アクセラ,エルグランドたちは平成のクルマ界のトレンドだった! これからも輝けるのか?

 クルマは移動の手段であると同時に趣味性が強く反映されるため、流行廃りは日常茶飯事。

 平成の31年3カ月の間には20世紀から21世紀に変わったという大きな節目があり、クルマ界にはいろいろなトレンド、ブームが巻き起こった。現在も続いているものもあれば、強者どもが夢のあと状態のものもある。

 本企画では数あるトレンド、ブームの中から6つを選び出し、ブームの火付け役となったクルマとこれからどうなるのかを片岡英明氏を検証する。

文:片岡英明/写真:HONDA、NISSAN、MAZDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部


乗用タイプのミニバンブームの火付け役のホンダオデッセイ(初代)

 バブルが弾けた1990年代の前半、ホンダの国内販売は大幅に減少し、屋台骨のシビックとアコードも激減。狭山の生産ラインは生産調整を強いられた。

 この苦境を乗り切るために企画されたのがクリエイティブムーバー(生活創造車)の第1弾、オデッセイだ。ベースとしたのはアコードである。

 この時期のミニバンは、商用車をベースに設計していた。背が高くて広いが、走りや快適性は今一歩。このウィークポイントを払拭したワゴン感覚のミニバンがオデッセイだ。

ホンダオデッセイ(1994年10月デビュー・初代)/商用車ベースのBOXタイプミニバンに対し、アコードベースゆえ乗用車と同じ感覚で乗れてセダンより広いのがヒットした要因

 ライバルより背が低いのは、狭山工場の生産ラインに入るように設計したためだ。乗用車と同じ前後ともヒンジ式ドアだから違和感なく乗り降りできた。

 アコードと同じ2.2Lの直列4気筒VTECは軽やかに回り、サスペンションは4輪ダブルウイッシュボーンだったからハンドリングも軽快だった。

 パーソナルジェットをイメージしたインテリアは居心地がよく上質な乗り味で大ヒットし、3ナンバー車の販売トップになり、ライバルも続々と追随。

【これからどうなる?】
 消滅の可能性が高かったが中国マーケットの需要により日本でも販売されることになった現行オデッセイは、次期モデルもスタンスは変わらないだろう。乗用タイプミニバンというカテゴリーが実質消滅し、日本人のために生まれたオデッセイが、海外の事情次第なのは寂しい限り。

Lクラスミニバンを確立した日産エルグランド(初代)

 1991年に発売したバネットセレナは車両レイアウトを変え、商用車からの脱皮を図り、兄貴分のラルゴ(1993年)はハイウェイスターが大人気。

 その事実上の後継モデルとして1997年に日産が送り出したのがエルグランドだ。キャッチフレーズは「最高級新世代1BOX」で、大柄なワンモーションボディに威風堂々としたメッキのグリルを組み合わせている。

 ビッグサイズゆえキャビンは3列目まで広く、ウォークスルーも楽々。

日産エルグランド(1997年5月デビュー・初代)押し出しの強いフロントマスクでトヨタの刺客のグランビアを寄せ付けずLクラスミニバンの王者に君臨した初代エルグランド

 ガソリンエンジンは3L、V型6気筒SOHCで、2トンに迫る重量級のボディを軽々と加速させ、静粛性も高かった。3.2Lのインタークーラー付きディーゼルターボも俊足だった。

 また、オールモード4×4も設定したからアウトドア派は喜んだ。ハイウェイスターだけでなくライダーやVIP仕様のロイヤルラインも人気車になった。

 トヨタはグランビアを投入したが、まったく歯が立たずLクラスミニバンの王者に君臨し、トヨタの首脳陣を歯ぎしりさせた。

【これからどうなる?】
 現行エルグランドがデビューしたのが2010年5月だからすでに丸9年が経過。次期モデルは不透明だが、トヨタアルファード/ヴェルファイアに完全に駆逐された状態の打破を願う。

世界に先駆けてダウンサイジングターボを搭載したVWゴルフV

 20世紀のターボエンジンはパワーとトルクを増大させることが最優先だったが、21世紀は地球に優しいエンジンが求められる時代になっている。

 そこで登場したのがダウンサイジングターボだ。エンジンの排気量を小さくしたり、気筒数を減らして燃費性能を向上させつつ、余裕あるパワーとトルクを確保するためにターボで過給する。タービンも小さいので、ターボの弱点である応答遅れも小さく抑えられる。

 ダウンサイジングターボの先駆者がVWゴルフだ。2003年に5代目のゴルフがデビューしたが、2006年にエンジンを新開発の「TSI」に切り替えた。

VWゴルフV(2004年6月日本販売開始)ゴルフVが先鞭を付けたダウンサイジングターボは、大排気量NAを搭載していた大型サルーンにまで波及して世界的なブームとなった

 それまで1.8Lや2Lエンジンを主役としていたが、ゴルフVは1.4Lの直列4気筒直噴DOHCにターボを組み合わせている。また、ターボに加えスーパーチャージャーで過給するツインチャージャーも設定した。

 トランスミッションも最初は多段ATだったが、コンピュータ制御によって2つのクラッチを上手に使い、気持ちよく自動変速を行うデュアルクラッチトランスミッションに変更してドライバビリティを向上させている。

 このダウンサイジングターボの流れは世界に波及し、数年後には日本にもダウンサイジングターボが登場した。

【これからどうなる?】
『クルマ界の永遠のスタンダード』と呼ぶには豪華に高額になったゴルフだが、VWの主力として今後も君臨することは間違いない。ダウンサイジングターボは、電化、大排気量NAの潮流もあるが当面消滅することは考えられない。

