クラウン N-ONE ジャガーFタイプ…… 国産車も輸入車も 輝け! 「2013年」のデザイン水かけ大賞

クラウン N-ONE ジャガーFタイプ…… 国産車も輸入車も 輝け! 「2013年」のデザイン水かけ大賞

『ベストカー』きってのデザイン論客、2014年11月に逝去されたカーデザイナー・自動車評論家の故・前澤義雄氏と、自動車評論家清水草一氏による連載「デザイン水かけ論」。今回は過去の連載のなかから、2013年の「デザイン水かけ大賞」を振り返ってみたい。(本稿は「ベストカー」2014年1月26日号に掲載した記事の再録版となります)

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■2013年にデビューしたクルマたちをデザイン視点から評価!

国産車大賞に輝いたホンダN-ONE(前澤1位/清水3位)
国産車大賞に輝いたホンダN-ONE(前澤1位/清水3位)

清水「前澤さん、寒くなりましたね」

前澤「冬だな」

清水「そろそろコタツでミカンを食べながら紅白ですね」

前澤「うちにコタツはない」

清水「うちにもないです。年の瀬の上福岡には、景気回復の兆しは見えますか?」

前澤「ない」

清水「ないないづくしですか」

前澤「……パチンコ屋の前にたまに止まっている、メルセデスCL」

清水「CLですか。贅沢ですね」

前澤「それがこの前、クワトロポルテに替わっていた」

清水「へえ。いいじゃないですか!」

前澤「相変わらず綺麗な形をしている」

清水「それはなにやら吉兆ですね。では、明るい未来を前に、今回は過去を振り返りましょう。輝け! 2013年デザイン水かけ大賞の発表です」

前澤「……」

清水「すでに前澤さんには投票いただいていますから、それを見ていきます。ちなみに今回の投票は、この1年、当コラムで取り上げた際の採点をベースにしていますが、修正も可ということにしてますので、読者の皆様、ご承知おきください」

前澤「ほんのちょっとだけ変えた」

清水「前澤さんの変更は1点の増減ばかりですが、私は最大19点変えました。やっぱりですね、数カ月もすると、発表直後の評価とかなり変わってきちゃうことが多いんですよ。私の見る目が熟してないからですけど、これもまたデザインの不思議というか面白いところだと、前向きに考えてます」

前澤「……(あらぬ方向を見る)」

■国産車部門:クラウンとN-ONE 革新性があるのは?

じつはこちらも国産車大賞に輝いたトヨタクラウン(前澤3位/清水1位)。このピンク、懐かしい。それはそれとしてその評価の背景は?
じつはこちらも国産車大賞に輝いたトヨタクラウン(前澤3位/清水1位)。このピンク、懐かしい。それはそれとしてその評価の背景は?

清水「まず国産車。前澤さんの1位はホンダN-ONEです」

前澤「……(変化なし)」

清水「点数は83とイマイチですが、それでも1位。実は僕はですね、このN-ONEの点数は93から88に落としたんですよ。見れば見るほど感動が薄れて、早くも賞味期限切れに思えてきた。出た時は新鮮に感じたけれど、見れば見るほど平凡に思えるんです」

前澤「N-ONEのデザインは思想がいい。時代が新しい」

清水「新しいですか? コンセプトとしてはちょっとレトロ、それを機能的かつ現代的に、って感じでしょう」

前澤「レトロではない」

清水「だってモチーフはN360じゃないですか」

前澤「N360の面影はまったく感じない」

清水「少なくとも顔のモチーフはそれじゃないですか!」

前澤「N-ONEのデザインには革新がある。悪くない」

清水「僕も悪くはないと思いますけど、そんなによくはなかったなってことです。町で見てもハッとしない。それに比べてクラウンは、見れば見るほどハッとするんですよ。見れば見るほどあのデザインが好きになる。あの面の張り! パーンときれいに張った面に、ドーンと大胆な王冠グリルがはまっていて、信号待ちで対向車線の先頭に止まってると、思わず見入っちゃうんです」

前澤「それほどのものではない」

清水「でも、前澤さんも3位に入れてるじゃないですか。僕は81点から大幅加点して100点にしました。クラウンが2013年の1位です!」

前澤「N-ONEのような革新性はない」

清水「いやあ、革新性ならクラウンのほうが上ですよ。その証拠に、出た直後はあのグリルが大不評だったじゃないですか。あれは典型的な新しいものへの拒絶反応だった。それが、見れば見るほどよくなる! テスタロッサのサイドフィンと同じ経過をたどっている」

前澤「ま、悪くはないが」

清水「前澤さんの2位はフィットですけど、これも僕は86点から79点に下げました。見れば見るほど粗が見えるんですよ。特にリア下部左右のダミーのエアアウトレット。あの安っぽさがどうにも気になって」

前澤「フィットはプロポーションがいいから、そういう細部は気にしていない」

清水「気にしますよ! 前澤さんが4位にしたアコードHVも、プロポーションはいいけど顔が悪すぎる。あれじゃタントカスタムじゃないですか」

前澤「顔はディテールに過ぎない」

清水「だからディテールはものすごく重要なんですって! 神は細部に宿るっていうじゃないですか」

前澤「(聞いてない)アコードは全体の存在感がぐっと上級になった」

清水「じゃアテンザはどうです? 僕は86点から90点に加点しました。最初はプレスの甘さみたいなのが気になって、期待外れに感じたけど、それは期待がデカすぎたからで、街で見かけるとやっぱりいい」

前澤「間延びしてる」

清水「ですか(笑)。ということで国産車部門は、N-ONEとクラウンがともに1位・3位で同着なので、両方大賞です!」

前澤「あそう」

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