日産の新車戦略に新たな動きか!?
ここ数年、日本市場へのニューモデル投入が減少し、既存のモデルに関しても新型投入の動きが鈍い日産。その流れに変化が訪れそうだ。
経営トップの入れ替わりで揺れる日産だが、日本の自動車ファンにとっては、これが今までの停滞ムードを打破するきっかけになる可能性がある。
この3月には、三菱との共同開発車となる軽自動車、デイズ/eKワゴンの新型を発表したばかりだが、より利益率の高い上級車の投入は必須。そこで、国内販売の見直し説と連動するのが、2012年に生産終了となったティーダの再来ともいうべき、Cセグメント(スバル インプレッサやVWゴルフ等が該当)の5ドアハッチバックだという。
文/写真:ベストカー編集部
ベストカー 2019年4月26日号
日産が日本市場重視へ舵を切る!?
日産自動車は、ここ1年半程度日本市場に向けた純然たるニューモデルを投入していない。現在販売的に好調なのはe-POWER戦略が当たったノート、ミニバンのセレナなどである。1月の販売台数は登録車のワンツーなのだから、マーケット戦略的にはお見事! と言わざるを得ない。
一方でCセグメントに属する5ドアハッチバックのティーダを廃止してしまったり、スカイラインやティアナといったDセグメント4ドアセダンなどについては、北米などの海外に向けて開発したモデルを日本仕様にして投入しているというのが現状。
フーガも同様だ。インフィニティQ50やQ70ならばいいのだろうが、これが日本国内で乗る「スカイライン」だったり「フーガ」だと、ボディサイズやデザイン、乗り味などが我々日本人にはマッチし切れていないと感じているが、そこに「日本市場に向けた専用開発モデルを投入すべき」との意見を言える役員がいなかったのだろう。
思わぬ事態からC.ゴーン氏が日産をはじめとするルノー、三菱アライアンスのトップから追われたことにより、企業体としての舵取りにも大きな変革が訪れることになりそうだ。
新たなアライアンスのあり方については去る3月12日、3社アライアンス内のオペレーション、ガバナンスを監督する唯一の機関として「アライアンスオペレーティングボード」を新設することを明らかにした。
このアライアンスボードの議長はジャンドミニク・スナールルノー会長が務め、西川廣人日産自動車社長兼CEO、ティエリー・ボロレルノーCEO、益子修三菱自動車会長CEOがメンバーとして加わる。アライアンスのあり方や方向性はこのボードで3社の合議により決定。独裁体制からの脱却である。
日産社内にも「もっと日本市場を大切にすべき」と考える社員、役員は少なからずいる。ゴーン体制下では実行に移せなかった企画、却下され凍結されていた企画も、今であれば再浮上の可能性が色濃くなってきたし、実際そのような動きも始まっていると証言する関係者もいる。
3月28日に三菱との協業で誕生し2代目となる新型デイズが登場したが、現実問題として軽自動車では利益率が低く、より利益率の見込める上級モデルの投入が必要と考えているのだ。
最有力はティーダ級の新型ハッチバック
「売れ筋のコンパクトカーは、しっかりと日本人ユーザーの心に響く上質なマーチが必要。さらに欧州車にユーザーが流れてしまっているCセグメントにも日本市場に向けたモデルを投入すれば、ユーザーの支持は得られる」
開発現場に近い関係者はこのようにも言っていた。
日産にはe-POWERという武器がある。ノートやセレナのヒットからもわかるように、日本人ユーザーにe-POWERの魅力は伝わっているし、燃費のみならずドライバビリティでのメリットも大きい。
現在最有力の企画として浮上しているのがティーダクラスのCセグ5ドアHBのe-POWERモデルだ。
ジュネーブショーでは欧州向けとされるe-POWER採用のCセグメントクロスオーバー「IMQ」が発表されたが、これをベースに日本国内に向けた5ドアHBに仕立て上げていくという計画だ。
1.5Lターボエンジンを発電用に使用することで、よりハイパワーモーターを駆動させることを可能としており、「NISMO」バージョンなどスポーティモデルへの発展が期待できる。
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