NSXの性能、世界一級品!! なぜ人々を熱狂させないのか?


 ホンダのフラッグシップスポーツカーのNSXが日本デビューを果たしたのは2016年8月。3.5L、V6ツインターボエンジンをミドに搭載する3モーターハイブリッドの『スポーツハイブリッドSH-AWD』は新世代スーパーカーに呼ぶにふさわしい先進性を持つ。

 税抜きで2194万4445万円の車両価格は、消費税8%で2370万円、10%なら2413万8890円となり、価格面もスーパーときている。

 購入できる人は限られた一部で一般人と無縁のクルマとわかってはいるが、『高嶺の花』という感じがないのも事実だ。

 ホンダのスーパースポーツのNSXはカッコいいし、性能も世界一級品ながらで心躍らせるワクワク感がないのはなぜかを松田秀士氏が考察する。

文:松田秀士/写真:HONDA、ベストカー編集部


現行NSXからホンダの情熱が感じられない

【画像ギャラリー】すでに完売!! 2019年モデルのNSX

 ホンダのフラッグシップスポーツカーのNSXの価格は2000万円を超えるため、このクルマが購入できるユーザーは限定される。しかしこの手のクルマの場合、買える買えないに関係なく、夢や憧れを抱かせるかも重要な要素だ。

3.5L、V6ツインターボ+3モーターのスポーツハイブリッドSH-AWDによる走りのポテンシャルは世界の一級品のNSXだが、エモーショナルな訴えかけがない

 しかし現行のNSXに関していえば、買える人、買えない人ともに心躍らせているかと言えば疑問符が付く。

 まず考えられるのは、現行のNSXにはストーリーがない。NSXは1990年に初代がデビュー。1997年にII型、2001年にIII型へと進化させ2006年まで16年間にわたり生産されたように歴史自体は持っている。

 しかし、現行NSXはその初代のヒストリーを何も踏襲していない。車名こそNSXとなっているがまったくの別グルマに思える。

 別グルマでもかまわないが、NSXには新たなストーリーを構築していこうというホンダの情熱というものが感じられないのが残念だ。

1990年にデビューした初代NSXのハイパフォーマンスモデルとして1992年に追加されたタイプR。買えなくても乗れなくても人々を熱くさせた
初代NSXの最終モデルのIII型は2001~2006年まで生産された。リトラクタブルヘッドライトから固定型ヘッドライトに変更されたのが最大の変更点

GT-Rとは対照的

 情熱という点では現在日本のスーパースポーツのツートップの一角である日産GT-Rとは対照的だ。現行のGT-Rは庶民的なクルマのスカイラインのトップモデルというハコスカ時代からR34までのヒストリーとは違う専用モデルとして登場した。

 ボディの大型化、ハイパワー化をはじめ車格は格段アップし、若者が手を出せるクルマではなくなったが、初期モデルは777万円という価格で登場。

 何よりも日産のGT-Rにかけた思い入れが凄まじかった。まぁ、これは開発責任者の水野和敏氏の存在が大きいわけだが、妥協しない開発姿勢は共感すら生んだ。

 そしてGT-Rは日本で開発されたことが大きい。日本というのは場所ではなく、日本が開発のイニシアチブを握っていたことだ。

日本のスーパースポーツのツートップは世界中から注目されているが、人々を熱くさせるのはGT-Rのほう。クルマ作りに情熱が込められているのがその理由

 それに対しホンダはリーマンショックによりNSXの後継モデルと考えられていたフラッグシップスポーツのHSVの開発断念を発表。景気の好転を機に再びスーパースポーツの開発に着手して生まれたのが現行NSXだ。復活させたことは素直に讃えたい。

 しかし日本ではそれほど販売が見込めずメインマーケットはアメリカであるため、ホンダはNSXの開発をアメリカホンダに投げてしまった。これは大きな問題だと思う。

 当然日本の技術は当然注入されているが、アキュラNSXありきで日本の本社がイニシアチブを握っていないがためにどことなく他人事のような感じがする。

NSXのポテンシャルは高く素材としても今後大きく進化する可能性を持っているが、それをやるかやらないかはホンダ次第。アメリカ任せでは期待薄

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