イゴール・オオムラ・フラガの走りから見えてくる「選手像」

過敏なマシンやタイヤについてはまだ勉強中で、オフテストでは限界を超えてマシンを壊したこともあったが、同じ失敗を繰り返していない。持前の向上心と探求心で昨年以上に勝利へのこだわりを見せるフラガだが、実は年初に高校時代からの恋人と目出度くゴールイン、そしてつい最近、かねてより気になっていたホンダの2シーターオープンスポーツカーS2000を購入したという。
中古車市場でも大人気、とても状態の良いS2000と偶然出会ったチャンスをフラガは逃さなかった。いまこの時をモノにする判断力と決断力、勝ち取るための闘争心は、第3戦決勝でSC明けの3ワイドになった2番手争いの1コーナーで一気にトップを奪った走りや、第7戦で予選順位から2ポジションアップの2位をつかんだ慎重かつ大胆な走りでも大いに発揮されていた。
そんなフラガを見ていて思い出すのは、F1を取材していた頃に間近で接したミナルディ時代のアロンソやベッテル、ブルデーにブエミ、チームは違うがライコネン、SFなら平川亮の走りだ。
たとえ50%の出来のマシンであっても自分の力で85%に引き上げる彼らの走り、そのエネルギーの波動に触れるたびに鳥肌が立った。フリー走行の発進時から全力でタイムを出しに行く彼らの気迫がどこから来ていたのか、今ならよくわかる。
話題となった牧野の悔し涙から見えること……

第6戦で3位となった太田の僚友・牧野任祐が表彰台で悔し涙をこらえきれずにいた。レース中のチーム無線の不手際で勝利の機会を逸したからだ。SFは全チーム無線を聞けることをウリにしているが、筆者は一度も聞いたことがない。
F1だろうがINDYだろうが、外部が聞ける無線は部分的な切り取りが多く、聞いても間違った印象につながりかねない。それにラップモニター上で次々更新されるタイムを追っていれば、各車に何が起こっているかおおよそ見当はつく。
牧野の無線状態は把握していなかったが、なぜ前を走る牧野でなく後ろにいた太田を先にタイヤ交換に入れたのかは大いに疑問だった。
タイヤ交換の優先権はチームの先行車にあるのが常道だと筆者は理解している。今季絶好調の同僚に対し、序盤は不調に苦しんだ牧野が、やっとリズムを取り戻しつかみかけた勝利のチャンスを奪われる格好になったと周囲に見られても、チーム関係者は言い訳できない事案だったという他ない。
ドライバーが身を切る思いで求める勝利への意欲を削ぐことなく、彼らの闘志を燃焼させ力量を発揮できるマシン、戦略、走行中のコース状況管理も含め、レースを構成するすべての人々、ピースがプロに相応しいレベルで揃っていることが、中身の濃いレースをファンに提供することにつながる。
「トップカテゴリー」はドライバーたちだけで成立するものではないのだ。
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