現場でラリーを見ることはできるのか?
では、実際にラリージャパンが開催されたとして、現地での観戦はできるのだろうか? 無観客試合の可能性もあるのだろうか?
あくまでも個人的な考えだが、無観客試合はないと推測する。なぜなら、スーパーフォーミュラやスーパー耐久ではすでに人数を限定しながらも観客を迎えており、スーパーGTも10月の富士戦から観戦チケットを販売する。
さらに、今後大規模イベントにおける参加者の上限は撤廃される方向にあり、2021年11月となれば、制限は諸々さらに緩められている可能性が高い。
8月にシーズンが再開したWRCに目を向けると、WRC初開催のラリー・エストニアは感染対策を徹底したうえで、約1万6000人の観客を迎えた。そして、今のところ大規模なクラスターの発生はないようだ。
9月のトルコ、10月のイタリア(サルディニア)は無観客試合を選び、WRC初開催となる11月のベルギーはまだどうするのか発表がない。
ただし、いずれのラリーでも新型コロナ対策はかなり念入りになされているようだ。2021年11月までには、WRCにおける感染防止プロトコルはさらに進化し、より完成度が高まっているはずだ。
それでも、各開催国で突発的に感染者数が増え、急きょ中止になる可能性は否定できない。そのため、2021年のWRCに関しては中止の可能性が低く、中止になっても代替イベントへの差し替えが容易な欧州圏のラリーを、できるだけ多くカレンダーに含めようとしているようだ。
いまだ感染拡大が続いているメキシコ、アルゼンチン、チリに関しては中止のリスクが大きいため、2021年はカレンダーから除外される可能性が高い。
また、機材輸送の問題もあるため、日本を含めた欧州以外のラリーは、シーズンの後半に集められそうだ。
中盤までに欧州内で開催イベント数をなるべく増やしておき、そのうえで確実性が低い欧州外のイベントを終盤積み重ねていく方式になると、いわれている。
トヨタはWRCの参戦を続けるのか?
ところで、先日GRヤリスを販売開始したトヨタは、この不安定な状況においても、今後もWRCに参戦し続けるのだろうか?
世界的な景気後退という厳しい状況下でもしっかり黒字を出したトヨタだが、モータースポーツの予算縮小はやはり避けられないだろう。
それでも、WRC参戦はトヨタおよびGRブランドのグローバル戦略の中核を成すプロジェクトであり、しかもこれからようやくGRヤリスのプロモーション期間に移行するのだから、普通に考えればあと3年は参戦を続けるのではないだろうか?
GRヤリスをベースとするハイブリッドマシンがWRCで走り始めるのは2022年から。それから1、2年で活動を止めるということは、これまで投じてきたコストの回収を考えてもマイナス要素が大きすぎる。
そう考えると、少なくとも2024年まではWRCに出続け、それに伴いFIAおよびWRCプロモーターはラリージャパンに重きを置き続けるのではないかと期待する。
なかなか新規マニュファクチャラーが参戦しない状況で、トヨタのホームイベントであるラリージャパンをシリーズから外すことは得策ではない。
トヨタが参戦を続ける限り、ラリージャパンはWRCのアジア地区を担うイベントとして、カレンダーに残り続けることだろう。
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