こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】走りのよさが光るFRワゴン[アルテッツァジータ]はなぜ売れなかったのか?

■刺激と上質感を巧みにバランスさせたセダンとはひと味違う乗り味

 駆動方式はFRを基本としながら、3Lエンジン搭載車には4WD仕様をラインアップ。4WDシステムはセンターディファレンシャルにアクセル操作、ステアリング操作、路面状況といった走行状態に応じて電子制御し、前・後輪に対してつねに最適な駆動力を配分するi-Fourシステムを装備したフルタイム式としていた。

 サスペンションは、熟成の4輪ダブルウィッシュボーン式を採用。もともとアルテッツァは、エンジンやバッテリー、燃料タンクといった重量物を車両の中心に寄せて重量配分の最適化を図ったFR車とあって、ナチュラルなハンドリングを美点としていた。

 その資質はそのままに、ワゴンボディとするためにボディ骨格やパネル構成はもとより、リアまわりに各種のリインホースメント、クロスメンバー、ガセット類などを最適配置した。これによりボディ剛性が高められた。

 さらに、バックドアの構成部材にアルミを採用することで重量増を抑えてヨー慣性モーメントを減少させ、優れた操舵応答性と収束性を実現。セダンほどスポーツ性を強く意識させる乗り味ではないが、ドライバーの感性を刺激しながらも上質さを失っていないのがアルテッツァジータの走りにおける特徴と言える。

3L直6エンジンはスープラやアリストと同じもので、最高出力は220psを発生。余裕たっぷりの動力性能に加え、高剛性ボディや優れた重量配分、洗練されたシャシー性能によって、リニアなハンドリング性能と卓越したスタビリティを実現している
3L直6エンジンはスープラやアリストと同じもので、最高出力は220psを発生。余裕たっぷりの動力性能に加え、高剛性ボディや優れた重量配分、洗練されたシャシー性能によって、リニアなハンドリング性能と卓越したスタビリティを実現している

 レガシィツーリングワゴンのような生粋のステーションワゴンに比べれば荷室は狭いものの、日常的な荷物の積載に関してはとりたてて不満はない。しかも、後席を前倒しすればキャンプやスキーといったアウトドアスポーツのアイテムも難なく積載できるから、セダンや5ドアハッチバックよりも実用性は高いレベルにある。

 スタイルがよく、走りが爽快な新感覚ワゴンで小旅行をするというニーズには最適の選択と言える。しかも、新車ではもはや手に入らない直列6気筒を搭載したコンパクトな後輪駆動車であることも、クルマ好きの琴線に触れる要素であり、生産終了から20年を経た現在も十分な魅力となっている。

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