クリーンディーゼルを日本で復権させたマツダアクセラ(3代目)

 マツダは乗りたくなる歓びを、ずっと未来の社会にまで提供したいと考え、クルマの環境性能と安全性能を向上させながら、持続可能(サスティナブル)な未来の実現に向けて積極的に動き出した。

 そして発表したのが「SKYACTIV」(スカイアクティブ)テクノロジーだ。プラットフォームを一新し、パワートレーンも新世代とした。

 熱効率に優れたディーゼルに独自の工夫を施し、軽量化を図るとともに尿素SCRシステムなどの排ガス浄化装置を使わずに高い環境性能を実現したのがSKYACTIV-Dである。

 直列4気筒DOHCを直噴化し、コモンレール式燃料噴射装置を採用してクリーン化した2機種のエンジンを開発。2.2Lと1.5Lの2機種だが、2018年には1.8Lエンジンも登場している。

マツダアクセラ(2013年11月デビュー・3代目)SKYACTIV-D 2.2の登場は画期的で、日本で悪役だったディーゼルが一転、環境問題の救世主と注目されるきっかけを作った

 2013年10月に登場した3代目アクセラの5ドア(スポーツ)はSKYACTIV-Gに加え、クリーンディーゼルのSKYACTIV-D 2.2を搭載して注目を集めた。上級クラスでは見かけるが、Cセグメントのディーゼルターボは珍しい。

 ディーゼルターボは4Lクラスのガソリンエンジンと同等のトルクを発生するから軽快だ。

 また、2016年夏にはSKYACTIV-D 1.5を追加している。

 石原慎太郎元東京都知事がディーゼルエンジンに難色を示してから日本では悪者扱いされていた。

 クリーンディーゼルの先鞭をつけたのは欧州車だが、日本ではマツダの意欲的な取り組みでディーゼルが回復し、復権もなるなど、大成功を収めている。

【これからどうなる?】
 欧州勢が手のひらを返したように電化を声高に叫んでいるが、マツダは今後もクリーンディーゼルをけん引する! アクセラ後継のMAZDA3は、デザイン、車の出来はすばらしいが、車名変更が吉と出るか凶と出るか!?

クロカンブームに火を付けけん引した三菱パジェロ(2代目)

 クロスカントリー(通称クロカン)4WDは、特殊なオフロード車のイメージが強かった。ウィリス・オーバーランド社が生産を行っていたジープのイメージが強烈だったからだろう。土臭いクルマと思われていたのだ。

 そのイメージを覆したのが、日本でジープを現地生産していた三菱である。ジープのノウハウを結集してパジェロを生み出した。

 初代パジェロは国内だけで16万台超のヒット作となったが、ファミリー層を引き込んだのは1991年1月デビューの2代目だ。ストレート基調のデザインで、背面タイヤやガードバーがアウトドアだけでなく都市の景色にもマッチ。

三菱パジェロ(1991年1月デビュー・2代目)1990年代初期に大ヒットし、トヨタハイラックスサーフとともにクロカンブームをけん引したパジェロも37年の歴史の幕を閉じる

 走りも大きくレベルアップ、特に向上したのがオンロード性能だ。ガソリンエンジンは3L、V型6気筒SOHC、ディーゼルターボは2.5L(後に2.8L)。

 トランスファーやセンターデフロック機構を備えたスーパーセレクト4WDにより、卓越した走破性能を誇った。

 高速道路やワインディングロードでも安心感のある走りを披露し、ファミリー層を魅了し、1999年の生産終了までに国内だけで30万台を超える販売を記録したのだから名車の中の名車と言えるだろう。

【これからどうなる?】
 残念ながら初代登場から37年の歴史に幕を閉じることになったパジェロ。これで日本車でクロカンの匂いを残すのはスズキジムニーだけになってしまった。

今に続く日本でのSUVブームの礎の日産エクストレイル(初代)

 1990年代、日産はSUV市場にサファリとテラノを軸に、ミストラルなどの新世代SUVを送り込んだ。いっぽうワゴンとSUVのいいとこ取りをしたクロスオーバーのラシーンを投入し、ビギナー層や女性層の獲得に成功している。

 そこでモノコック構造のボディを採用し、サスペンションも高速道路やワインディングを意識した味付けのクロスオーバーSUVとしてデビューしたのが2000年10月にデビューしたエクストレイルだ。

日産エクストレイル(2000年10月デビュー・初代)都会的ではあるが、どことなくクロカン時代の残り香を感じさせる雰囲気が絶妙で若者の心をつかんだ初代エクストレイル

 シャープなボディラインでタフなアウトドアギア感覚を強く打ち出し、樹脂フェンダー、ウォッシャブルラゲッジボードなど使い勝手のよさをアピール。

 エンジンは2L直列4気筒で、後にターボを追加。駆動方式はFFベースのオールモード4×4だ。路面のグリップ状況を瞬時にセンサーで感知し、4WDに切り替える。本格派ではないが、フルタイム4WDだからファミリー層でも実力を余すところなく引き出すことができた。

 発売直後から販売好調で、ミディアムSUVの代名詞になるまでに成長。

【これからどうなる?】
 エクストレイルの次期モデルは、e-POWERを搭載するという情報もあり、期待感は高い。よほどのことがない限り安泰間違いなし。

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