マツダロードスター
ロードスターは「1970年代あたりまで存在し、衝突安全性などの規制強化で絶滅してしまったライトウエイトスポーツカーを現在の技術で復活する」というコンセプトで1989年に初代モデルが登場。
非常にわかりやすいコンセプトであるが、そういったクルマを小型のFR車で市販車にするというのは自動車メーカーにとって非常に大きな賭けである。
しかしマツダは紆余曲折を経てゴーサインを出し登場した初代ロードスターは、速くはないけど乗って楽しい点、ラゲッジスペースを持つなどの一応の実用性を持つこと、200万円程度というリーズナブルな価格といった要素を理由に世界的なヒット車となった。
これはリスクを覚悟して商品力の高いクルマを作ったのだから、当然と言えば当然だ。
初代ロードスターが大ヒットしただけに1990年代中盤以降になると、トヨタMR-S、BMW Z3、MG-F、フィアットバルケッタといったライバル車も登場。しかしライバル車はZ3がZ4に移行したくらいで、初代モデルで絶版となってしまったクルマばかりだ。
対してロードスターはマツダが本当に苦しかった1990年代後半から2000年代前半にかけても歯を食いしばって存続し、現在も4代目モデルを進化しながら継続している。
その甲斐あってロードスターはクルマを通して、走る、手を加える、オーナー同士のお付き合いといった様々な楽しみ方ができるスポーツカーに成長。ロードスターが孤高の存在である最大の理由は継続できたことに尽きると思う。
三菱デリカD:5
デリカは2代目モデルに4WDを加えて以来、「オフロードも走れるミニバン(当時の言葉では1BOXカー)」というコンセプト、セールスポイントを確立。
1980年代後半から1990年代前半にかけてはパジェロも絶大なブランドイメージを持っており、相乗効果で当時三菱自動車がよく言われたRV王国という牙城の構築に大きく貢献した。
デリカが現在も含めコンスタントに売れているのを思うと他社からライバル車が出てもよさそうなものだが、そういったクルマは思い浮かばない。
これはデリカが孤高の存在となったためロードスターのように牙城を崩すのは難しい、デリカはコンスタントには売れているけど、すごく売れているというほどではなかったからその種のクルマを他社が作ってもそれほど売れないと判断した、4代目のスペースギアは1994年の登場から2006年まで生産された長寿車だったため、他社は存在を忘れていたといった事情のためだろうか。
デリカ自体も現行モデルの5代目D:5は2007年登場と古いクルマであるが、根強い需要により今年超ビッグマイナーチェンジを行い、クルマ自体のグレードアップに加え、自動ブレーキやACCの装着といった時代に合わせたアップデートを実施。
超ビックマイナーチェンジで魅力を大幅に向上したデリカD:5は一層ライバルのいない孤高の存在となりそうだ。
ただ、2020年初に発売されるというトヨタTJクルーザーは、デリカの牙城を切り崩そうとしている1台のように映るため、デビュー後に注目したい。
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