剰品質だったところもある初代モデルに比べるとコストダウンを感じるところがあるのも事実だ。

 しかし、それ以上にまだ新しい分野となる電気自動車は進化度合いも大きく、バッテリー容量は同じプラットフォームでバッテリーの進化により24&30kWhから40&62kWhと大容量化され、航続距離も大きく伸びた。また、動力性能も一気に向上しており、リーフは今後の進化も楽しみだ。

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