全部上げないとダメ
では、実際にどの部分がライバルに対して足りないと認識しているのだろうか? 可夢偉選手は即答で「全部上げないとダメでしょうね。そうしないとライバルに勝てるクルマ、チームにはならないと思っています。そのためには、ありとあらゆるチャンスがある部分はシッカリと見ていく必要があります」と語ってくれた。
TGRのWECチームは2018年の初優勝以降、着実に強いチームに成長しているのは紛れもない事実である。しかし、その一方で人とクルマのバランスに悩んできたように感じる。かつてはマシンが先行しており人が追い付いていなかったが、今は人の成長に対してマシンが追い付いていない状態なのかなと。
もちろん、レギュレーションという縛りがあるのは重々承知しているが、筆者はもっといいクルマづくりのためには「人」と「クルマ」の両方がバランスよく進化していかないとダメ、どちらかに負担をかけ過ぎても結果は伴わない……という事を実感した2025年のル・マン24時間だった。
トップカテゴリーはピラミッドを作る上で大事
ただ、チームは次に向かって何をすべきかを理解しているので、あとはそれを実践するのみである。加地氏はそれについて少しだけヒントを教えてくれた。
「ハイパーカーの規制が2032年まで延長されましたので、次の戦略は練り直しになります。当然、今のマシンで戦い抜けるとは思っていませんので……。加えて、液体水素をモノにしようとすると一朝一夕にはいかないのも重々理解していますので、中長期的に進めていきます」
「さらにハイパーカーはドライバーにとって大きなステップになっています。我々はGT3をやっていこうと思っていますので、トップカテゴリーはピラミッドを作る上では大事なこと。そう簡単にはやめませんよ」
2025年はトヨタがル・マンに初挑戦してから40周年と言う節目の年だった。結果は伴わなかったが、チームにとって次の40年に向けて新たな気持ちでスタートするためのマインドセットのキッカケができたことは、個人的にはよかったと思っている。
モリゾウの言葉を借りると、ズバリ「努力して結果が残らなかったが、経験は残った」である。


コメント
コメントの使い方欧州勢がルールブックの解釈違いを盾に、やりたい放題やっているのを、強かと取るかセコいと取るかの話ですが、
それをセコいと受け止めても、負けたら発言権すら無いのがこの不条理な世界。
各関係者たちは、今でも歴代レースの様々なセコい行為を、欧州メディアで自慢話として喜々語っています。
勝つためには、それを強かと認めて倣うしかない。勝たなきゃ日本人の言葉は一切聞いてもらえないのが現実