振り返ればヤツはいる!! オートポリスで魅せた平川亮のいぶし銀のオーバーテイクショー

■玄人はだしのタイヤ使いを見せた若手ドライバーたち

タイヤ交換を遅らせる作戦が功を奏し2位となったサッシャ・フェネストラズ(KONDO)
タイヤ交換を遅らせる作戦が功を奏し2位となったサッシャ・フェネストラズ(KONDO)

 それにしても二人の若手ドライバー、フェネストラズと三宅のタイヤ使いには舌を巻いた。

 オートポリスといえばSF開催地のなかでもとりわけタイヤに厳しいコースだが、路面温度が45度近いドライコンディションで、前を追いかけ後ろから逃げ、タイヤをいたわりながら安定したタイムを刻む技は、ベテランとされるドライバーでも誰もが身につけているものではない。

 加えて最小限もしくはノーミスの走りができるとなると、平川や野尻のように、経験の深さとそこから得た知識を走りに活かすセンスも必要になってくる。

 三宅は2018年に鈴鹿のレーシングスクールを首席で卒業。2019年にはFIAーF4に参戦し1勝を挙げてランキング2位になったが、翌2020年フォーミュラレースに三宅のシートはなかった。

 スーパーGT300クラスでトヨタのマシンを駆って実績を積み、昨年はSF直下のスーパーフォーミュラライツ(SFL)にも参戦。雨のレースで2勝しランキング4位となったが、三宅の今季SFへのステップアップが正式に決定したのは、開幕の準備ギリギリの2月に入ってからだ。

 SFL時代そして現在もSGTで三宅を擁するチームの田中哲也監督も「この逸材がSFに上がれないとしたら、それは何かがおかしい」と三宅のステップアップを後押ししていたが、もしチームGOHがチーム無限からの分離独立せず2台体制でもなければ、この非凡な才能の走りをSFで見ることはなかったかもしれない。

 しかし幸いなことに、三宅はSFではホンダ系、SGTではトヨタ系のドライバーとして両メーカーの「選手紹介」欄に登場する希有な存在となった。

■モータースポーツにおける若手育成

タイヤに厳しいオートポリスでギリギリまでタイヤ交換を遅らせる作戦で3位に入ったルーキーの三宅淳詞(チームGOH)は初の表彰台となった
タイヤに厳しいオートポリスでギリギリまでタイヤ交換を遅らせる作戦で3位に入ったルーキーの三宅淳詞(チームGOH)は初の表彰台となった

 モータースポーツ活動の柱の一つに『若手育成』を置かないメーカーはないが、その実態は多分に若者にとって不安定なものだ。

 三宅のチームメイトで、今回はマシントラブルで最下位となったが開幕戦から三宅に負けず劣らず良い走りをみせている佐藤蓮(20)は、昨年のSGT最終戦でGT500クラスのタイトル争いをブチ壊すミスを犯し、自身のGT300戴冠も失った。

 GT500の当該チーム関係者やファンからの厳しい声がぶつけられたのは仕方なかったとして、動揺する若者への親心から出たにせよ、周囲の大人の判断による助言に従ったことが結果的に佐藤をより厳しい立場に追いやったという話を耳にしたときは胸が痛んだ。

 SGTを直接取材していないので話の裏取りは難しいが、もしそれが100%事実だとしたら、人としてドライバーとして、年齢的にも物理的にもまだまだ成長途上にある若者への指導や育成の道として大人たちがとった対応はいかがなものかと思わずにはいられなかった。

 堂々たる走りで今季2勝目を挙げた平川についてインパルの星野一義監督は「まだ27、28の若者の仕事ではない。現役時代の自分よりスゴイ!」と激賞していたが、元祖・日本一速い男が『ハートは熱く、頭脳はクール』と評する平川だって、一年二年でそのように成長したわけではないのだ。

 今回もレース中にいくつかのアクシデントが発生したが、ミスを犯した選手への教育的指導は、若手、ベテランを問わず厳しくあってしかるべしだと思う。

 とはいえ、いかに怒り心頭であったとしても、平身低頭で謝る相手を恫喝し萎縮させるような言動は、その人物、ひいては属する社会の品位に関わることとして厳に慎むのが立場が上にある者に求められる姿勢ではなかろうか。

【画像ギャラリー】スーパーフォーミュラ2022第4戦は華麗なる5台抜きを見せた平川亮が優勝!!(10枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…