ホンダという企業が抱える問題
デビューした後についても、日産がGT-Rをしっかり育てていくという姿勢を貫いているのに対し、ホンダのNSXの改良モデルを出して2019年モデルはすべて完売したようだが、育てようという気概が伝わってこない。
これはNSXだけの話ではなく、レジェンドにしても出しておしまい、というパターンが多く継続性がない。奇しくもレジェンドもアキュラありきのクルマだ。
ホンダがスーパースポーツカーのNSXを復活させたことは評価するが、ホンダはNSXを売って何がしたいのかがわからない。
日本のメーカーでいえば、トヨタは自分たちが持っている財産に対し、「何か忘れていないか?」と気づき、86、スープラを復活させた。
単独開発ではなく前者はスバル、後者はBMWとの共同開発だが、保守的というイメージが強いトヨタながら、何かやってくれそうと期待感を抱かせるメーカーになっている。これは 豊田章男社長の功績が大きいのは言うまでもない。
マツダにしてもそうだ。財政的には厳しいなか、いいクルマ、楽しいクルマを作るという気概にあふれ、それに向かって邁進している。
それに対し現在のホンダは軽自動車が販売のメインとなっていることもあり、N-BOXを筆頭に軽自動車、SUVにしか注力していないように映る。
売れるクルマに注力するのは当たり前だが、ホンダが打算的になりすぎているというのは現在のホンダという企業が抱えている問題だろう。
販売店にしてもNSXが購入できるのはNSXパフォーマンスディーラーのみとなっているが、これはホンダカーズから選別された精鋭とはいうもののGT-Rのためのハイパフォーマンスセンターや、トヨタのGRガレージに比べると特別感がない。
このままではブランド価値が落ちていく
ホンダはF1に参戦していればブランド力は維持できると思っていてはいけないと思う。F1でブランドが確立できているのはフェラーリだけ。そもそもスタンスが違うのだから仕方ない。
フェラーリは創業から一貫としてレースで培ったフェラーリというブランドをスーパースポーツモデルとF1のために維持してきた。
それに対しホンダはレースで培ったホンダというブランドを乗用車のために維持している。つまりフェラーリとホンダは志は同じでも、生きてゆくための手段が異なるだ。これはホンダ以外の自動車メーカーも同じ。
NSXの性能は申し分ない。まだまだ進化する可能性も持っている。しかし、それも実際にやらなければ宝の持ち腐れとなる。
そのためにもNSXを製造販売する部門を子会社として新たに立ち上げるべき時にきているんじゃないかなと思う。
今のままでは、米国はかまわないかもしれないけれども、日本でのブランド力がどんどん落ちるだろう。
とにかく日本国内で日本人の手で生産し進化させてほしい。
日本のモノ造りを維持し、これまで辿ってきたように開発力を高めるためにはNSXのようなクルマがあることが大切だから。
ホンダから情熱がなくなったとは思わない。究極のFF車を目指して開発されたシビックタイプRを見れば一目瞭然。シビックタイプRが人々を惹きつけるのは、そこにホンダスピリットが感じられるからだ。
NSXにタイプRが追加されるという噂は根強い。これに日本の技術が大きくかかわっていて、これを機にNSXの開発に日本が大きく関与するようになることに期待したい。
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