■東京五輪2020大会で金メダルを目指す伊藤智也選手(57)をバックアップ!
モータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットなど多くの製品開発をしてきたデザイン会社、RDS(杉原行里代表取締役社長)がこのほど、車いすレーサー(陸上競技用車いす)の技術から生まれた最先端プロダクトを発表した。
イベントでは社長の杉原氏のほか、RDSがサポートする車いす陸上選手の伊藤智也選手、車いすレーサーとその関連開発を行うチームのメンバーが登壇し、開発秘話などを語った。
■車いすレーサーとは?
うしろに2つの大きなタイヤ、前に1つの小さなタイヤが特徴の車いすレーサー。この車イスレーサーを使った陸上競技はモータースポーツに近い迫力やスピードが魅力の競技だ。来年に控える東京2020大会のパラリンピックでも実施されるので、ぜひ注目してほしい。ちなみに自動車業界ではホンダがグループ会社の八千代工業とともに手掛けているほか、BMWグループのBMWデザインワークスも開発をすすめている。
■RDSとは?
今回発表をしたRDSは2019年にF1チーム、レッドブル・トロロッソ・ホンダとスポンサー契約を結ぶなど、今、注目の企業。その事業は多岐にわたるのだが、自動車分野では次世代車を創り出すのには欠かせないクレイモデルの製作やカーボン技術の開発などを手掛けている。パラアスリートに向けては、車いすレーサー以外にもチェアスキーパーツや、ドライカーボン製の陸上競技用義足の製作にも携わっている。
■伊藤智也選手が駆る!車イスレーサー「WF01TR」
写真はfuRo(千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター)と共同開発した「WF01TR」。 伊藤選手の感覚を数値化することを重要視し、走行フォームなどを3Dスキャナーやモーションキャプチャーなどを使ってチェック。そこから得たデータを反映し、テストを繰り返してマシンの性能を上げていった。
■ベストなシートポジションを見つけるシミュレーター「SS01」
「WF01TR」の開発で重要になったのがシートポジション。ハンドリムを効率的に漕ぐためには欠かせないポイントなのだ。そこでRDSはfuRo(千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター)と共同で、シートポジションを見つける計測器を開発した。将来的にはモータースポーツやオフィスワーカーなど車いすユーザー以外への活用も見込み、量産化も検討している。
■あなたも体験できる! 通信対戦型レーサー「CYBER WHEEL X」
本記事メイン写真にも使用している「CYBER WHEEL X」とは、空間演出などを手掛ける1→10(ワントゥーテン)が開発したVRレーサー「CYBER WHEEL」を「WF01TR」の開発で培った技術を注ぎ、パワーアップさせたもの。東京の都市をスキャンし、3Dの未来都市空間をイメージしたコースや通信対戦・データ対戦が可能になった。デザインは「WF01TR」をモデルにしている。
またfuRo協力のもと、ハンドリム(後輪の外側についている持ち手)ウエイトの技術を導入。起伏での負荷や加速など実践さながらの車いすレースを体感することができる。
杉原氏は「F1などのモータースポーツの技術が我々の日常生活を豊かにしてくれているように、車イスレーサーの開発が、QOLの向上につながる」と話し、「日本は2025年には30%以上が65歳超えとなる。車いすへの意識や、呼び名も変わっていく」と車いすが持つ大きな可能性に期待を寄せている。
なお、「CYBER WHEEL X」は現在、東京ソラマチのイーストヤード「PLAY 5G」にて体験が可能となっているので、臨場感や迫力を体感してみてほしい。また、東京2020大会では車いすレーサー伊藤選手の活躍にも注目してみよう!
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