マツダ新型CX-30は本当に売れるのか? 起死回生の本命登場!!

マツダ新型CX-30は本当に売れるのか?  起死回生の本命登場!!

 売れ筋ど真ん中のクロスオーバーにマツダが新規モデルを投入!

 2019年9月20日、マツダ CX-30が受注を開始。10月24日に正式発売される(SKYACTIV-Xは2020年1月以降発売予定)。CX-3、CX-5、CX-8などのSUVがあるなかで、新型CX-30は、立体駐車場にも入る高さに全高を抑えたモデル。

 他社では、同様のスバル XVがベースとなるインプレッサスポーツより人気を集めているだけに、新型CX-30の“ちょっと背の高いクロスオーバー”というコンセプトは、売れそう……いや、売れてくれないと困るモデルといっても過言ではない。

 ただ、懸念もある。マツダの2019年上半期新車販売(登録車)は8万3962台で、前年比86.2%と苦戦。車の評価は高いものの、なかなか販売が追い付いてきていない。

 そうしたなかで、新型CX-30は果たして本当に売れるのか? その立ち位置や特長とともに解説したい。

文:渡辺陽一郎
写真:編集部、MAZDA

【画像ギャラリー】マツダ3より引き締まった!? 新型CX-30の外観&内装


CX-3より背は低め! マツダに“ありそうでなかった”クロスオーバー

新型CX-30/全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm

 日本のメーカーでは、三菱に加えて今はマツダもSUVに積極的だ。日本国内だけでもコンパクトなCX-3、ミドルサイズのCX-5、ラージサイズのCX-8を揃え、2019年9月20日に新型車のCX-30を加えた。

 今のマツダは車種数を減らしているから、国内で売られるマツダ車(CX-30を含めて8車種/商用車・OEM車除く)の内、半数がSUVとなった。

 今のマツダは、格好良さと走る楽しさに絞り込んで商品を開発している。その象徴が魂動デザインだ。

 背の高いミニバンやコンパクトカーはデザインコンセプトに合わず、プレマシー、ビアンテ、ベリーサなどは廃止された。空間効率の優れた車種はSUVが限界だから、車種数を充実させた経緯もある。

 そして、新型車のCX-30は、マツダ3のエンジンやプラットフォームを使って開発された。CX-3やCX-5に比べて世代が新しい。魂動デザインの見せ方も新鮮で、フェンダーやドアパネルにうねるようなラインが入り、周囲の風景が大胆に映り込む。

CX-30のリアスタイル。ベースのマツダ3に対して全長は短く、幅は同一、全高は100mmほど高められている

 エンジンは直列4気筒2Lガソリン、1.8Lクリーンディーゼルターボに加えて、新しいSKYACTIV-Xも用意した。デザインやメカニズムから見ると、CX-30はマツダ3のSUV版と考えても良いだろう。

 その一方でマツダのSUVラインナップで見ると、CX-30はCX-3とCX-5の間に位置する。ボディサイズは、CX-3に比べると120mm長く30mm広い。全高はわずか10mmだが低く抑えた。

 CX-5に比べると、CX-30は150mm短く、45mm狭い。全高は150mm下まわる。このように見るとCX-30のボディサイズは、全高の違いも考えればCX-3に近い。

 価格(※10%税込)を2Lエンジン搭載車「20Sプロアクティブ」同士で比べると、CX-3が237万6000円、CX-30は261万2500円、CX-5は285万4500円となる。CX-30の価格は、CX-3とCX-5のちょうど中間だ。

CX-30の登場でCX-3やマツダ3が売れなくなる!?

デミオ(現:マツダ2)をベースとした小型SUVのCX-3。2019年8月の販売台数は207台と伸び悩むが、CX-30の登場でさらに打撃を受ける可能性も

 CX-30が登場したことによる今後のマツダ車の販売動向だが、1ヵ月の登録台数が1100台前後のCX-3は、売れ行きをさらに下げるだろう。CX-3は後席と荷室が狭く、この欠点をボディサイズの近いCX-30が補うことになるからだ。

 CX-30の全高は1540mmだから、CX-3と同様に立体駐車場も利用しやすい。価格は前述の比較でCX-30が約24万円高いが、デザインを含めて目新しさもあり、CX-3の顧客を奪うことになる。

 言い換えればCX-30は、CX-3のフルモデルチェンジ版とも受け取られるだろう。デザインコンセプトとプラットフォームを刷新して、ボディも少し拡大することで後席と荷室を広げたからだ。

 一方、CX-30とCX-5は競合しにくい。CX-5はCX-30に比べて後席と荷室がかなり広く、全高も150mm高いからだ。

 CX-5の外観はCX-30よりも存在感が強く、いかにもSUVらしい雰囲気を感じさせる。その代わりCX-30やCX-3に比べると背が高いから、立体駐車場は利用しにくい。

 エンジンは、CX-5には動力性能の高い2.2Lクリーンディーゼルターボも用意され、CX-3やCX-30とは異なる魅力を備える。

 価格はCX-5が先代型に引き続いて割安だから、CX-30の影響を受けにくい。そうなると売れ行きが下がるのはCX-3だ。

 このほかマツダ3も意外に影響を受ける。魂動デザインの手法が同じで、後席の快適性や荷室の使い勝手は、SUVのCX-30が上まわるからだ。

 価格はCX-30が少し高いが、マツダ3ファストバック「20Sプロアクティブ」も消費税10%で計算すると251万5741円だから、差額は約10万円だ。

 エンジンやプラットフォームが共通で、この差額なら、多くのユーザーは実用性が高く人気のカテゴリーとなるSUVのCX-30を選ぶ。

次ページは : CX-30は売れるのか!? “マツダ党以外”を取り込めるかが鍵握る

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