【レジェンド、シーマ…】メーカーが売れないクルマを造り続ける事情

ホンダレジェンド

デビュー:2015年2月(販売開始)
価格:707万4000円
2019年1~6月累計販売台数:240台(6月:39台)

レジェンドはSH-AWDによる走りの軽快感、スタビリティの高さはライバルを凌駕するレベルにあるが、それが購入動機につながっていないのがもったいない

 レジェンドの1カ月の登録台数は40~50台だ。北米仕様のアキュラRLXは160台前後と少し多いが、合計200台程度しか売れない。開発者は「レジェンドは海外が中心のクルマと思われているが、国内の販売比率も意外に高い」という。

 発表は2014年で、2015年から販売を開始。売れ行きは早々に伸び悩んだから、かなり長く造らないと収支が合わないだろう。ホンダの最上級車種でもあるから、今後も必要に応じて改良を加えていく。

 それだけに商品力は高い。V型6気筒、3.5LエンジンをベースにしたハイブリッドのSH-AWDは、前輪をエンジンとモーター、後輪は2個のモーターが駆動する。車両重量が約2トンに達するLサイズセダンなのに、ボディの重さを意識させない。

高級感のある本革シートを標準で装備するなどライバルに対して買い得感は高いが、歴代レジェンドともレジェンドでなければ、という絶対的な押し出しが弱い

 しかも安全面を含めた各種の装備から本革シートまで、フルに標準装着されて価格は707万4000円だ(発売時点では680万円)。レクサスGS450h・Iパッケージが普通の2WDで783万5000円に達することを考えれば、レジェンドは割安ともいえる。

 それなのに販売が伸び悩むのは、レジェンドが高級車ユーザーのニーズに合わないからだ。Lサイズセダンなのに、華やかさと存在感が乏しく、スポーティなミドルサイズセダンのように見えてしまう。試乗すると優れた商品なのに、ここまで売れないクルマも珍しい。

三菱RVR

デビュー:2010年2月
価格:210万4920~254万1240円
2019年1~6月累計販売台数:503台(6月:80台)

デビューした時からフロントマスクも大きく変身したRVR。安全装備などの充実により魅力アップ。2019年秋には再びフロントマスクを変更する予定

 コンパクトなSUVで、2010年に発売された。プラットフォームは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値を含めて、現行型のアウトランダーやエクリプスクロスと共通だ。最近の三菱はプラットフォームを新規開発していないから、デリカD:5まで含めて共通化された。

 発売から9年を経過して、日本国内での売れ行きは1カ月に60~70台だが、ボディがコンパクトでもあるから海外では相応に売れている。

 全長は4365mmと短くても、ホイールベースは2670mmと長いから、基本設計が古い割に走行安定性に不満を感じない。歩行者を検知できる緊急自動ブレーキも追加した。

 今後はフロントマスクをエクリプスクロスやデリカD:5に準じたデザインに進化させる。販売店では「2019年7月に生産が一度止まり、改良を施して再度発売する」という。将来的には新しいコンパクトSUVを投入するが、しばらくはRVRが需要を支える。

ホンダクラリティPHEV

デビュー:2018年7月
価格:588万600円
2019年1~6月累計販売台数:70台(6月:6台)
※FCV含む

2018年7月のモデル追加なので丸1年が経過したが販売面では苦戦が続いている。車両価格が高いのが最大の要因でディーラーも販売に力を入れていない

 クラリティは燃料電池車のフューエルセルが2016年にリース専用車として発売された。2018年には、1.5Lエンジンを搭載するプラグインハイブリッドのクラリティPHEVを市販している。1カ月の登録台数は、多い月でも20台程度だから、売れ行きはかなり低調だ。

 クラリティPHEVのリチウムイオン電池は17kWhの容量を確保して、充電された電気により101kmを走れるが(WLTCモード走行)、価格が588万600円と高い。経済産業省の補助金はクラリティPHEVは20万円、燃料電池車のクラリティフューエルセルは208万円だから、燃料電池車のほうが実質的に安く買える。

 このような価格設定もあって、ディーラーは販売に力が入らず(特に最近はN-BOXと新型N-WGNで多忙な状態だ)、売れ行きが低迷する。

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