日産スカイライン5ドア(R30系)
販売期間:1981〜1985年
スカイラインの6代目は「ニュー愛のスカイライン」をキャッチフレーズに掲げ、1981年8月にデビューした。
ウエッジシェイプのエクステリアは、このR30系スカイラインから直列6気筒SOHCエンジンを積む2000GT系と4気筒エンジンを積むTI系が同じボディを使うようになっている。
R30系スカイラインの特徴は、4ドアセダンと2ドアハードトップに加え、時代を先取りした機動力の高い5ドアハッチバックを設定したことだ。セダンのルーフを少し延ばしてファストバックとし、リアゲートを追加した。
歴代のスカイラインのなかでは力作で、エンジンは1.8LのZ18E型直列4気筒から2LのL20ET型ターボまでを揃えている。
広くて使い勝手のいいラゲッジルームを実現するために、日本で初めてスペアタイヤをテンパータイヤにしたことも注目ポイントだ。
5ドアハッチバックは時代を先取りした傑作だった。が、スカイラインにはワゴンの「エステート」もあったため、販売は低迷。1代限りで姿を消してしまうのである。現存するスカイライン5ドアハッチバックは少数だ。
ホンダクイント
販売期間:1980〜1985年
1970年代後半、ホンダはFF方式のシビックとアコードの成功によって乗用車市場に足場を築いた。そして1980年2月に、シビックとアコードの間に新感覚のファミリーカーを投入している。それがクイントだ。
これはホンダの新規チャネル「ベルノ」店の主役となる5ドアハッチバックだった。クイントは「五重奏」の意味で、プレリュードに続いて音楽用語を使っている。5ドアと五重奏をかける粋なネーミングがナイス。
ホンダはシビックとアコードにハッチゲートを採用し、好評を博していた。クイントは5ドアだから乗り降りしやすいし、ラゲッジルームの使い勝手もいい。ホンダ車として初めて分割式リアシートを採用し、多才なシートアレンジを可能にした。
メカニズムはシビックから4輪ストラットのサスペンションを受け継いでいる。もちろん、駆動方式はFFだ。エンジンはアコードと同じ1.6Lの直列4気筒SOHCで、CVCC方式を採用して低燃費を実現した。トランスミッションは5速MTと3速のホンダマチックを設定する。
ヨーロッパテイストを強く打ち出したクイントは、一歩先を行くマルチパーパスなファミリーカーだった。使い勝手がよく、走りの実力も高かったが、販売網が未熟だったこともあり、販売は伸び悩んだ。
その後、サンルーフを追加したり、フェイスリフトを行ったり、エンジンを改良したり、といろいろと手を入れた。
が、その後も販売は低迷し、1985年2月にクイントインテグラにバトンを託し、ひっそりと消えていく。
マツダ アンフィニMS-6
販売期間:1991〜1994年(欧州では1997年まで販売)
マツダは、早い時期からセダンベースの5ドアハッチバックにこだわり続けてきた自動車メーカーだ。1982年、カペラはFF車に生まれ変わったが、3年後にセダンのルーフを延ばした粋な5ドアハッチバックを設定している。
リアをファストバックとし、リアエンドにはスポイラーも付く。これに続くFFカペラの2代目では5ドアモデルを主役とし、カペラCGのネーミングを与えている。CGは「シティギア」の意味だ。
この直後からマツダはバブル景気に後押しされ、販売チャネルの再構築に動き出す。マツダオート店はアンフィニ店に名称を変えたが、これがスタートした1991年秋に送り出したのがアンフィニMS-6である。
カペラに代わって主役となったワイドボディのクロノスの兄弟車だ。が、ドアから後ろを設計し直し、6ライトの5ドアハッチバックとした。
短いノッチを付けてクーペ風のデザインとしたため、後席のヘッドクリアランスはクロノスより少し減っている。
エンジンは新設計のV型6気筒DOHCだが、途中で4気筒エンジンとプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーディーゼルを追加した。
上質なV6エンジンを積み、剛性とハンドリングにもこだわったから、走りの実力は高い。また、ラゲッジルームも広いから多用途に使うことができた。が、日本では鳴かず飛ばずで、94年6月に販売を終了している。
これに対しヨーロッパでは安定した売れ行きを見せたMS-6は、1997年春まで販売が続けられた。
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