第2世代マシンの登場でレース途中にマシンを乗り換える必要がなくなった
ここでフォーミュラEのレースを少しご紹介しておきたい。
マシンは5年目を迎えた今年から第二世代を意味する『Gen2』と呼ばれるシャシーが投入された。
フォーミュラEは全チームが共通のシャシーとバッテリーを使うが、モーターやインバーター、トランスミッションとそれらのマネージメントシステムなどパワートレインは各チームの競争領域となる。
タイヤはミシュランのワンメイク。しかも市販車のコンパウンドに近いドライ/ウェット兼用のタイヤを使用する。ミシュランも市販タイヤへの技術の転換を図る狙いがある。
ちなみにGen2で使用されるバッテリーは小型化/大容量化され、電力量は28kW→54 kWと約2倍に増えているのが大きな特徴だ。
それによって昨シーズンまではバッテリー容量の関係でドライバーひとりあたり2台のマシンが用意され、レース途中でマシンの乗り換えが必要だったが(それもまた独特の光景だった)、Gen2ではなくなっている。
市街地でのレースが迫力を倍増
最大出力は250 kW(レース時は200 kWに制限される)、コースは前述のとおり市街地に特設され、つまりサーキットと違って路面のコンディションは不均一であり、ペイントなどもそのまま。
エスケープゾーンも少なく、コンクリートウォールが近い。エスケープが少ないという意味では観客との距離が近いのも特徴だ。ちなみに最高速度は280km/h。間近で観ればその迫力は充分。
音がないと思われがちなEVレースであってもインバーターの「キーン」とした音やそれまで聞こえていなかったタイヤのスキール音などがドライバーの走りを生々しく魅せてくれる。
比較的コース幅が狭くコンクリートウォールが近い市街地レースではクラッシュのリスクも高いとドライバーは口々に言うのに、なかなかの荒れ模様。これは余談だが、このところ、レース終了後に順位が入れ替わることも多く、現地からSNSで結果を呟くタイミングが難しい。
フォーミュラE独自のルールがレースを盛り上げる
内燃機関で走るマシンを駆るレースであっても、レース戦略に燃費は重要なのはご存知だと思うが、フォーミュラEもそれは同じ。
ただレースはラップ数ではなく、45分+1ラップという時間で区切られ、さらにレース中にアタックモード225 kW(306hp)を使わなければいけないというのと、ファン投票によって上位5名にはファンブースト250kwの使用が許される。
外観も今年からボディカウルのデザインが変更され、F1同様にコクピットの頭部保護デバイスのHalo(ハロ)を装着する。
Haloの前部にはLEDが内蔵され、色によって走行モードを見分けることができるアイディアが同時に採用された。アタックモードは青、またファンブーストの使用時にはオレンジ色になる。
ファンブーストとはSNSで応援投票をし、上位5名のドライバーに特別なパワーが与えられるというものだ。レース戦略という点では、いつ誰がどのタイミングでそれらを使うのかを観客も観てワクワク、ドキドキすることができるのが面白い。
コメント
コメントの使い方