クルマの未来に明かりを灯せ!! モリゾウ、「GRヤリス(水素エンジン車)」でカーボンニュートラルへの道筋のひとつを世界へ示す


 2022年8月20日、世界ラリー選手権(WRC)2022第9戦ベルギーラウンドにて、トヨタ自動車が試験開発中の「GRヤリス(水素エンジン搭載車)」がデモ走行を実施した。ドライバーは「モリゾウ」。水素エンジン車が海外の公道を走行するのは初めてとなる。以下、概要をお伝えしたい。

文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA(メイン写真左はユハ・カンクネン氏、右はモリゾウ氏)

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■豪華すぎるテストドライバーとコドライバー

「わたしたちが目指すゴールはカーボンニュートラルであり、その道はひとつではない」

 トヨタ自動車の代表取締役社長として、日本自動車工業会会長として、モータースポーツをこよなく愛するドライバー「モリゾウ」として、豊田章男氏が繰り返し語るフレーズである。

GRヤリス(水素エンジン搭載車)が、海外の公道で初めて走った。WRCのコースを走るというところが「ひとつの可能性」として未来を感じさせる

 日本政府が宣言した「2050年カーボンニュートラル」を実現するため、自動車界にとって必要なのは純EV(BEV)を中心とした電動化なのか、燃料電池車なのか、水素エンジン車なのか、そのすべてを組み合わせた社会なのか。さまざまな可能性を模索するなかで、その主戦場のひとつとなるのが「市販車の実験場」でもあるモータースポーツシーンである。

 これまで、過酷な「競争の現場」で鍛え上げることで自動車技術は進化してきた。それは次世代パワーユニットに関しても言えることだ。

 今回、「カーボンニュートラル社会」を実現する可能性のひとつとして注目される「水素エンジン搭載車」が、初めて(WRCのテストカーとして、とはいえ)海外の公道を走った。

「GRヤリス(水素エンジン搭載車)」が走行したのは、2022年8月19日から21日まで開催された「世界ラリー選手権2022第9戦 イープル・ラリー・ベルギー」2日目(20日)のスペシャルステージ(SS)11。全長15kmのSS11は道幅が非常に狭い農道で、周囲は畑や民家などに囲まれており、選手権に出場したプロのラリーストにとってもチャレンジングなステージだったという。

 GRヤリス(水素エンジン搭載車)は、現地時間20日午前、SS11の競技開始前にステージの安全を確認するため走行する「セーフティーカー」の前に走行するテストカーとして走行した。

 助手席コドライバーとして座ったのは、なんと4度のWRC王者に輝き、かつてトヨタでも世界タイトルを獲得した経験を持つフィンランド出身のユハ・カンクネン氏(豪華!!)。ステアリングを握るモリゾウには初めての道、走行前の下見も自身でできないままでの走行であったが、カンクネン氏の案内を頼りに、非常に滑りやすく刻々と変化する路面と対話し、無事に走り切ることができたという。

■「欧州でも選択肢のひとつとして可能性を」

モリゾウ氏の走行後のコメント
今回、カンクネンさんの好意で運転させていただくことができ、感謝しています。私の運転に合わせて案内してくれたので、気持ちよく走行できました。路面が刻々と変わり、滑るうえに狭いので難しい道でした。ジャパンラリーの道に似ていて、観戦していただけるお客様への対応に向けても良い経験になったと思います。会場にはミライによる電源供給のデモもあり、水素エンジンの走行と合わせて、CN(カーボンニュートラル)の達成に向けた選択肢のひとつとして水素の可能性を欧州でも見ていただけたと思っています。

ユハ・カンクネン選手のコメント
アキオの運転はすばらしかった。水素エンジンも非常にトルクがあり、ガソリンエンジン車と変わらない。CO2も出さないということで、モータースポーツはもちろん、一般車の世界でもカーボンニュートラルに向けた選択肢のひとつになると思う。

WRCのSSを走るGRヤリス(水素エンジン搭載車)。ラリージャパン(2022年11月に愛知県と岐阜県にて開催される)でも走ってほしいぞ!!

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 bZ4Xのような純EV車やMIRAIのような燃料電池車と比べて、水素エンジン車は(環境的な面も、コスト的な面も、ドライビングプレジャー的な面も含めて)長所も短所もある。ひとつ言えるのは、水素エンジンであれば既存のガソリンエンジンやディーゼルエンジンの長所の多くを引き継ぐことができ、また、モータースポーツも引き続き楽しむことができそうだということ。

 2022年11月に開催される「ラリージャパン」(WRC2022最終戦 日本ラウンド)でも、GRヤリス(水素エンジン搭載車)にはぜひなんらかの目立つかたちで走ってほしい。

 個人的には、そうした「選択肢を増やす努力」を、モリゾウ氏が最前線に立ち続け、自らの両手両足で押し広げてゆく姿に敬服する。こんなことまでする自動車メーカートップは他にいない(注/褒めてます)。

 地道な積み重ねではあるが、今回WRCのテストカーとして海外の公道を水素エンジン車が走ったことで、「クルマの未来」を照らす松明がまたひとつ灯った。この明かりを、少しずつでも増やしてゆきたい。

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