カローラ一族 はぐれ者モデルの軌跡 自動車史の王道を歩んだ名車の挑戦的派生車

コンパクトスペシャルティのカローラII

●初代:1982〜1986年
●2代目:1986〜1990年
●3代目:1990〜1994年
●4代目:1994〜1999年


 トヨタのFF戦略の第1弾となったのがカローラIIだ。FFのハッチバックに生まれ変わったファミリアの好調に刺激され、1982年5月にデビューしている。

 エントリーユーザーや女性など、若いユーザーを狙い、ボディタイプは3ドアと5ドアのハッチバックだけとした。ベースになっているのは2代目のターセルと兄弟車のコルサだ(ターセル/コルサにはセダンがあった)。

ターセル/コルサのフルモデルチェンジに合わせて初代カローラIIがデビュー。ターセル/コルサはセダンを設定していたがカローラIIは一度も設定せず(写真は初代)

 FF方式を採用するが、エンジンはFR車と同じ縦置きタイプだ。これを4WDに発展させたのがステーションワゴンのスプリンターカリブだ。

 2代目は1986年5月に登場した。パワートレインとサスペンションを一新し、時代を先取りした小型ディーゼルターボも設定した。スポーティバージョンの「リトラ」はリトラクタブルヘッドライトが売りだった。デビューから4カ月後の9月にはパワフルなターボ搭載車(GPターボ)を追加している。

 3代目は1990年秋にベールを脱いだ。日本仕様は3ドアハッチバックだけとなり、2代目の途中で加わったキャンパストップも設定した。ファション性の高さを売りにしたのが3代目だ。

 1994年9月に登場した4代目は女性向けモデルと割り切っている。UVカットガラスやバニティミラー、チルトステアリングなどを採用し、女性ユーザーを引きつけた。が、ヴィッツの登場によって役目を終え、姿を消している。

見た目はナンパでも走りは硬派だったカローラセレス

●初代:1992〜1998年(1代かぎりで消滅)

 カローラは1991年6月に7代目がデビューしている。4ドアセダンと2ドアクーペでシリーズを構成したが、1992年5月にカローラIIがモデルチェンジした機会をとらえ登場したのがカローラセレスだ。

 大ヒットしたカリーナEDの弟分で、スタイリッシュな4ドアハードトップだった。性格的にはレビンの4ドア仕様であり、基本的なメカニズムも共通だ。

カローラの4ドアハードトップ版がカローラセレス。兄弟車にスプリンターマリノがある。スタイリッシュなエクステリアで人気になったが1代かぎりで消滅

 頂点に立つ「G」は1.6Lの4A-GE型DOHC5バルブエンジンを搭載した。可変バルブタイミング機構と各気筒独立スロットルを採用しているからパンチがあり、高回転まで気持ちよく回った。

 ハンドリングの洗練度も高く、意のままの気持ちいい走りを楽しめた。ヤングファミリーに人気だったが、後席は狭かったこともあり、次第に販売は落ち込んだ。そして1998年7月、2代目の登場を待つことなく販売を打ち切っている。

コンパクトミニバンの先駆け的存在のカローラスパシオ

●初代:1997〜2001年
●2代目:2001〜2007年

 8代目のカローラから派生したコンパクトサイズのミニバンだ。カローラセダンより全長は少し長く、背も1620mmまで高めている。リアドアはヒンジ式で、5ドアハッチバック的なルックスだった。

 ワゴン的に使える2列シートの4人乗りと3列シートの6人乗りがある。2列シートの後席は足元が広く、快適だ。3列シートは窮屈だが、いざというときには重宝した。

1997年にコンパクトなボディに3列シートをセールスポイントにデビュー。シートが脱着できるなどチャレンジング。コンパクトミニバンに影響を与えたモデル(写真は初代)

 シートアレンジも多彩で、3列シート仕様は助手席の回転対座や2列目テーブル、2列目の脱着などの機能を備えていた。メカニズムは、信頼性の高いカローラのものを流用した。

 2001年5月には第2世代にバトンを託している。ホイールベースを延ばすとともにシートアレンジに改良を加え、3列目の居住性と装備の使い勝手を向上させた。

 エンジンは1.5Lと1.8Lのハイメカツインカムだ。1.8Lモデルには4WDも設定している。コンパクトサイズのミニバンの草分け的な存在だったが、ライバルが続々と登場したし、身内からもウィッシュやシエンタが登場したから影の薄い存在となった。使命は終わったと悟り、2代目で終わっている。

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