こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 アクティブユースに最適なラシーンは「ボクたちのどこでもドア」

■現代のクロスオーバーモデルに引けを取らないパフォーマンスを実現

 ラシーンは乗用車をベースに開発された、現代風に言うならばクロスオーバーSUVである。クルマを構成するコンポーネンツはサニー(B13型)系のアイテムが用いられている。

 足まわりはフロントがストラット式で、リヤにはパラレルリンク式を採用し、操縦安定性、乗り心地、高速走行時の直進安定性の調和が図られている。主要な走行シーンは舗装路となるが、シティオフローダーというキャラクターを考慮し最低地上高を170mmに設定するなど、未舗装路を走行することも考慮されていた。

 パワーユニットは105PS/6000rpm、13.8kg-m/4000rpmという動力性能を発生するGA15DE型エンジンを搭載。1.5Lの小排気量ながら、街なかで多用する低・中速域での力強さを重視した特性によって、さまざまな場面で爽快な走りを楽しませながら優れた燃費性能を両立していた。

 ちなみにトランスミッションは、トランスミッションは4速ATと5速MTが組み合わされ、駆動方式は走行状態や路面の状況にかかわらずつねに高いグリップカを確保するフルオート・フルタイム4WDが全車に採用されていた。

Cap:パイクカーの要素を感じさせるモデルだったが、それまでのパイクカーとは違って少数限定生産ではなく、カタログモデルとして継続的に生産されていた
Cap:パイクカーの要素を感じさせるモデルだったが、それまでのパイクカーとは違って少数限定生産ではなく、カタログモデルとして継続的に生産されていた

 1997年に実施されたマイナーチェンジでは、SR18DE型1.8L直4DOHC+アテーサ4WDを採用したグレードを追加。さらに1998年には、SR20DE型2L直4DOHCエンジンを搭載し、専用フロントマスクやオーバーフェンダーといったアイテムでライトクロカンテイストに仕上げた「フォルザ」が登場する。

 こうしたバリエーションを拡充は、ラシーンが日産の定番モデルに位置づけられていたこと、そして市場ではライバルと目されていたホンダCR-VやトヨタRAV4にも引けを取らない人気を得ていたことを裏付ける事実と言っていい。

乗るほどに親しみが深まる心地いい室内空間を実現するため、開放的な雰囲気が実感できる明るくシンプルなインテリア
乗るほどに親しみが深まる心地いい室内空間を実現するため、開放的な雰囲気が実感できる明るくシンプルなインテリア

 市場で一定の人気を獲得していたラシーンだが、その歴史は1代限りで幕が降りてしまう。最たる理由は、バブル崩壊後に訪れた自動車業界が低迷期であり、当時の日産は販売不振が常態化して国内シェアが急減したこと。

 なおかつ2兆円を超える有利子負債を抱えて、いつ倒産してもおかしくないと言われるほどの経営危機に陥ってしまった。当然のことながら販売車種は大幅な見直しが図られ、ラシーンもその煽りを受け2000年7月に生産中止となる。

 昨今のクロスオーバーSUVは、車種が増えすぎたがゆえに、各車の狙いや特徴が分かりにくくなってしまっている。そこにもしラシーンがリバイバルしたらどうなるだろうか。

 明快なコンセプトやシンプルながら独自性を主張した内外装デザイン。奇をてらわず、SUVとしての能力を真摯に追求して実現した走りや機能性は、昨今のクロスオーバーSUVのなかで埋もれることはないだろう。むしろ新感覚の4WDプライベートビークルとして、市場に大きな反響を呼ぶはずだ。

【画像ギャラリー】デザインで他との違いを見せつけたラシーンの写真をもっと見る!(7枚)画像ギャラリー

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