いろいろな色を楽しんでほしい→想像を絶するボディカラー数で勝負
一時期は納期の短縮や生産の効率化といった理由で内外装色の選択肢がホワイト、シルバー、ブラック、グレーに代表される無難なものしかないクルマをよく見たという時代もあった。
しかし現在は生産時に黒や白のルーフなど手の込んだツートンカラーを選べるクルマも珍しくなく、新車を買う大きなメリットである選択肢は広くなっている傾向だ。
だが一種の実験車、リサーチカー的な目的も担っていた初代RAV4にあった自分好みの内外装を細かく選べるパーソナルセレクションの選択肢の広さはそんなレベルではなかった。
特に初期のものではボディカラーがボディ上部の鉄板部分12色、ボディ下部の樹脂部分11色の掛け算で131通り、インテリアもシートの柄やカラー、ドアトリム、カップホルダー、ドアグリップ、フロアカーペットといった細部のカラーも選べ、組み合わせはおそらく1億通りを超えていただろう。
後半のものではさすがにボディカラー40通り、インテリア20通りの掛け算で合計800通りまで選択肢は簡略化されたが、800通りでもほとんどの人は決めるのに困るくらいの選択肢の広さだ。
ボディカラーが多いと言えばほぼ注文生産で販売されていたいすゞビークロスもそうで、こちらは25色が設定されていた。
こういった広い選択肢は相応の費用や納期が掛かるものだが、それだけに特に趣味性が高く、注文生産に近い高額車ではもっとあってもいい取り組みだ。
ユーザーのニーズに細かく応えたい→仕様の多様化で勝負
内外装のカラーの選択肢の広さに近い話なのだが、クルマ自体の仕様を注文時に細かく選べるクルマというのもあった。
そのひとつが2002年登場のコンパクトカーである三菱コルトに採用されたカスタマーフリーチョイスだ。
コルトには普通のクルマのグレード的な推奨パッケージも設定されたのだが、カスタマーフリーチョイスはスタンダートな仕様に1.3Lと1.5Lのエンジン、ボディカラーを含めたエクステリア、内装色やセパレートシートかベンチシートかといったインテリアを選んだり、装備品のオプションを加えることで自分に合ったクルマを造っていくというものである。
なお三菱のカスタマーフリーチョイスは翌2003年に登場したミニバンのグランディスにも設定された。
カスタマーフリーチョイスのような選択の元祖と言えるのが、前述の初代RAV4のような実験車的な要素や高い趣味性を持つ1970年に登場したスペシャルティカーである初代セリカのフルチョイスシステムだ。
普及グレードに適応されたフルチョイスシステムは3種類のエンジン&トランスミッション、ボディカラーに代表されるエクステリア、8種類のインテリアを組み合わせて自分のクルマを造っていくというもので、フルチョイスシステムはこの頃からコンピューターが発達してきたからこそ実現した取り組みだったという。
度合いによっては自分のクルマの仕様を考えるのが苦痛という人もいるにせよ、選択肢の広い内外装のカラーと同じように、費用と時間を負担する人向けに復活を望みたいシステムだ。
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