これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は時代が生み出した、ホンダの生活創造者車、S-MXについて紹介していこう。
文/フォッケウルフ、写真/ホンダ
■ホンダが提唱する生活創造車の第4弾として登場
自動車界で空前のRVブームが起きていた1990年代。ホンダは、あえて「RV」とは謳わず、「クリエイティブ・ムーバー」=「生活創造車」という独自の発想のもと、RV車を求めるユーザーの琴線に触れるクルマを開発し、市場へ導入していた。
1994年10月に第1弾としてオデッセイを発売したのを皮切りに、翌年には第2弾としてCR-Vを発売。さらに1996年5月には第3弾となるステップワゴンが登場し、いずれもRVブームの追い風に乗ってヒットモデルとなった。
ホンダが提唱したクリエイティブ・ムーバーとは、使う人の生活をもっと楽しく、豊かにすることを目指したクルマのことだった。しかし第4弾として登場したS-MXは、「生活性能」を追求していたそれまでのクリエイティブ・ムーバーとは異なり、新しいカタチとパッケージ、そしてポテンシャルの追求がなされていた。
S-MXに関するホンダの説明には、見て、乗って、使って感じる「楽しさ性能」に焦点を当て、クルマと一緒に暮らし、過ごせる、新時代のニュートレンドパッセンジャーカーとして、新しい発想や価値、楽しみのあり方を目指した、とある。
開発に際しては、「楽しさ性能」を具現化するために、数字や計算では得られない、人間の感性で練りあげた新しい価値軸を設定。その基準のもとホンダが持つ技術を最適に適合させたという。
楽しさ性能は、S-MXのさまざまな部分に散見されるが、まずはその見た目に注目しよう。前後に立方体をふたつ並べたようなツインキューブ・フォルムによって、安定感抜群の堂々とした存在感を主張。
引き締まった上半身と張りのある下半身で構成された2段重ねボディは、若々しく個性的なライフスタイルと、生活を楽しむための感性を刺激するデザインであり、“見て感じる楽しさ”の表現にひと役買っていた。
コメント
コメントの使い方S-MXの欠陥は駆動ミッション。。シフトUPしなくなる