灼熱の丹後半島ラリーから早1カ月、新井大輝選手が「モントレー2024」で地元群馬に帰ってきた! しかも全日本ラリー選手権と併催のAPRC選手権を総合優勝したというから驚きだ。しかし、レースにトラブルは付き物である。今回も例に漏れず一悶着あったようだ。
文/写真:新井大輝
■最高の結果でフィニッシュ!
地元「モントレー2024」で全日本ラリー選手権と併催のAPRC選手権での総合優勝です! 暑すぎて脱水症状と睡眠不足による頭痛で心身共に満身創痍ではありましたが、マシンのセッティングも途中からバッチリ決まり10本のSS中9本でステージベストを出せたことで最高の結果で終える事ができました。
あと一本のベストでセバスチャンローブだったのですが、そう甘くはありません。勝てたSSはどれも僅差だったので、少しでも気を抜けばトヨタワークスチームに逆転される危険性は常にありました。
最終ss10の8分前にはタイヤに五寸釘が刺さっていて急遽スペアタイヤに履き替えるなど万事休すな場面もありましたが、それも含めて緊張感があって楽しめたラリーでした。
交換していなかったら間違いなく逆転されていました。
「地元だからどうせ道知っているでしょ?」と思ったそこの紳士淑女の皆さん。
実は高崎エリアのモントレーは初めての出場で、今まで出たことがあるのは意外にも嬬恋エリアのみでした。しかし地元だから勝てるよねと謎のプレッシャーを会社の上司や同僚達からも掛けられており、終始 「え? 勝てて当然でしょ?」的な雰囲気は終始ありました笑。
これは例えるなら学校を卒業して社会人になり、久しぶりに実家に帰ると両親から「いつ結婚するの?」と言われるその圧と似ています。
■前戦で大破したGRヤリスの修理で東奔西走
しかし今回一番心配していたのは自分というより、モリゾウチャレンジカップに出場している弟子のGRヤリスでした。
前戦の丹後半島でフロントが大破していてダメージがエンジン内部まで達していたので、パーツを関係各所からご厚意で譲ってもらったり、納期が間に合わないパーツを東奔西走しながら調達したりしていました。
実際は私のガレージで本番前日(金曜日)23時まで修理に明け暮れ、この3週間は通常の仕事が終わってから夜7時から〜深夜の2時ごろまで修復するという夜鍋生活が続きました。
コドラの松尾君や立久井君はじめ私の職場の同僚や他の自動車部OBが入れ替わり立ち替わり手伝い(冷やかし)に訪れてくれました。彼らの圧倒的な野戦能力を目の当たりにし、涙が出そうな思いでした。ありがとうございました!
これも一つの学びだと思うので、壊してしまったらどれだけ大変で時間とお金がかかるのか知る良い機会だったと思います。良薬は口に苦すぎることもあるものです。
■「碓氷最速」の名を我が物に
さて話をラリーへ戻すと、今回は初めて碓氷峠がステージに加えられとてもアイコニックな面白いラリー構成になりました。
なぜかラリーが始まる前からコドラの松尾君が「碓氷最速だけは譲りたくありません!」と耳にタコができるくらい言ってきたので、話半分で「はいはいそうね」と言った感じで聞き流していました。
いざ碓氷峠で2本ともステージベストを獲得したので恐る恐る理由を聞くと、会社で「碓氷最速の松尾さん」だぞと自慢したいと言う浅はかな理由でしたので今度から話1/4ぐらいで聞いてあげようと心に誓いました。
他にも雨が降っていないのにレインセットアップにされていたり、鹿に激突しそうなったり、取るに足らない場面もありましたが、無事に勝てて本当に良かったです。
これで私も恥ずかしげもなく「碓氷峠最速のアライさん」と会社で名乗れます。
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