こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】お金かけすぎ!? カルマン社の電動ハードトップが魅力のマイクラC+Cの破壊力

■運転感覚はマーチであることを微塵も感じさせない

 搭載されるエンジンは、国内で販売されていたマーチには設定されない1.6LのHR16DEで、トランスミッションは4速ATと5速MTが選択できた。

 国内仕様に対して100cc分の余裕を持つエンジンは低回転領域から扱いやすい特性を持ち、1200kg(4速AT)というオープン化によって増加した車重をものともせず、アクセルを軽く踏んだだけで力強い加速性能を発揮する。あらゆる場面でオープンカーならではのスポーティで爽快感に溢れた走りを楽しむことができた。

 マイクラC+Cは欧州から逆輸入されたモデルで、日本向けに仕様変更が実施されているが、足まわりの特性はおそらく欧州仕様そのままだったと思われる。なぜなら、ハッチバックに比べて重量のかさむことに加え、スポーティイメージを体現するためにサスペンションはやや硬めのフィーリングだったからだ。

 硬いといっても不快な突き上げを伝えることはなく、接地性の高さも相まって欧州のコンパクトカーをドライブしているような硬質な感覚が味わえた。

 オープン化にあたってボディ剛性が高められたことも走りに絶大な効果をもたらしており、街なかはもちろん峠道に持ち込んでもしっかりとした手応えがハンドルを通じて伝わり、乗り心地には車格を超越した落ち着きが感じられた。

 おそらく当時、多くの人が「欧州向けのマーチというのは、こうした乗り味なのか!?」と、その性能差に驚かされたことだろう。

 近年は国産車なかにも海外市場に軸足を置いた車種が増え、それが日本と海外仕様の間にあった格差は解消されているが、当時は日本のマーチに欧州のマイクラのような特性を求めるニーズがなかったから、乗り味に違いがあるのはやむを得ない。

 しかし、それでも両者の間にあったあまりにも大きな差に愕然とするとともに、欧州仕様にできることを日本仕様にやってくれていないことを残念に感じたものだ。

電動格納式ハードトップはバックガラス部とルーフ部が分割するタイプで、トランクリッドが大きく開いて内部へ格納される
電動格納式ハードトップはバックガラス部とルーフ部が分割するタイプで、トランクリッドが大きく開いて内部へ格納される

 日本に逆輸入というかたちで導入され、輸入計画台数であった1500台に達したところで販売は終了。その後にマイクラC+Cのような気軽に乗れる、カジュアルなオープンモデルが日本のメーカーから発売されていない。

 日本市場におけるオープンカーの需要が少ないという事情はあるが、肩ひじを張らずにオープンエアドライブが楽しめる手が届きやすい価格のオープンカーがあればと期待してしまう。

 昨今の自動車市場を鑑みると、こうしたクルマが新規に登場する可能性は極めて低い。ならばマイクラC+Cを中古車で手に入れるしかないが、それが実現できたとしたら、「SHIFT_ happiness」という登場したときのキャッチフレーズの通り、マイクラ C+Cがあなたのしあわせをシフトしてくれるのではないだろうか。

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