FIA世界耐久選手権(WEC)が9月10日(日)富士スピードウェイで行われ、チームの「ホーム」レースでの1-2フィニッシュを達成した。そして7号車はこれにより最終戦を待たずしてチャンピオンを決めた!! ということで佐藤恒治社長にインタビューをしてきた。
文/段純恵、写真/TOYOTA GAZOO RACING
■WECでの水素マシン導入予定はあるの?
Q.来年以降のWECについて伺います。ル・マンそして富士戦で公開された水素エンジン搭載プロトタイプ開発の進捗状況は?
A.エンジンのテストは順調に進みパォーマンスのウィンドに入るくらいの出力はもう出せる。これからは全体の車体の設計上、安全性を確保しながらレーシングカーとして仕上げるところです。
我々は水素エンジンでアプローチしていますが、ACOはフューエルセル(FC)ですね。ACOのフィオン会長と、水素モビリティとしてのカテゴリー作りを進めて行くため、情報交換など連携プレーをしっかりやってスタンダードをちゃんと作ろうと話しています。
WECが水素フォーマットになった時、サーキットでの給水素をどうするかなどしっかり考えないと。インフラとセットでないと成立しませんから。
Q.水素マシンへ一気にシフトするのか?
A.水素マシンの最終的なフォーマットの行方とハイパーカークラスの将来の両睨みで準備することになると思います。エキシビジョン的にはどんどん走らせないといけないし、ル・マンで水素マシンが走れる26年に我々も合わせるようにしたいと考えてはいます。
Q.他メーカーの参加はあるのか
A.ACOと話しているメーカーはあるかもしれませんが、我々には開示されていません。恐らくゼロではないだろうと思いますが。
Q.燃料電池でトヨタは他社と協業しているが、水素エンジンでのグローバル戦略は?
A.いろんなメーカーが水素エンジンに取り組んでいて様々な経験をお持ちです。ここが課題で厳しいとか、ここがブレークスルーできないと量産や市販は難しいよね、といったことをお話ししていますし、トヨタの情報や技術はいつでもオープンにしています。
Q.クリーン・エネルキーといえば電気と答える人が多数のいま、トヨタが電気をやりつつ水素に重きをおくことに疑問を持つ声にはどう対処していくのか。
A.これは豊田章男会長がずっと言葉にしていることですが『マルチパスウェイ』という多様な選択肢をお客様に提供していくのが我々の役割だと思っています。
エネルギー事情は世界の地域によって違いますし、スピードもインフラも法規も、いろんなものが多様化している。その多様な環境条件にちゃんと応えてくことがまず我々のやるべきことです。
複数の選択肢をもっておくのが大事で、その根幹にあるのはエネルギー・セキュリティーの問題です。理想的なものがひとつあったとしても、そこに集中させることはやはりエネルギー・セキュリティー上のリスクなんですね。
だから我々としては実際的な移行も視野にいれたうえで、水素と電気の両立をしっかり睨み、エネルギー・セキュリティーにもちゃんと応えていく。それが基本的な考えで、最終的に選ぶのはあくまでも各地域のお客様だと考えます。
Q.壮大な取り組みだが、それでないと将来のモータリゼーションの推進は難しい?
A.大事なのは意思をもって行動することだと思います。何がクリーンエネルギーの正解なのか、誰もわかっているわけじゃない。答えはまだ出てないですから。
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