1953年に公開された名作映画『ローマの休日』が、久しぶりに地上波で公開されるため注目を集めている。愛らしいオードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックが共演したこのラブストーリーには一台の名車が登場する。
それが初代フィアット500、通称「トポリーノ」だ。オールドフィアットは様々な映画で象徴的な登場を果たしているが、果たしてこの映画ではどのような活躍を見せているのだろうか?
文/渡辺麻紀、写真/NBCユニバーサル・エンターテイメント、ベストカーWeb編集部、AdobeStock
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■18年ぶり&話題の吹き替え陣で地上波放送!
いまだに多くのファンがいる伝説的な女優、オードリー・ヘプバーンがにわかに注目を集めている。
先日は彼女の意外な素顔にスポットを当てたドキュメンタリー、その名もズバリの『オードリー・ヘプバーン』が公開され、地上波のTVでは彼女の主演作『ローマの休日』(1953)のデジタルリマスター版がオンエアされるからだ。
このTV放映が話題になっているのは、実に18年ぶりだったということもあるが、『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶ等の声を務める大人気声優・早見沙織がヘプバーンが演じたアン王女、同じく人気の高い声優、浪川大輔がグレゴリー・ペック扮する新聞記者ジョーの声を当てるからでもあったようだ。
オードリーの主役デビュー作としてはもちろん、ラブストーリーとしても不滅の人気を誇る『ローマの休日』だが、車ファンが観ても意外と楽しめるので、今回ピックアップしてみた。
■制作費削減の影響で決まった奇跡のキャスティング
本作の大きな特徴のひとつとして挙げられるのは、ハリウッドが初めて本格的にイタリア・ローマでロケを敢行した作品であるという点だ。
当初から監督のウィリアム・ワイラーはこの作品をローマ・ロケで撮影すると言っていたが、製作のパラマウントはハリウッドで撮影することを希望。
ワイラーはロケを敢行する代わりにその他の製作費を削ることになり、カラー作品になる予定だったところをモノクロにし、ヒロインも無名の女優を起用するしかなくなったという。
ということはつまり、ワイラーがローマ・ロケにこだわってくれたおかげでオードリーはこの役を手に入れてスターとなり、映画そのものも映画史に残る名作となったことになる。怪我の功名というか、何が功を奏するか判らない。
ストーリーに関してはいまさらいうまでもないだろう。ローマを訪れていた某国のアン王女が、夜中にこっそり宿を抜け出し、1日だけの自由を満喫する。そんな彼女を追いかけ特ダネにしようとする新聞記者ジョーだったが、ふたりの間には淡い恋が芽生えるという不朽のロマンチック・コメディだ。
ローマでのロケを活かして名所旧跡が続々と登場するが、その名所旧跡が有名になったのは本作のおかげでもある。アン王女がジェラートを食べたスペイン広場や、手を入れるのをためらう真実の口、ジョーとダンスパーティに行くサンタンジェロなどはこの映画で有名になったといってもいい。
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