昭和から愛される大衆酒場にはどこか憧れにも似た趣と郷愁があるもの。昔懐かしい味、人情、常連客との触れ合い……最先端の店とは真逆かもしれないけれど、心がぽおっと温かくなる、おいしい出会いを探しに出掛けませんか。『おとなの週末』編集部がご案内いたします。
撮影/鵜澤昭彦(だるま)、西崎進也(ブリック、北畔、たつや)、橋本真美(富士川)、取材/肥田木奈々
■亡き父の店を姉妹で守る門仲の人気酒場『だるま』@門前仲町
「お帰り~」「魚食べる?半分の量にしようか」「今日もお疲れ様。あ、疲れるほど仕事してないか、あはは」……なんて常連客とやり取りしながら明るい笑顔を振りまく店主姉妹は我ら飲んべえの女神か。
名酒場には各々“色”のようなものがあると思うのだが、華やかで親しみのある「だるま」独特の色を作るのは間違いないなくこのふたり。
昭和46年に父親が始めた店を父亡き後に継いで約15年。「私達も子育て中で、閉めようと思う気持ちもありました。でも当時の従業員や常連さんのためにも続けようと」。
先代の頃、バイトの学生が注文時に言い始めた「酎ハイ、いっぱーつ」という掛け声は今も健在、店は変わらず連日鈴なり状態だ。
姉の理さんは主にドリンク担当、妹の真さんは炒め物など料理担当。母のレシピのつくね焼など定番の他、すき焼き風の肉豆腐など真さんの味も加わったメニューはどれも家庭的でやさしい味わい。毎日通う客がいるのもわかるなぁ。
[住所]東京都江東区門前仲町2-7-3
[電話]03-3643-4489
[営業時間]16時半~22時(20時40分LO)
[休日]日・月
[交通]都営大江戸線ほか門前仲町駅5番出口などから徒歩3分
■雰囲気をそのままに地元の名物酒場が再出発『NAKANO ブリック』@中野
老舗が次々と消えゆく時代、中野の名物酒場が昨年11月に再び時を刻み始めた。昭和の洋酒ブームを築いたいわゆるトリスバーとして昭和39年に創業。コロナ禍等の事情で閉店を余儀なくされたが、2年の沈黙を経て復活したのだ。
前店主の思いを受け継ぎ再開させたのが、自身も代々木上原の老舗酒場の2代目である中島さん。
カウンターも椅子も当時のまま、昔の面影を大事に残している。トリスハイボール350円、つまみ220円~という安さの心意気も受け継ぐのはうれしい限り。
一方「店を維持するには幅広い世代に来てほしい」と喫茶営業も始め、ナポリタンなど新たな名物も考案した。いわば中野のシンボル酒場第2章。次代へ続く。
[住所]東京都中野区中野5-61-3
[電話]03-5942-6685
[営業時間]12時~23時(日・祝は~22時半・カフェタイムは基本16時まで ※酒類は終日可)
[休日]不定休
[交通]JR中央線ほか中野駅北口から徒歩2分
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