【日産、フォーミュラEに参戦!!】EVモータースポーツに参入する意義とは?

参戦初年ながら日産は経験豊富なパートナーと躍進を狙う

 また今やドライバーの練習にシミュレーターの存在が欠かせない。とりわけ市街地レースの場合は”コースを覚える“というトレーニングがかなり重要らしい。

 昨シーズン、香港にスポット参戦をした小林可夢偉選手も、「フルシーズンを戦うとなると、シミュレーターのトレーニングに費やす時間が膨大で大変!」と言っていた。

 香港では日産の2人のドライバーにも話をうかがったが、「レース会場(現地)に入る前にコースはすべて覚えておく必要がある」とローランド。

 なぜなら、現地では具体的な路面状況や白線などのペイント、そして天候なども加味した具体的なレース戦略に意識を向けなければいけないからだ。

 ちなみにシミュレーターに使うデータやシステム開発はチームごとに行っているらしい。

レースの世界ではシミュレーターは当たり前になっているが、パーマネントサーキットではなく市街地コースで開催されるフォーミュラEはその重要性がさらに高まる

 日産は「すでに開催されたことのあるコースの場合、誤差はない。初めてのところでは少々ある場合も、ある」とカルカモ氏はいうがレースは現場のみならず、シミュレーター開発技術、ドライバーのトレーニングと外でも行われていることがわかる。

 加えて、日産が今シーズン初参戦ながら自信を持って臨めるのは、レースオペレーションを任せているe.damsの存在が大きい。

『日産e.dams』はテクニカル面を日産が、レースオペレーションはe.damsが行っている。e.damsはフォーミュラレース歴30年、フォーミュラEも初シーズンから参戦している。

 カルカモ氏も「フォーミュラEのレースは難しい。初参戦となればいい結果を残すのに時間がかかってしまうだろう。ドライバーの育成やセレクションにも長けているe.damsとチームが組めるのは光栄だ」という。

 一年前から日産はチームとのディスカッションを重ね、昨年までe.damsと組んでいたルノーからもデータもらったりと具体的な準備を進めてきたそうだ。

日産のフォーミュラEはダブル入賞で幕を開けた

 では、日産e.damsのここまでの今シーズンを振り返っておこう。

■第1戦/2018年12月15日 ディルイーヤ(サウジアラビア)
    ●ブエミ 予選3位/決勝6位
    ●ローランド 予選14位/決勝7位

 初戦が行われたサウジアラビアで日産にとってデビュー戦で、2揃って入賞と幸先のいいスタートを切った。

レース経験が豊富で、フォーミュラEにも初年度から参戦しているe.damsはデータの蓄積量も膨大で、初参戦の日産にとっては頼りになるパートナー

■第2戦/2019年1月12日 マラケシュ(モロッコ)
    ●ブエミ 予選3位/決勝8位
    ●ローランド 予選12位/15位

■第3戦/2019年1月26日 サンディアゴ(チリ)
    ●ブエミ 予選1位/決勝リタイア
    ●ローランド 予選13位/決勝リタイア

 予選でブエミが初のポールポジションを獲得。レースも残り15分というところまではリードしていたが、ウォールにマシンをヒットさせてしまい戦線離脱。

安定した速さが結果に結びつかない……

■第4戦/2019年2月17日 メキシコシティ(メキシコ)
    ●ブエミ 予選4位/決勝21位
    ●ローランド 予選4位/決勝20位

 第4戦のメキシコシティ(メキシコ)はローランドがグループ予選で22名のドライバー中、最速タイムでスーパーポールに進出。

 4番手からスタートし2位にポジションアップするも最終ラップでバッテリー切れによりリタイア。

 ブエミも6番手スタートから4位、そしてトップ争いに加わるも最終ラップでバッテリー切れとなってしまった。

 激しいポイント争いをするなか、1戦1戦を大事に……、ともちろん思えば結果は残念だったが、バッテリーマネージメントの難しさを知る機会とポジティブにとらえたい。カルカモ氏は、「レースの最後でバッテリーの残量がちょうど0%で追われるのがベスト」言う。

 これは日産のみならず、各チームがバッテリーを何%残してレースを終えるかに注目するのも面白い。国際映像でTV観戦する際、レース終盤のデッドヒートに加え、バッテリー残量に目を向けるとかなりスリリングな観戦ができる。

日産のマシンの戦闘力は高いが、まだまだ解決すべき点、克服すべき点もある。しかしながらこの速さを目にすればデビューイヤーながら日産の優勝を期待してしまう

次ページは : ドライバー、マシンに上位を走るポテンシャルがあることを証明

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