カローラ一族 はぐれ者モデルの軌跡 自動車史の王道を歩んだ名車の挑戦的派生車

デカbBと呼ばれて人気だったカローラルミオン

●初代:2007〜2015年(1代かぎりで消滅)

 カローラの個性派5ドアハッチバックとして2007年10月に送り出されたのがカローラルミオンだ。カローラは、モデルチェンジしても次のカローラに乗り換えるユーザーが多いから高齢化している。

 また、小型車枠にこだわるユーザーも多い。その現状に危機感を抱き、開発したのがカローラルミオンだ。カローラを名乗っているが、プラットフォームは海外向けに設計したオーリスのものを用いている。

カローラルミオンは07年から販売開始。全幅が1760mmあるため、カローラと名前がつくモデルで初めて3ナンバー登録となった。通称デカビービー

 ベースとなっているのは北米市場に投入した「サイオン」ブランドの2代目xBだ。フロントマスクなどを日本人好みにアレンジして発売した。

 エンジンは北米向けのサイオンが2.4Lであるのに対し、カローラと同じ1.5Lと1.8Lの直列4気筒ハイメカツインカムだ。新世代プラットフォームにワイドボディの組み合わせだから走りの実力も高い。

 デビューから数年はヤングに人気が高かったbBの兄貴分として堅調な売れ行きを見せた。が、カローラを支持する人達からは敬遠され、2015年をもって販売を終了している。

【番外編】カローラの名前が与えられなかったスプリンターカリブロッソ

●初代:1998〜2002年(1代かぎりで消滅)

 東京モーターショーに参考出品したトヨタRV-5を手直しして1982年夏に発売されたのがスプリンターカリブだ。カローラの兄弟車、スプリンターの名を冠しているが、ベースとなっているのは2代目のターセル/コルサである。

 縦置きエンジンのFF車に後輪駆動のメカニズムを加え、パートタイム4WDとした。1988年2月には初のモデルチェンジを行い、2代目はフルタイム4WDを採用。エンジンは1.6Lの4A-FE型直列4気筒ハイメカツインカムだ。4速ATと5速MTを設定した。

 2代目は7年半もの間、第一線で活躍し、1995年夏に3代目にバトンを渡している。ベースとなっているのはカローラのセダンだが、個性的なデザインのワゴンボディを被せ、RVムードも強調した。

 エンジンは1.6Lと1.8Lの直列4気筒ハイメカツインカムだ。フルタイム4WDだけの設定だったが、1996年に初めて前輪駆動のFF車を加えている。

 この3代目でスポーツツインカム&6速MTのBZツーリングとともに注目を集めたのが、1998年に追加された「ロッソ」だ。

カローラWRCの影響でベースのハッチバックの日本導入に期待がかかったが、日本に導入されたのは丸目のカローラワゴンでスプリンターカリブロッソという車名で販売された

 カリブロッソは丸型2灯式ヘッドライトを採用したひょうきんな顔立ちのワゴン(WRCに投入されていたカローラWRCと同じ顔)で、ネーミングのように真っ赤なボディカラーが似合っていた。

 性能面の変更はなかったが、個性的なワゴンを好む一部のファンには愛されていた。だが、2002年、ヴォルツの登場を機にスプリンターカリブはトヨタのラインアップから消えた。

 しかし、このカリブロッソ、欧州ではカローラワゴンとして販売されながらも、当時日本ではカローラワゴンが『カロゴンブーム』で大ヒットしたこともあり、カローラの名が冠せられることはなかった。

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