■「次世代Eliteはメーカーとしての生命線」とするホンダ
また、ホンダセンシングEliteも次世代へと進化するという。次世代Eliteでは、一般道でのACC、LKAS、ハンズオフ走行も視野に入れているそうだ。一般道での運転支援となると、複雑なシーンをクルマが理解する必要がある。
無数にパターンが存在するビル、ガードレール、交差道路など、ナビの地図情報以上に周辺情報を検知し、正確に理解しないと、期待されるような運転支援はできない。
ホンダは、人のように理解できる「独自のAI技術」を、北米のスタートアップである「helm.ai」との協業によって構築中とのことで、ホンダ事業開発本部ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部統括部長の玉川裕氏によると、この独自のAI技術は、ホンダが生き残りをかけて全身全霊で取り組んでいるジャンルだという。
Eliteはまた、2020年代後半をめどに、高速ジャンクションでの合流と分流を含む高速道路本線全域でのレベル3や、オートバレーパーキングの技術確立を目指しているとのこと。
オートバレーパーキングには、速度は低くても、自動運転レベルは4(限定エリアでの完全自動運転)相当が必要であり、これが2020年代後半に実現すれば、実に夢のあるシナリオだ。
■2050年にホンダ製二輪四輪の交通死亡事故「ゼロ」が目標
ホンダは「2050年に全世界で自社の2輪4輪が関与する交通死亡事故ゼロ」という目標を掲げている。そのマイルストーンとして、2030年に交通事故死者を「半減」(2020年比)という目標を立てており、方策としては、「クルマの知能化」と「ネットワーク技術」によって達成させるとしている。
現時点で自動運転レベル3を実現しているのは世界でホンダのみ、自動運転テクノロジー界では先頭を走っている状況ではあるが、他メーカーも指をくわえて見ているわけではない。
他メーカーの動向をみると、日産のプロパイロット2.0は、スカイライン、アリア、セレナと、順次搭載されるクルマの価格を下げてきている。
またトヨタも、高速道路上の渋滞時のみに絞ったハンズオフ機能を、新型ノア/ヴォクシーへ10万円代のメーカーオプションとして出している(現時点、高速道路で渋滞時に限らずハンズオフ走行ができるアドバンスドドライブの搭載は、ミライとレクサスLSのみ)。決して、ホンダは「安泰」というわけではなく、進化を続けないとあっという間に追いつかれて、追い越されていく。
「2030年にホンダ車による交通事故死者を2020年比で半減」という途方もない目標を掲げ、社運をかけて自動運転技術の開発に取り組むホンダ。2020年代後半には、レジェンドやアコードなどの高級車以外のモデルにも、適用されるという。その日が非常に楽しみだ。
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