2019年9月に日本自動車史を代表する超ビッグネームのカローラシリーズ、セダン&ワゴン(フィールダーからツーリングに名称変更となるのが有力)がフルモデルチェンジを受け新型がデビューすると言われている。
この新型カローラシリーズは、カローラセダン&ワゴンとしては初の3ナンバーボディになるということも注目を集めている。
日本自動車史を代表するカローラシリーズは、自動車界の王道を突き進むと同時に、カローラと名を冠する挑戦的派生モデルを続々と市場投入してきた。
その最新モデルが2018年6月にデビューしたカローラスポーツで、精悍なエクステリアとスポーティな走りで人気モデルとなっている。
カローラの名を冠した最初の派生モデルはカローラレビンで、1972年に2代目カローラをベースとした2ドアクーペで、2000年にモデル消滅するまで7代にわたり生産された、派生車では最も長寿モデルだ(中国ではレビンの車名は健在)。
カローラから派生したモデルはトレンドを盛り込んでいるため、カローラの派生モデルを見ればその時代に何が流行っていたのかが丸わかり。
本企画では、数多く存在するカローラ一族で、地味ながら味のあるモデルをピックアップしていく。
文:片岡英明/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
カローラ一族は常に時代をリードする存在
世界でもっとも生産台数の多いファミリーカーがトヨタのカローラだ。高度成長期の1966年秋に登場し、日産のサニーと販売合戦を繰り広げながら成長し続けてきた。
1997年にはフォードT型を破ったフォルクスワーゲンゴルフの生産台数を抜き、累計販売台数でギネス記録を打ち立てている。2013年には累計生産台数が4000万台の大台に乗った。
日本が世界に誇るベストセラーカーだったのがカローラである。トヨタが生産したクルマの4台に1台がカローラなのだ。
世界中で大ヒットし、世界中にファンを持つカローラはグローバルカーだから、海外で生産しているモデルは少なくないし、派生車と呼ばれる兄弟も数多く存在する。あまりに派生車が多いし、人気車になれなかったクルマも少なくないから、注目されることは少ない。
そこでセダンやスポーツモデルの陰に隠れて目立たないが、時代をリードした個性派のカローラにスポットを当て、紹介してみようと思う。調べてみると、意外にも魅力的で、面白いカローラが多いのだ。
走りはハチロクよりも評価が高かったカローラFX
●初代:1984〜1987年
●2代目:1987〜1992年
●3代目:1992〜1995年
1980年代は、ファミリーカーの駆動方式が大きく変わった10年だ。特にボディサイズを大きくできないコンパクトカーには前輪駆動のFFは魅力的だった。メカニズムをフロント部分に詰め込むことができるからキャビンとラゲッジルームを広く設計できる。
カローラは1983年5月にモデルチェンジし、5代目のE80系(AE86もこの時のモデル)になった。このときにセダン系を横置きエンジンのFF車にしている。そして1984年10月にはハッチゲートを備えた2BOXモデルも設定した。これが「カローラFX」だ。
3ドアと5ドアのハッチバックが用意され、キャッチフレーズは「2BOX上級生」である。ウエッジシェイプの力強いデザインで、特にリアビューが個性的だった。
リーダーは4A-GELU型1.6L、直列4気筒DOHCエンジンを横置きに積むFX1600GTだ(レビンの4A-GEUに対し横置きだから型式にLが入る)。高回転まで軽やかに回り、パンチもあった。
4輪ストラットのサスペンションも俊敏なフットワークを生み出していた。リアが4リンク式のAE86レビンよりコーナーでは踏ん張りが利き、速かった。
FX1600GTはツーリングカーレースでも大暴れし、若い人たちを魅了した。
1987年5月に登場した2代目はヨーロッパでも高く評価された。そして1992年春に3代目にバトンタッチしている。狙いを若者だけに絞り、日本向けは3ドアモデルだけの設定だった。
5バルブ化し、可変バルブタイミング機構と各気筒独立スロットルを採用した4A-GE型直列4気筒DOHCは刺激的だった。4輪ストラットのサスペンションには、レビンと同じスーパーストラットも用意する。驚くほどスポーティだったが、残念ながら1995年にカローラFXは消滅した。
2018年に登場したカローラスポーツはある意味、FXの生まれ変わりといえるかもしれない。
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