ラリージャパンが目前に迫ってきた。12年ぶりとなる日本開催で、やはり気になるのが勝田貴元選手の活躍。今年は12戦を走って11戦が8位以内に入っており、リタイアはわずかに1回。世界ランキング5位と堂々としたトップドライバーに成長した勝田選手。ラリージャパンで期待するのは、もちろん表彰台だ!
TEXT/国沢光宏 PHOTO/TOYOTA、RedBull
■情報量が多い「ホーム」で活躍を!!
WRC2022シーズンの最終戦となるラリージャパン、注目点はなんといっても我らが勝田選手の走りでしょう! WRCでのここ数戦、少しばかりアンラッキーな展開になっているものの、セットアップ決まって攻めたSSはトップ3に匹敵するタイムを出せている。
調子のいい時もあれば悪い時もあるのがラリーの面白いところ。そしてラリージャパンで使うコース、ほかのドライバーは一度も走っていない。勝田選手の場合、セントラリラリーで走ってます。情報量だって多い。
どのドライバーにも言えることながら、やはり「ホーム」で開催されるラリーは有利となる。興味深いことに『J Sports 3』でWRCのキャスターをやっている栗田佳織さんが先日行われたスペインで仕入れてきた情報によれば、ペースノートはすべて作り直すという。普通、走ったことのあるラリーは前回使ったノートを修正しながら使う。その方が正確なノートになるからだ。なのに作り直す。なぜか? 理由はシンプル。勝田自身が大きく成長したからだと思う。
2019年のセントラルラリーに出場した時は、トップカテゴリーである当時のWRカーでの走り込みが少なかった。それでも圧倒的な速さを見せてぶっちぎったのだけれど、3年間で大きく進化している。今年はチームメイトのオジエやエバンスと同じくらいのタイムを出せています。3年前に作ったノートと直近のノートでは、情報量と精度が大きく違っている? だからこその「作り直し」なのかと。
■攻めるラリーに徹すれば、表彰台を獲得できる!
今年2回取材に行ったWRCや、リモートで勝田選手に話を聞くと、今シーズンは「攻めるラリー」と「学ぶラリー」を明確に分けていたとのこと。シーズンを通しての目標は「多くのラリーを走りきり、経験を積むこと」と「最終戦になった日本でフルアタックすること」の2つだという。もちろん、ラリージャパンは前者だ。ワクワクしますね!
状況的にも悪くない。ニュージーランドでドライバーズチャンピンを決めたロバンペラは、攻める必要なし。おそらく来シーズンのシートも決まっているため、スペインではラリーを楽しんでいた。オジエもスペインで今期初優勝を決め、トヨタのマニファクチャラーズ選手権獲得に華を添えた。ロバンペラと同じく無理せずラリーを楽しもうとすることだろう。重責がない時のラリーは本当に楽しいと思う。
残るライバルたちも、ドライバーもマニファクチャラーズもタイトルが決まっているため、無理してクルマを壊したら怒られる(笑)。もちろん手を抜いて走るということでなく、「クラッシュ覚悟のギャンブルはしない」ということです。
以上。勝田選手が今年の目標通り順当に走れたらホームでの表彰台は充分期待していいと考える。もしかすると自身が持つ日本人最上位の2位を凌ぐ可能性だって大いにあります!
【勝田貴元選手プロフィール】
1993年3月17日生まれ、愛知県出身。11歳でカートデビューし、18歳でFCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)チャンピオン獲得。20歳でF3シリーズ2位。その翌年の2014年からはF3参戦とともに全日本ラリー選手権にも挑戦し、第8戦でJN5クラス初優勝。2017年のFIA世界ラリー選手権第7戦(イタリア)、WRC2クラス3位で初の表彰台に上り、2018年のFIA世界ラリー選手権第2戦(スウェーデン)でWRC2クラス初優勝を果たした。 2019年はFIA世界ラリー選手権第6戦(チリ)WRC2クラスで優勝、ヤリスWRCで参戦したフィンランドラリー選手権では2戦2勝、WRCラリー・ドイチェランドとラリー・スペインにはヤリスWRCでトップカテゴリーへ参戦。 2020年はヤリスWRCでトップカテゴリーへ5戦出場。最終戦のラリー・モンツァではパワーステージを制し、初めてベストタイムを記録した。2021年には、開幕から6戦連続でトップ6に入り、サファリ・ラリー・ケニアでは、自身初のWRC2位表彰台を獲得した。2022シーズンもフル参戦しており、本文にあるとおり好調な成績を収めている。最終戦ラリージャパンでもトップカテゴリーにGRヤリス Rally1 HYBRIDで参戦する。ゼッケン「18」。
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