2017年のF1も残すところあと1戦。日本勢では、ホンダが復帰3年目を奮闘中だ。いっぽう日本人F1ドライバーは2014年の小林可夢偉以来途絶え、2018年も誕生の可能性は低い。
F1には過去に多くの日本人ドライバーがいた。中嶋悟に始まり鈴木亜久里、片山右京、中野信治、高木虎之介、佐藤琢磨、中嶋一貴、小林可夢偉……彼らはそれなりの活躍をして、充分にF1ドライバーの才能を発揮していた。
しかし、ほぼ全てのドライバーが志半ばで、F1を去ってしまった。野球やスケート、卓球など多くのスポーツで若い日本人スターが世界を舞台に活躍している。
数多くの才能ある日本人ドライバーがF1を走りながらも、その実績をF1史に残してゆけなかったのはなぜだろうか。そして、ホンダやトヨタなど日本メーカー系チーム以外でなかなか走れないのはなぜだろうか。
文:津川哲夫/photo:INDY CAR
実力充分でもメーカーの力に左右される日本人ドライバー
簡単に答えられる問題ではないが、一つには日本人ドライバーの多くが「自力でF1に行こう」としないことが大きいのでは?
確かに小林、佐藤はヨーロッパで戦い実績を上げ、言わば行くべくしてF1に到達しているが、多くはメーカー等のバックアップがあって、むしろメーカーの意向で『F1に来てしまった』と言うのも事実だ。
日本では昔からメーカーの力が実に大きく、メーカーの力なくしてはとてもF1に向かう資金も援助も受けられないのが本当のところ。大企業もモータースポーツでのスポンサー活動にはほとんど興味を示さない。
モータースポーツ自体は未だに日本での市民権がないといって良いだろう。現実に国や警察がモータースポーツをスポーツとして認めない限り、日本にはトップドライバーの育つ土壌がないということになってしまう。
また、自動車メーカーもドライバーには寛容にはならず、多くは自分達のメーカーに閉じこめて、トップドライバーへの可能性を引き倒してしまう。チャンスを与えているようで、実は才能の多くを潰してしまう形になるのだ。
メーカーを飛び出すドライバーには厳しく当たり、他陣営のドライバーには冷たく、言うことを聞くドライバーは自分達の陣営の懐に隠し、羽ばたくのを押さえつけてしまう。
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