世界ラリー選手権(WRC)は1973年にスタートした。だがそれ以前からラリーイベントは存在し、欧州のクルマ文化の一翼を担っている。
そんな背景もあって、お祭りのような側面もあり、かつては競技車と観客の距離は極めて近く、フェンスもないところで走行中のマシンに触るようなシーンも見られた。
そんな今では考えられないような1982年~1994年のイタリアのラリーシーンを振り返る。
文/佐久間 健、写真/佐久間 健、ベストカー編集部、LANCIA
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■国内では出場、海外では撮影のラリー版2足のわらじ時代
私がWRCの取材に初めて訪れたのは、1974年のツール・ド・コルスだ。WRCが始まったのが1973年なので開催2年目だったことになる。
この時のスタート~フィニッシュに設定されたのは、コルシカ島のバスチアで、2日間開催のラリーだった。
ランチアがワークスカーとしてストラトス、ルノーはA110アルピーヌ、ルノー17ゴルディーヌなどが出走。島を1週するようなコースだったようだが、初めてWRCに行ったというだけで、写真も今見ると、まだまだへたっぴーであまり記憶にない。
このあと、ベルギーのローカルイベントを1戦挟んでイギリスのRACラリーを取材し、その後1か月ぶりに帰国したわけである。
このころは国内ラリーに自分で参加しており、ラリーに参戦しないときは写真を撮るということを続けていて、たまにモンテカルロラリーに行ったりしていた。
ところが1982年にサンレモラリーに友人が参戦することになり、それではということで一緒にいくこととなった。
■ラリーにフェラーリが!? 意外とかっこよかったグラベルの跳ね馬
サンレモには何度も訪れているが、いろいろ衝撃的な出来事があったことを記憶している。このころのサンレモは、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両方がコースにあり、この時は1日目はターマックだった。
そしてこの時トップに立ったのは全くの無名ドライバーで、車両はフェラーリ308! ここから「えっ!?」という感じだった!
そして2日目はトスカーナのグラベルコース。ラリーカーをまっていると、観客をかき分けて白いフェラーリがドリフトで激走してくるではないか。
これがカッコイイ! 現在までWRCを200回ほど取材しているが、グラベル・ターマックを含めてフェラーリがWRCを走っているのを見たのは、この時が最初で最後である(この当時イタリアのローカルラリーにはフェラーリは結構走っていたらしい)。
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